05.09.22 MM第113号
【登頂日】 2005年 7月02日(土)
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【感想 等】 メールマガジンNO107号、108号で少しお知らせしたが、静岡から国道52号線で山梨に抜ける途中にある「篠井山」に行った。 登山口に温泉はあるし、八ヶ岳や北アルプスなどに行くときいつも通るので、早く登りたいと思っていた。それが、2カ月前の7月上旬に実現した。 7月上旬と言えば、夏になったのにまだ梅雨という時期である。 小さい山であるし、それほど遠くないので、いつものように普通に起き、車で登山口に向かった。壊れかけた「大洞観察棟」という登山口に11時頃着き、すぐに登山を開始した。 車が1台あったので、1組は登山者がいるな、と思い歩いて行った。道は幅があり歩きやすく、すぐに滝がいくつかあった。滝のしぶきと音がたくさんの涼しさをくれた。また、その後の登山道は、傾斜もあまりなく山頂までずっと樹木に覆われ日差しが降り注ぐことはなかった。(暑くないし、夏にぴったりの山だ)と、感心しながら途中の切り倒した木に座り昼食を取った。 そして、12時半過ぎ山頂に着いた。山頂には横浜からの老夫婦が1組がいて休んでいた。彼らは腰に蚊取り線香、露出部分にはスプレー式の虫除けをかけ、靴にはヤマヒル除けの塩をまいていた。また、上半身にはビニールヤッケを被っていた。 登山口に「ヤマヒル注意」の看板があったけど、探しても姿は見えないし吸われても大したことはないと、私は思った。また、彼らを見て、そこまでしなくてもいいのに。都会から来ると大げさなんだから・・・、と思った。 そう思いつつ、私の右腕を見ると血が流れていた。初めは原因が分からなかった。痛くもないし、ぶつけたりした覚えもないから。そして、彼らの会話からヒルが実際にいることを知った。よく見ると確かにヒルが彼らの靴に上がってきていた。 中腹での樹林帯の昼食でヤマヒルにつかれたのだろう。 その血がいくら拭いても止まらない。 帰宅後インターネットで調べると、血を吸う時出すヒルジンという酵素が、血が止まらなくしていて傷口がふさがらないというのだ。 (結局、腕からの出血は下山するまで止まらなかった。) 山頂は下の写真のように東面の展望がひらけていて天気が良ければ富士山、愛鷹連峰、天城連山も見える。梅雨のこの時期は残念ながら展望は良くない。彼らとおしゃべりをし、しばらく休んで下山することにした。 下山中の中腹で、靴を見るとヒルが3匹上がってきていた。また、厚手の2枚履きの靴下を見るとズボンの中なのに2匹ついていた。あわててそれらを取り除く。血を吸ってないヒルは、全く素早く尺取り虫のように動く。 人間が通ると、その二酸化炭素で動きが活発になり、グループだと先頭の人より、後の人の方がやられやすいと、言われている。老夫婦が通った後、私が登ったのでやられやすかったのかもしれない。 下山して靴を履き替えるとき見ると、靴のもっと奧にヒルが張り付いていた。下の写真のように、二重の靴下の上から口をつっこんで血を吸っているのだ。靴下の繊維の間に潜り込んでいてびっくりした。靴下からへばりついたヒルを取るのに苦労した。反対の靴は、まるまる太ったヒルが転がって落ちた。腹一杯血を吸ったのだろう。 合計3匹のヒルにやられたのだ。わずか2cmくらいのヒルであるので、吸われても血は3ccだ。大したことではないが、流れる血が多いのには閉口した。 その後、登山口近くの奥山温泉に入った。(傷口からばい菌が入ったり、余計血が止まらなくなったら困ると思いながらも温泉好きの意志の弱さで入った。)やはり、血行が良くなり3箇所の内、足の1箇所が家に着くまで血が止まらなかった。吸われた20倍以上の血が流れた。痛みは全くないが、血を見るのは気分がよいものではない。 その後、3・4日したらかゆくなり始め、10日ほど、かゆくてたまらなかった。かじってつめの先からばい菌が入るといけないので、皮がむけないようにかじっていた。 先日、山梨県より南にある和歌山県の熊野古道「中辺路」40kmを歩いたが、その「わらじ峠」は『ヒル降り峠』と言われ木の先からたくさんのヒルが降ってきて恐れられたと言う。しかし、標識などが完備されているこの古道には「ヒル注意」の看板もないし、ガイドブックにもヒルのことは出ていない。なぜ、辺鄙な熊野古道にヒルがいなくて、篠井山には今でもいるのか、私にはよくわからない。ただ1つ考えられることは、篠井山は熊野古道より、環境汚染が少なく、昔からの自然が残っているためだと思う。 (なお、篠井山のヤマヒルは5月から10月だと、地元の人が言っていた) |
登山口には「マムシ、ヤマヒル注意」とある | 滝がいくつもあり体中で涼しさを感じる |
「篠井山」山頂の様子 | 山頂以外は樹木に覆われている |
ヒルに血を吸われた腕 | 厚手の二重の靴下の上から血を吸う |