07.10.22 MM第191号

   私の出合った日本百名山 by masarus
       
                         

鋸岳(のこぎりだけ 2685m) 

[ 二百名山、山梨県・長野県 ]

    
  この山の私の印象等は・・・                                  

「 進入禁止と知らず入ってしまった釜無川源流からの 鋸岳 」
(* このコースはお勧めできません)


【歩いた日】     2007年9月22日(土)

【天候】        晴れ

【コース及び時間】

 釜無川源流ゲート6:19発=(自転車)=6:43ゲートから3.5km地点6:48−8:07飯場跡−

9:25横岳峠9:37−11:38角兵衛のコル11:46−11:49角兵衛沢分岐−12:03鋸岳〈2685m〉

12:24−12:34角兵衛沢分岐−13:00三角点ピーク13:05−13:58横岳峠14:09−14:53

飯場跡15:00−16:04ゲートから3.5km地点=(自転車)=16:33釜無川源流ゲート


   【 登り 5時間19分  下り 3時間46分   計9時間5分 】

*コースタイムは休憩や写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。
 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。あくまでも参考タイムです。

【温泉】    道の駅「信州 蔦木宿」つたの湯  500円


  
【感想 等】

 3連休を使って日本200名山3座にトライしようと出かけた。
3座の縦走ではなく山梨県の西、北東、東と移動しながらの登山だ。
その第1日目は鋸岳。

前から登りたかった南アルプス南部の鋸岳。
甲斐駒から行くことも考えたがより簡単な釜無川源流からの入山を選んだ。
『アルペンガイド14 北岳・甲斐駒・仙丈(山と渓谷社)2001年4月』にもこのコースが出ていた。
コースタイムを合計すると登り8時間、下り6時間の14時間である。
コースタイム17時間の飯豊山を11時間半の日帰りで歩いたことがあるので、何とかなると思い登ることに決めた。
一応、非常時に備えヘッドライトなどを持った(道迷い等に備え持っていくことが多い)。
また川沿いの林道は、時間短縮のため、サイクリングを楽しむために、自転車を持っていった。

 国道20号線から少し入ったところにある釜無川源流のゲートに着いたのは朝6時少し過ぎだった。
下の写真のような厳重なゲートがあり「工事関係なきものの立入禁止」「徒歩、自転車、バイク等による通行も禁止する」「この先、土砂崩れのため立ち入り出来ません」など、たくさんの看板が付いていた。
自分1人なら、躊躇してしまっただろうが、先客が3人以上はいることは確かだった。
それは、すでに車が2台止まっていて、途中客を送り届けて帰るタクシーにも出合ったから。
また、看板に日付もないし、いつ付けられた物かもわからない。工事のじゃまになるから付けたとか・・。
HPでも最近登ったものもヒットしているし、ガイドブックにもあるコースである。
それで、6時19分、柵の左側の石の上を自転車をかつぎゲートを越えて出発した。

 釜無川沿いの林道は、平らで路面もよいなかなか走りやすいコースだった。
自転車は内装3段のタウンサイクルだ。
途中、工事関係者の駐車場があり車が数台止まっていた。
その先に簡単なゲートがまたあった。(飯場跡まで合計3つのゲートだ。)

快調に20分余走ると台風等の大雨で崩れて工事した跡に着いた。
そこから急な登りの林道になったので自転車を置いて歩くことにした。
ゲートから500mごとにあった表示を見ると「3.5km」とあった。
3.5kmを20分余で進んだことになる。少しだけ楽ができ時間を稼ぐことができた。

 道はすぐに川沿いのゆるい勾配になった。もう少し自転車で行くこともできた、と少し後悔をした。
ここから先は、生々しい崖崩れの跡が多数あった。
現在も工事中でショベルカーが置いてあった。
林道が流され道を付け替えてあるところもあった。

 林道脇のフジアザミが長い林道歩きを癒してくれる。
少し行くと、「富士川の水源」という古い大きな金属製の看板もあった。
飯場跡手前には先日の台風の影響と思われる土砂崩れの跡が手つかずのままあった(下の写真)。
林道横の沢からの鉄砲水が山の上からの土砂を大量に運び、林道を覆い尽くしていた。
釜無川源流のこの地域は大雨のたびに土砂崩れがあるのだろうと思った。

 8時過ぎ、飯場跡に着いた。
飯場跡には赤い屋根の新しい建物が建っていた。
その前で少し休憩した。
地図ではここから左岸に越すことになっている。
道を探すと、川に下りるところに対岸に向かって赤い矢印があるのを見つけた。

 そこを対岸に渡ると、やはり赤い目印を見つけることができた。
よかった。
4年前の台風一過の幌尻岳を思い出していた。
台風で登山道が完全に流され探し出すことが出来なかった・・・・

細くなった釜無川沿いを登っていく。
しかし喜んだのもつかの間、赤いペンキやテープは数分で見えなくなった。
沢を歩くしか道はない。
やはり登山道は流されたのだろうか?

