05.11.07 MM第118号
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【感想 等】 夕方5時に降りだした雨は夜通し止まなかった。それも、大雨であり風も強かった。その雨は小降りになったものの、朝5時にも降っていた。 前線が通り過ぎることを信じて、起きた。朝食を取っているとだんだん夜は白んできた。そして6時頃には霧雨のようなガスに変わった。 6時10分、予定通り奧聖岳に向かって出発した。山頂で快晴になることを祈りつつ・・・。 15分ほど歩くと、薊畑に着いた。そこは便ガ島への分岐である。残念ながら展望はあまりよくない。なだらかな尾根をずんずん歩いていく。夏にはお花畑になっているだろう枯れた草原を進んでいく。中には下の写真のように赤く色づいた草もあり、目を楽しませてくれる。また、ガスも徐々に晴れだし、雲海の上に山々が顔を出してきた。 7時過ぎ、2662mの小聖岳に着いた。出発してから1時間、青空ものぞき気分も良く、十分の睡眠で体調はばっちり。この分なら聖・奧聖では快晴だ、とウキウキしてきた。それで少し休んだだけで聖岳に向かった。聖・奧聖方面の稜線の右側にはガスがかかり左側は風でガスが跳ばされている。 歩いてきた小聖岳をふり返ると草が紅葉してオレンジ色に染まり雲海に浮いていた。 小聖岳から30分くらい歩いたところに水場があった。登山地図にも出ているが、山肌に灰色の塩ビの管が差してありそこから水が出ているのは不思議な感じがした。このような水場が2800mくらいの地点にあるのもあまり見かけることはない。 8時過ぎ、聖岳に到着した。残念ながら、下の写真のようにガスは残ったままであった。聖岳は晩秋のガスの中で静かにたたずんでいた。奧聖まで歩くうちに晴れるといいな、と思い10分ほど休憩して出発した。 聖岳と標高差が−35mの奧聖岳には10分余で着いた(写真)。少し明るくはなったが、まだ聖岳山塊は雲の下だった。ここには山頂によくある立て札の標識はなかった。三角点と岩にペンキで「奧聖」と書いたものだけがあった。天気はまだ回復しなかったので、「聖東尾根」を下りながら待つことにした。 この尾根は一般ルートではないので登山地図には出ていない。私も知人から聞くまで知らなかった。また、知ったあとも登山地図に出ていないコースなので通るか否かずいぶん迷い、ブログで尋ねたり、HPで調べたりした。その結果、目印はあるものの、最近もベテランの行方不明者が出ていることもわかった。 私は危険個所や、迷いやすい所等を調べ、行けることを確信し通ることにした。 奧聖岳からの下りは踏み跡があったが、間違っていかないようにということか赤い矢印を石で隠してあった。そこは、浮き石やガレが多い急坂で、注意して下っていった。雪崩を避け冬季ルートに使っているということだが、この急坂を登るのは大変だ。コースはたいしてわかりにくいところはなかったが、やせ尾根で両側とも切れているハイマツの上を歩く場所もあり緊張した。ガスったら危険は何倍も増加する。本当に天気が回復しつつあって良かった。写真のような雷鳥にも2回会った。冬に向かって白くなりかけていたものもいた。 9時頃、白蓬ノ頭に着いたかな、と思ったがそれは無名の小さなピークだった。 9時半過ぎ、白蓬ノ頭に着いた。三角点があり、木もなく展望が良い。そして、ちょうど赤石岳が太陽に照らされた(写真)。青空もかなり広がってきた。1人赤石岳の展望を堪能し、夢中で3台のカメラでシャッターを切った。 しばらく下ると樹林帯に入る。樹林が深いところは苔がいっぱいだ。北八ツを思い出していた。北八ツのような柵はないので登山道が苔の上だ。それも過ぎると広葉樹林になり、落ち葉のじゅうたんの上を歩く。 その後は、またまた急坂だ。結構な距離急坂の下りが続き、つま先に体重がかかりすぎ、足の親指が痛くなったくらいだ。 12時過ぎ、中部電力鉄塔に出た。ここまで来れば、あとは簡単だ。あわてないでゆっくり下り、12時半に東俣林道に出た。 今日は誰にも会わない静かな静かな晩秋の1人旅であった。 帰りには赤石温泉白樺荘に寄った。静岡市の市営でしかも無料だ。アルカリ成分があり、肌がすべすべになったし、疲れも取れよかった。地元のお年寄りと話すと、30数年前、中部電力のダム工事の時温泉が出て建物を建て無料開放しているとのことであった。近くなら毎日は入りたいところだ。 |
薊畑先の登山路 | 聖岳3013mはガスの中でひっそりと |
奧聖岳は三角点と赤ペンキで書かれた「奧聖」の文字が | 聖東尾根を少し行ったところから聖・奧聖を |
雷鳥が2羽顔を出す | 白蓬ノ頭から赤石岳を |