07.07.11 MM第180号

   私の出合った日本百名山 by masarus
       
                         

 富士山(3776m)3  [日本百名山 静岡・山梨県] 

    
  この山の私の印象等は・・・                                  

「 登山禁止の中、多くのズック靴に呆れながら 雲上散歩を楽しんだ 富士山 」


【歩いた日】     2007年7月1日(日)

【天候】        快晴

【コース及び時間】

 富士山新五合目富士宮登山口5:45−5:58新六合目−7:11七合目−7:44八合目−8:14九合目8:19

−8:40九号五勺−8:47アイゼン着8:55−9:01アイゼン脱9:05−9:12頂上浅間大社奥宮9:20−

9:33剣ヶ峯〈3776m〉9:46−(お鉢巡り)−10:15富士吉田口10:20−10:43富士宮下山口10:57

−11:19九号五勺−11:33九合目11:37−11:55八合目−12:08七合目12:25−12:42新七合目

−13:06新六合目−13:17五合目富士宮登山口P


   【 登り 3時間23分  下り(お鉢巡りを含む) 3時間1分   計6時間24分 】

*コースタイムは休憩や写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。
 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。あくまでも参考タイムです。


【温泉 等】   アクアスやいづ(海洋深層水タラソテラピー施設)  1000円(2時間 パブリックプール)

  
【感想 等】

 私は富士山を眺めるのも登るのも好きだ。富士山は9度目の登頂である。
今までmasarusのコーナーを含め何回か紹介している。
HPとしては、9月の富士山昨年の10月の富士山宝永山村山古道1村山古道2で紹介した。

 初めの数回は友人達と7・8月の安定した時期に登ってきていた。それも楽しかったが、最近は違う時期の富士山も知りたくて出かけている。
 また、一度は富士山の山開きの日に登りたいとかねがね思っていた。
退職していない一般の勤労者が「山開き」に登るには数年一度のチャンスしかない。
7月1日が休日に合わなければ登れないのだ。

 昨年は7月1日が土曜日だったので登る準備をしたが、雨だったので行くのを中止した。
山開きのこの時期は梅雨真っ最中で雨の確率が高いのである。

 今年は7月1日が日曜日。天気は昨年より少し良く、富士宮地方の降雨確率が20%ということだった。
よし、富士山に行こう!!と思ったものの、残雪が多く6月22日の新聞では10年ぶりに山開きが危ぶまれるという記事が載っていた。

 26日、富士宮市役所へ電話し、富士山の雪の状態等をお聞きした。返事は「よくわからないが、ちょうど、本日、土木事務所でブルドーザーで調べに行っているからそちらに聞いてくれれば詳しいことがわかる」ということで、TEL番号を教えていただいた。
 翌日電話すると受付の女性が出て、ちょっと待ってください、とかなり待たされた後、「雪の深いところで4m、登れない」の一点張り。冬山の経験もあり、アイゼンを付けて登りたいが本格的アイゼンが必要か軽アイゼンでいいのか聞くと、それはわからない、という。警察に聞いてくれ、登るなら警察に登山届けを出すように、と言われた。

 28日、富士宮警察署に電話で聞いた。山の状態を見ていないのでアイゼンはどちらがいいとかはわからない、との事。当然である。結局、たらい回しにされたことになる。
 ブルドーザーでの下調べに行った担当者が、詳しい情報を文書にし職場内で、また関係機関で共有してほしいものだと切に思った。できれば、HPにアップし情報公開をしてほしいものだ。
 翌29日の新聞には、静岡県側の3つの登山道とも10年ぶり山頂までは解除できないことが出ていた。富士吉田口は雪かきにより何とか山開きに間に合った、とも出ていた。

 山梨県側の富士吉田口に行くことも考えたが、やはり近い静岡県側から登頂したい、と富士宮口に前夜夕方に到着した。表口五合目駐車場はガスがかかっていた。天気が良ければ、夜間出発してご来光を拝みたい(ただし、山頂付近はかなりの雪がありアイゼンを付け慎重に登らなくてはならない)。
 しかし、夜間ずっと断続的に雨が降り、1日の朝を迎えた。5時頃出発したグループもあった。

