05.10.07 MM第115号

   私の出合った日本百名山 by masarus                         

熊野古道 『中辺路(なかへじ) 滝尻〜牛馬童子口』  世界遺産 

    
この山の私の印象                           

「 熊野古道はなぜ生まれたのか・・・と思いながら歩いた 中辺路(1) 」

【歩いた日】            2005年 9月19日(月)


【天候】              晴れ

【コース及び時間】 

 滝尻王子6:33出発−6:50ネズ王子−7:51高原熊野神社8:05−8:31大門王子−8:57十丈王子−9:30上多和茶屋跡

−10:02大坂本王子−10:15牛馬童子口


    【 滝尻王子〜牛馬童子口 3時間28分 】 

  *コースタイムは休憩や写真撮影などを含む実際にかかった時間です。
   その時の体調や天候によって大きく変わってきます。あくまでも参考タイムです。


【温泉】   上小野温泉  650円 
   

  
【感想 等】
 
 古くからの信仰と歴史が残る紀伊半島。
99年に日本百名山の大台ヶ原山(日出ガ岳)〈1695m〉と大峰山(八経ガ岳)〈1914m〉に登った。その時、紀伊山地は高さはないが山は深くまた行きたいと思った(MM、HPにもそれを記した)。そして、今回できれば、大峯奧駆道に挑戦したかったが、休みは3日しかなかった。できれば休みが取れるときに、大峯奧駆道は一気に歩いてみたい、と思い今回はやめた。
 それで、吉野・熊野古道の第1回目として1番人気があると言われている中辺路を歩くことにした。それは、3日の休みを使って全てを歩き通すことができる40kmの道のりであったからでもある。
 紀伊山地の5つの参詣道は熊野本宮大社をめざしている。5つとは、「大峯奧駆道」「中辺路」「大辺路」「小辺路」「伊勢路」だ。
 これは道であり、山を紹介するMMやHPで紹介するのも少し変かもしれないが、ピークをめざすのではない山道も立派な山の一部であるとも言え、加えることにした。きっと、皆さんの中にも歩こうと考えている方がいると思う。
 
 前日、私は近くに宿泊し、「滝尻王子」を6時半過ぎに出発した。ここが中辺路のスタート地点である。道路を挟んだ反対側には立派な「熊野古道館」があり観光案内と歴史紹介をしている。もちろん、この時間には私以外の姿はない。辺りは静まりかえっている。
 滝尻からの1日コースは普通、近露かその手前のバス停「牛馬童子口」までで、距離は14kmである。コースタイムは5〜6時間なので、普通はもっとゆっくり出発しても歩くことができるので、誰もいないのであろう。
 滝尻王子も静まりかえり、低い山であるがうっすらとガスがかかり霊気のようなものが感じられた(下の写真)。王子とは休息所であり神社の分社であったそうだ。中辺路は平安時代以降、上皇や貴族・庶民が京都を立ち20日以上かけ熊野本宮大社に参拝した道である。それは、浄土への道、信仰への道であったという。自らの足で歩き、熊野本宮大社に参拝することで願いが成就できるのだ。
 滝尻王子に参拝するとすぐに山道を上がり始めた。少し登ると「胎内くぐり」という岩と岩のあいだが通れる所があった。ザックやウエストポーチを付けたままでは通れない。もしかすると、体の大きい私では通れないかもしれないというくらい狭い穴であったが、何とか這い出ることができた。それからは順調で剣ノ山を登ったところにある「ネズ王子」を通過し、写真のようにガスの中を歩き、8時前に高台にある高原集落の氏神「高原熊野神社(高原王子)」に着いた。
 「高原熊野神社」は熊野街道では最も古いそうだが、それは小さな朱色の建物であった。ここの高台には珍しく民家があり写真のように田んぼもあった。当時は宿泊のための宿があったそうだ。
 8時半には「大門王子」に着いた。ここには大きな門があったそうだ。この手前では鹿とタヌキに出合った。また、もう少し小さい黒っぽい影を見たが、何なのかはわからなかった。そして9時前には「十丈王子」に着いた。ここは596mの標高で十丈峠の杉林の中に王子跡があった。北側がひらけていて、公園になっていた。
 ここまで来たら、初めて古道を歩いて来る人に出合った。近露からの人である。単独が3人、2人連れが1組。地元の人なら林道から入り、途中から歩くことも可能だが、初めての人は滝尻か近露からのどちらかの出発になる。滝尻発の良さは、熊野本宮大社をめざし上皇達の気持ちや時代を考えながら苦労して登っていくことだ。近露発の良さは、差し引き200mの下りであるため、体力的に楽であることだ。私はみんなが熊野本宮大社をめざして歩くものだとばかり思っていたので反対側から歩いてくる人に出合ったとき、少し驚いた。
 下のような杉林の中を進むと9時半、「上多和茶屋跡」に着いた。当時、宿と共に茶屋も必要であっただろう。ここに着く前には、今回の最高地点である悪四郎山782mの中腹691mを通過した。
 10時過ぎ、「大坂本王子」に着いた。逢坂峠の東側の杉林の中に石でできた笠塔婆が残っている。静岡の私の住む地方では、杉林や茶畑の放置がめだつが、ここ熊野はしっかり手入れがされた杉林が多い。下草がきれいに刈ってある。
 そして、熊野古道ではない枝道には下の写真のように、「この道は熊野古道ではありません」の立て札が立っているので、迷うことはない。
 10時半前に牛馬童子口に着いた。3時間半の山道歩きであった。ここは道の駅になっていて、バス停もある。
 近露には「上小野温泉」がある。個人経営の小さな温泉で、冷泉を沸かしたものだが、ナトリウム成分が多く気持ちよかった。インターネットで調べたときには500円と出ていた。しかし、4月から田辺市に合併され、入浴税150円がかかるようになった。そのため、入浴税がそのまま上乗せされ650円になっていた。
中辺路のスタート地点の滝尻王子 少しガスがかかり神秘的であった
「高原熊野神社」近くからの展望 高原集落の収穫の終わった稲田
古道は杉林の中を行く 枝道には迷わないようにすべて立て札があった

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