05.10.27 MM第117号
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【感想 等】 ほんとに久しぶりの南アルプス「聖岳」だ。 学生時代、茶臼岳から仙丈岳までの3000m級全山縦走以来の聖岳だ。その時の様子はMMのNO96にある。 布のテントや綿のシュラフと多くの食料が肩に食い込み疲れ果てたのを昨日のことのように思い出す。 聖岳は、私の中では3000m級の近づきがたい山として存在していた。 しかし、あれから30年、山も行きやすくなりこの聖岳も便ヶ島から、また今回の東俣林道から1泊2日で登ることができる。 東俣林道 聖岳登山口を7時に出発した。天気予報では夕方から前線が南下し通過するため雨。行くか否か、迷ったが出発した。 天気は曇り。あたりは静まりかえっている。少し登ると、松の間から眼下にきれいな緑色の赤石ダムが見える。 木々は少しだけ色づいてきている。広葉樹の中にはもう落葉しているものもあり、落ち葉をさくさくと音を響かせながら歩いていく。 登山道にはクリ、ドングリ等が下の写真のようにたくさん落ちている。動物が食べた形跡があまりない。今年は木の実が豊作だという情報もある。歩きながら本当だろうな、熊が人里に下りてこなければいいが・・・、と思う。 1時間弱歩いたところで、動物のにおいがした。餌場か何かだろう、と思っていると小枝の折れるような音がした。見ると、子鹿が逃げていくところだった。この後も滝見台過ぎで鹿を見かけた。 8時、聖沢吊橋に着いた。今日は聖平までの日程なので充分時間がある。カメラを手元に用意し、写真を撮りながら歩いていく。ここの吊り橋だけで、7枚も撮してしまう。いつもなら撮らないような場所だ。 9時過ぎ、架線小屋跡地に着いた。小屋の廃材が積んである。小雨が降り出す。大したことはないので合羽は着ない。 登山道にシャクナゲが顔を出しはじめる。花の時期にはきれいだろう。 9時50分、2011mの乗越に着いた。右手に聖岳東尾根が見える。尾根中腹の紅葉を目にし、私は今年も紅葉に出合えた喜びをかみしめた。 心も弾み、紅葉を堪能しながら歩いていく。すると、また吊り橋があった。そこまで来ると、聖岳下の滝が見える。しかも、下の写真のように周りの木々は紅葉してきれいだ。また、写真のように聖岳、奧聖岳もはっきり見え、明日の山歩きもますます楽しみになってきた。 11時20分、滝見台に着いた。別に標識があるわけではないので、定かではないがコースの中で一番見晴らしがいいし間違いはないだろう。下の滝の写真は滝見台だと思って撮った手前のきれいに見えるポイントでの写真である。 そこから15分くらい行くと、東京商船大学遭難碑が聖岳の山塊を見上げるように鎮座していた。下を見下ろすと紅葉し始めた渓谷が見えた(写真)。ここもすばらしい展望場所だと、感心した。 このように紅葉を楽しみながら12時半頃、聖平小屋に着いた。写真のように小屋は2つあり、私がかつてお世話になった小屋が冬季小屋になっており、今日はそこにお世話になる。 する事もないので、焼酎をちびりちびりやりながらつまみを1人かじる。1時間経っても人の気配さえない。全く静かだ。 今から聖岳に登ってくることも可能だ。しかし、いつ雨が降るかわからないのでやめた。明日の晴れを信じて・・・。 今週は仕事を持ち帰り遅くまでやったので疲れがたまっていた。そこでひと眠りすることにした。もし、16時頃、天気が回復していて太陽が出ていたら夕日を見に上まで登ろうと思いつつ・・・。 うとうとして起きると、16時半だった。天気は相変わらず、泣き出す手前だ。その前に夕飯を食べようと、裏の沢に水を汲みに行く。水場が小屋の裏にあるのは便利だ。誰が置いたかわからない、草履を借り1分で水場に着いた。沢の水は美味しかった。 夕飯を準備していた17時、雨が降り出す。今日、途中であった人の話だと、昨夜はこの小屋に5人泊まり、外にワンゲルのテントがあったという。本日は私1人。週末だというのに・・・。みんな前線南下のため雨、という天気予報で来ないのか、それとも山が深すぎるのか・・・。大雨になってきたし、する事もないので1人寝る。18時。 早く寝たこともあり、何回も目が開く。それは強い雨音であったり、鹿のキューンとかヒューヨーンという鳴き声だったり、風が戸をたたく音だったりした。そんなことで長い長い夜であった。 |
登山道にはたくさんのドングリやクリが落ちていた | 聖岳東尾根の紅葉 |
滝見台近くから2つの滝を | 滝見台近くから聖岳 |
東京商船大学生遭難碑から下の渓流を | 聖平小屋 (手前が冬季小屋) |