 昨日以上にガスはかかっているが雨は降っていない。私は5時45分、12本爪のアイゼンとピッケルを持ち出発した(写真)。とうぜん、登山靴はアイゼンが付けられる冬季用の物である。
出発時、3人組のグループが一緒だったが他には姿がなかった。
 6時少し前に新六合目小屋に着いた。下の写真のように柵が作られて『通行止め』の看板が立てられている。普段は9月1日から6月30日までこのようになっている。
 しかし今年は、写真でもわかるように残雪が多いので7月に入っても通行止めなのだ。
 
 ここまで来ると、ガスが薄くなってきた。そして、ガス越しに真っ青な青空が顔を出してきた。
山頂までずっとガスの中を登るかもしれないと覚悟していただけにうれしかった。

 七合目小屋の雪渓は斜面もなだらかで斜めに横切るのでアイゼンは必要ない。昨夜は雨の七月であるので雪は柔らかであった。
 順調に歩を進めた。そして、うれしいことに太陽も顔を出してきた。
 火山灰の山肌や雲海などを眺めながら1歩1歩進んでいく。

 7時44分、八合目小屋に着いた。通行止めなので山小屋はどこも閉まっている。
その小屋先でズック靴で休んでいる若者もいた。軽い高山病の感じのようだ。

 8時14分、九合目小屋萬年雪山荘に着いた。標高は3460m。
ここまで来ると、名前のように小屋の裏まで雪がある。
あと、300mで山頂だが山頂付近にはびっしり雪が見える。
私の休憩のリズムと小屋のある位置が合ったので小屋の前で休憩した。

 九合五勺まで20分、その少し上で座り込んでアイゼンを付けている2人組がいた。
雪は柔らかく普通の山ならアイゼンがなくても登れるくらいだ。
しかし、傾斜が大変急で滑ればそのまま滑落してしまう。

 私はリュックからアイゼンを取り出し付け、ピッケルのひもを手首に付け気を引き締めて出発した。
写真のように前を歩く人が3人見えた。3人ともアイゼンを付けていたがピッケルは持っていなかった。
滑落したとき、体を止めるためには必要だと私は思うが・・・。

 アイゼンを付けて歩いたのはわずか6分だった。久しぶりに雪を味わい楽しかった。
布製のズック靴に軽アイゼンを付けて登っている人もいた。

 びっくりしたことは、雪渓の中をブルドーザー道が横切りそこは雪がないのだ。
そのブル道を通ればアイゼンなしでも山頂に立つことが出来るのだ。
出発前、私に山頂の様子を聞いてきた年輩の人は、ブル道なら通れるだろうということを知っていた。
そして他のブル道はロープが張られ、迷い込まないようにしてあり「通行禁止」の札もぶら下がっていたが、ここにはそれがない。

 9時過ぎ、富士宮口の山頂である「頂上浅間大社奥宮」に着いた。昨年10月に見た雪が付いた鳥居とは全く違い、快晴の空の元、余り雪のない中にでんと構えていた。
 それは夏の顔であった。しかし、いつもの夏の顔と違うのは神社も山小屋も閉まり、静まりかえっていることだ。

 剣ヶ峯方向には私の身長を超える雪があるところもあった。かつて雪の多い8月に登ったときにもここの便所に行くのに3mほどの雪山を越えて行ったことがあった。
 10月に強風で写真を撮っていた人が滑ってきた氷は溶けて水たまりになっていた。

 剣ヶ峯までの最初の道は日当たりも良くかなり雪が解けていてぬかるんでいた。
10月に苦戦した最後の登りも全く雪はなくスムーズに歩けた。
 9時半過ぎ、日本で一番の高所「剣ヶ峯」に立った。
剣ヶ峯の狭い山頂には数人が休んでいた。

