06.11.04 MM第153号

   私の出合った日本百名山 by masarus
       
                         

大峯奧駆道(おおみねおくがけみち) 1 (世界遺産)

吉野から熊野本宮までの 全体を通して

    
  この山の私の印象                                  

「 世界遺産といえどもほとんど人に会わなかった 大峰奥駆道 」

【歩いた日】     2006年8月20日(日)〜8月25日(金)

【天候】       快晴が多かったが雨や雷もあった

【コース及び時間】 

 吉野=(ケーブルバス)=竹林院−四寸岩山(1日目)−山上ガ岳−行者還岳(2日目)−八経ガ岳−

釈迦ガ岳(3日目)−行仙岳(4日目)−玉置山(5日目)−熊野本宮



       【  吉野から熊野まで全山縦走(逆峯) 5日と少し   】


*コースタイムは休憩や写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。
 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。あくまでも参考タイムです。

【温泉】      丹敷の湯(那智市)   600円

  
【感想 等】
 昨年9月に熊野古道「中辺路」に行き、大峯の山々を歩きたいと思っていた。
中辺路は京の都の人間が熊野詣でに歩いたコースである。
それに比べ、大峯奥駆道は修験者たちの修行のコースである。
ハードルが多少高い方が歩きがいがある。
ただし、静岡からのアクセスは良いとはいえないので、身近に歩いた人はいなかった。
それで、著書やネットなどで調べ、出かけた。

 「大峯奥駆道」は吉野から熊野本宮までの140km。
私は竹林院までは交通機関を使ったので多少歩く距離は減ったが、地図上を線引きで測っても90km以上あった。(ちなみに昨年2日間で歩いた中辺路は40kmということだった)

 8月下旬に1週間の休みが取れ、無事に全山を縦走した。
休みの日数の関係もありのんびりとは歩けなかったが、『修験道』にふさわしい変化に富んだものになった。
詳しくは次号から書くとして、ここでは全体的なことを書いてみたい。

行くに当たって次のことを考えた。

・リーズナブルな山歩きにするため、基本的には3食自炊にする。
・快適に歩けるように荷物は20kgくらいにとどめる。
・1日9時間歩き1週間以内に歩ききる。
・山また山のコースであるので、エスケープルートを絶えず考えておく。


 私の出合った「大峯奥駆道」 は・・・

(1)大峯山寺、八経ガ岳、玉置神社ではデイバックのハイカーや観光客に会ったが、あとの場所では全く会わなかった。登山者にも話したいと思っていた修験者にも会わなかった。暑い8月、天候が不安定なためだろうか。

(2)6日間のほとんどが晴れで雨は1日のみであった。それも3時間くらいだ。ただ、毎日のように雷雨・雷注意報がでていた。尾根で雷雨に遭遇したときは死ぬかと思った。初めて弱い雷の電気に感電した。

(3)大峰山脈は最高峰が八経ケ岳(1915m)で1500m以上の山々が連なる中級山岳である。そのため多くの山で木々が生い茂っていた。大自然の木々の中の山歩きであった。そのため、晴れていても比較的過ごしやすかった。

(4)木々が生い茂っているので多くの動物たちに会った。子供を連れたイノシシ、シカ、サル、ネズミ、ヘビ、カエルなど。
山小屋でネズミにご飯を食べられてしまったのは大失敗だった。

(5)初めてツエルトなしのビバークを経験した。1日目に天気も良さそうなので林の中でやってみた。時々、顔や頭にバッタが飛んできて困ったが、落ち葉の布団も良いものだった。遭難などの非常事態でやる前に、1度体調の良い夏の快晴の中で体験しておきたいと思っていた。(ツエルトは荷物を軽くする関係でおいてきていた。)

(6)関係者のご尽力でかなり整備されている。特に「太古之辻」までの北奥駆道は立派な石柱の表示があった。南奥駆道もかつてはまともに通ることができなかったそうだが、歩くことができた。ただ、表示や整備はまだ十分とはいえない。

(7)最後に泊まった「玉置神社」は世界遺産の建物である。そこに宿泊できるとはありがたかった。(観光客は泊まれない)社務所の方とお話しできたのはうれしかった。

(8)下の写真のように今でも女人禁制の場所もあった。かつて解除されたような報道はあったが、そうではなかった。大相撲の土俵のように伝統が守られているのである。

(9)吉野、熊野本宮など交通のアクセスが良くない。私は乗り継ぎに失敗し、1時間遅れで最終バスに飛び乗り、吉野から竹林院に着いた。熊野本宮からは最終バスが15時10分。それに間に合うように歩くか、もう1泊するかだ。(もちろん、その途中の登山口はもっとその傾向が強い。)
それが熊野の素朴さを保っている。不便さは良い面も良くない面もある。
熊野が知床のようにオーバーユーズにならないことを祈っている。

次号から詳しく「私の出合った大峯の山々」をお知らせする。
 
大峰の一部は今でも女人禁制だ 霊場には修験者たちのお札が・・・
大峰山寺は一番の賑わいだった 道中の湧き水はありがたい
紀伊山地は山また山であった 玉置神社は世界遺産であり・・・

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