05.12.31 MM第124号

   私の出合った日本百名山 by masarus                                

大覇尖山 (たーぱせんざん ダーパシェンシャン) 3505m   台湾五岳    

    
この山の私の印象                           

「 梯子を撤去するのでもう登れなくなると聞き急遽登った 大覇尖山 」

【歩いた日】     1991年10月29日(火) 〜 30日(水)

【天候】       小雨

【コース及び時間】 

10月29日(火)

 6:20台北=8:40五峰入山所=10:50観霧=12:05馬達拉溪登山口(昼食)12:52出発−16:55九九山荘(泊)

10月30日(水)

 九九山荘2:50出発−5:50避難小屋6:10−6:37中覇尖山−7:10小覇尖山への分岐−7:35大覇尖山〈3505m〉8:00

−8:50中覇尖山−9:25避難小屋9:40−11:35九九山荘12:10−14:30登山口14:50=22:00台北

       【 登り 7時間28分    下り 4時間40分 】 

*コースタイムは休憩や写真撮影などを含む実際にかかった時間です。
 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。あくまでも参考タイムです。

  
  
【感想 等】
 
 台湾五岳第3弾は、大覇尖山3505mである。
 前回紹介した雪山のある雪覇国家公園内にある。
 大覇尖山の山頂の形は名前の通り尖っていて、雪山山脈の中でも特に目立つ。その尖山への長い鉄梯子が錆びて壊れてきたので取り外すという情報が9月中旬に入ってきた。それで、撤去される前に急遽、登ることにした。登っておかないと「台湾五岳」達成ができなくなるからだ。
 急遽の募集であったが、いつものメンバーを中心に10名が集まった。

 私は今回、10人の登山隊の隊長として登った。毎回そうだが、2回のトレーニングを行い、書類を集めて提出する。
 今回は急であったためか、急に参加できなくなった人がでたり、書類が集まらなかったりで大変であった。
 しかも、登る日が近づくにつれて、台風が台湾に向かってきた。
 台湾は沖縄のそばである。沖縄を北西にそれた台風は台湾にやってくるのだ。台湾は沖縄と共に台風の通り道にあるのだ。
 出発できるか心配であったが、ガイドからも連絡はなく集合時間を迎えた。
 しかし、集合の午前6時になっても隊員2人と山岳ガイド1人が来ない。そして、マイクロバスも来ない。
 ようやく全員集まりバスも来て約20分遅れで出発した。昨夜は飲み会があったのだが、遅くまで飲んだのかもしれない。

 バスは小雨に中を順調に走った。バスは25人乗りを予約してあったのでゆるゆる座れよかった。どこまでバスが入れるか心配であったが、予定通り「馬達拉溪登山口」まで入ることができた。
 そして13時少し前、時々小雨の中を歩き始める。
 自炊用の圧力鍋や食器、食材など荷物は20kgであった。久しぶりの重い荷物でみんな順調に歩けるか、心配であった。
 しかし、人数も10人と少なく、体力差がなかったのか遅れる者もなく並んで歩けた。また、天気も良くないので風景を眺めたり写真を撮ったりすることもなくスムーズに進むことができた。
 17時前、たいして疲れもせず、4時間かけ明るいうちに今夜お世話になる九九山荘に着いた。
そして早めに夕食を取り、18時過ぎに寝る。今回は台風が来ると困るので、3日間の予定を2日間で登ることにしたのだ。風呂付きの小屋と聞いていたが、その話はどこかへ行ってしまった。
 夜中はキールン山岳会がうるさくてよく眠れなかった。

 翌日、2時少し前に起きる。手分けをして準備をし朝食を取り、午前3時前にアタックザックを背負い出発した。
 やはり小雨。その中をヘッドライトをつけて歩く。
 6時に避難小屋に到着した。明るくなってくると写真のように大覇尖山の山頂付近が見えてきた。北アルプスの槍ヶ岳のように天に向かって突き出ている。
 6時37分、中覇尖山に着く。しばらく歩くと小覇尖山への分岐だ。そして、「槍ヶ岳」の肩のようなところを巻き、大覇尖山てっぺんへの鉄梯子だ。写真のように山頂へはジグザグの梯子が切れ目なく続いている。雨に濡れ滑るので手すりをしっかりつかみ慎重に登る。
 事前の情報の通り、錆びてぐらぐらするところもあったが、7時35分、全員無事登頂できた。小屋で買ってきた台湾ビールでみんなで乾杯をした。台風が接近する中、梯子撤去のため登れなくなるということで無理をして登ったが、全員無事に登頂できたことがうれしかった。少々、無謀な登山ではあった。事故でも起きれば、ガイドと共にたたかれるであろう。

 山頂で30分ほど休み、下山を開始した。雨は相変わらず降ったり止んだりだ。そして、ガスは深く展望は良くないままであった。
 9時25分避難小屋に着いた。同じコースを下るので各自のペースで行動した。そのため少し隊の間があいた。
 仲間を待つため避難小屋で15分ほど休んだ。そして、11時35分、九九山荘に着いた。予想以上に速いペースであった。
 山荘で荷物を整理し、休息後12時10分に出発した。
 その後も順調に歩き、14時30分、登山口に着いた。

 帰路、途中のレストランで登頂祝賀会をやり、22時台北に戻った。

 2日間雨が降ったり止んだりだったが、ガスに煙る大覇尖山の写真を撮ることができた。
 その記念の写真は全紙の伸ばし額に入れて飾ってある。
 
小雨に中を九九山荘に着く 大覇尖山3505m山頂はこの先の岩の上だ
老朽化した鉄の階段を登る 登頂後の下山、足取りも軽く

「 台湾五岳 」とは・・

 日本の百名山のように台湾国内から選ばれた5つの山のことです。
 台湾には、九州とほぼ同じくらいの島の中に3000m以上の山が133座あります。そのことだけでもびっくりしますよね。あの屋久島のように島全体が山と言ってもいいかもしれません。
 そこには富士山より高い山もあるんです。それらの山の中で最も高い「玉山(3952m)」は日本統治時代は「新高山(にいたかやま)」と呼ばれていました。新しい高い山と言う意味です。
 この「にいたかやま」はあの太平洋戦争勃発の真珠湾攻撃の時の暗号「ニイタカヤマノボレ」に使われましたので聞いたことのある方もいると思います。 あとの4山は
「南湖大山(3740m)」
「雪山(3884m)」
「北大武山(3090m)」
「大覇尖山(3505m)」
です。
これが「大覇尖山」山頂のベストショット 落石がありそうな岩に沿って進む

 私の出合った百名山HPトップ   発行済みMM 「日本百名山」TOPに戻る   masarusにMail

inserted by FC2 system