 山頂から見た富士宮口方面の写真が下にある。
山道に雪がないと言っても静岡県側3登山道は通行止めであるのでこれくらいは雪がある。
結構白くて、その向こうには雲海が広がりそれも白い。山頂から見た風景は思った以上に白い。
もちろん、火山灰の山肌は黒く、白と黒のモノトーン的な風景になる。

 雪が残る中、剣ヶ峯から北進しお鉢巡りに向かう。
お鉢の淵を3分ほど歩くと、アイゼンを付けたくなるくらいの急な下りだ。
雪はやわからく、落ちても雪のスロープで止まりそうだ。
先を行く3人組は滑りながら走って下った。
私は慎重に登山靴の踵で雪にステップを付けながら降りていった。
そこ以外はたいした雪ではなかったが、回り込んで写した剣ヶ峯は下の写真のようだった。

 雲海と火口の様子を楽しみながら約1時間かけて火口を一周回る。
さすが、山頂まで開通した「富士吉田口」からは数珠繋ぎで登山者が登ってくる。
お鉢巡りで人が多いのは吉田口山頂だけだ。

 富士宮口山頂で11時近くまで展望を楽しんだのち、来た道を下り始めた。
 九合五勺手前の雪渓ではアイゼンを付けて下った。
ズック靴でアイゼンも付けずに登ってくる命知らずもいてびっくりした。
滑り落ちたらどうなるだろうか・・・・

 下山中に、何人もズック靴で登ってくる人があった。富士宮口から登る人の70%はズック靴等の雪対策なしであった。
私は彼らに声をかけ、冬山装備のない一般登山者は通行止めであること、ズック靴では急坂の雪渓は危ないこと、裏道としてブル道なら山頂へ行けることを伝えた。

 下りは高山植物を見ながら降りていった。
登るときは気が付かなかったタカネツメクサやイワツメクサなども咲いていた。

 1時過ぎ、新六合目に着いた。
さすが小屋の前には多くの観光客がいて、山頂方向の写真を撮ったり休んだりしていた。
そこを過ぎるとガスの中であった。
そして、駐車場も上の部分は満車であった。

 登山のあとの楽しみは温泉だ。
 前日は富士山スカイラインを下ったところにある「富士山天母の湯」に入ったので、今回は地元まで戻り「アクアスやいづ」に行くことにした。
 アクアスやいづは1年前にオープンした海洋深層水の体験施設である。今はやりのタラソテラピー 【thalassotherapy】施設である。いろいろな施設があるが、私が使うのはもっぱらプールである。駿河湾の深さ300m以上のミネラル一杯の深層水を36度に温めたプールとジャグジーがお気に入りだ。(当然ながら、水着で入るのであるが、水着がちょっと体に付いてしまうこともあるが)
 写真のようにジェットバスは屋外にもある。焼津港が見えるだけでなく、天気が良ければ富士山や伊豆半島も見える。
 残念ながら富士山は厚い雲の中であった。焼津アルプスも標高400m以上はガスがかかっていた。
 あと気に入っているのは水圧が強いジェットバスで足の裏や腰、ふくらはぎなどをケアーすることだ。あとはプールをゆっくり歩き全身の筋肉をほぐした。
 この日も2時間、富士登山の疲れを癒した。

 翌朝の新聞に、「富士山開き ご来光を見た!」が出ていた。あの雨の中を登り、ご来光に巡り会えた人達がいたのだ。私にもあと少しガッツがあれば・・・。
 今回の私の出合った富士山に満足すると共に、100人いれば100通りの富士山との出合い方があることを感じた。

  家に帰って首や顔を見ると日に焼けて少し赤くなったな、と思った。
4日ほどすると、顔の皮がむけてきた。紫外線の強さにも驚いた富士登山だった。  
  
 
富士宮五合目はガスの中であった 六合目小屋からは通行止めであるが・・・(下山時の写真)
七合目小屋からこんな雪が出現した 九号五勺小屋上は急斜面に雪原が広がっている
剣ヶ峯山頂から富士宮口方向を お鉢巡りから剣ヶ峯山頂を

 私の出合った百名山HPトップ   発行済みMM 「日本百名山」TOPに戻る   masarusにMail

inserted by FC2 system