 20分歩くと、それは確信に変わった。
沢をそれ以上進めなくなったのだ。
仕方ないので、対岸に目を凝らし歩けるところを探した。

 あった!
10mほど下流に、小さな赤いテープを見つけた。
沢からよじ登ると数mの高さの所にはっきりとした登山道があったのだ。
そこからは台風の影響は少なく順調に歩けた。

 針葉樹の茂った急な坂を登っていく。
やがて、「この先 富士川の水源」の新しい標識があった。
ここまで全く標識がなかったので不思議な感じがした。
そのまま急な坂を登り続けると2又に出たが、表示がない。

 登っているのは右なのでそちらを選ぶ。
左は「富士川の水源」への道かもしれない、とも思ったが、先ほどの表示から離れているので違うと思った。

 やがてダケカンバ林になり、足下にはシダが茂っている。
トリカブトなど夏の花の残りも咲いている。

 9時25分、横岳峠に着いた。
そこには今日見る2つ目の標識があった。
「この下に富士川の水源があります」とあり、木の杭に「横岳峠」と書いてあった。
どちらも立派な標識だが、先ほどの物より風化していて古そうだった。

 どうも登山ルートとしての整備はする人はないが、
富士川の水源としては役所からの費用が落ちている感じであった。

 横岳峠で10分余、休憩した。
ここは少し広いし平らで、草が刈ってある感じでテントを張るのに適している。
ガスが出てきたが、ここまで登ればあとは尾根歩きだ。

 初めは少し登りだ。
しかし尾根歩きは楽しいので苦痛ではない。
また歩きにくい所もなかった。

 10時41分、三角点に着いた。
2607mの三角点ピークかと一瞬思ったが、
それは登りの途中にあったので「三角点ピーク」とは違うことがわかった。
なんでそんなところにあるの?といった感じだった。
結構この登りは体にこたえた。

 ガスは近くにはないが山々にかかり展望を妨げている。
ぼーとして歩いていると、
三角点ピークから少し下ってからもう通り過ぎてしまったことに気づいた。
山道の両側にはシャクナゲがたくさん生えていた。
ガスが薄くなり山容が見えてきた。

 11時半過ぎ、角兵衛のコルに着いた。
山頂まではあと一登りだ。
少し休んでから出発した。

 そこから3分ほど歩くと、角兵衛沢分岐だった。
12時過ぎ、2685mの鋸岳山頂に着いた。
山頂にはヘルメットにロープをもった若者3人組が休んでいた。
甲斐駒まで縦走で、今日は行けるところまでという。
私も縦走のコースも考えたが、今回はあきらめたので余計にいいなぁ、という気持ちが強くなる。

 今日は展望がなく残念ではあるが、念願の鋸岳に無事登れた喜びをかみしめた。
しかも予定より早めで、空が明るい内に下山できそうである。

 3人組はそのうちに出発し、山頂は私1人である。
のんびり休もうと思って昼食を取ってくつろいでいたが、コバエがうるさい。
何匹も顔に付いてくる。
あまりにうるさいので12時半前下山することにした。

 コースがわかっている来た道を戻ればいいので安心だ。
10分で角兵衛沢分岐、3人組はここから登ってきたのだ。ガレた急登で楽ではない。
私のように日帰りの軽い装備ならまだしも、ビバーク用の装備を一式持てばかなりの重さになる。

 順調に下り角兵衛ノ頭と小さなピークを越え、1時に三角点ピークに着いた。
その手前では、少しガスが晴れ、鋸岳やその他の山が見えてきた。
特徴のある山頂のぼっちを今回初めて見た。

そこには林道で追い抜いてきた中年夫婦が休んでいた。
彼らは鋸岳登頂後、角兵衛沢に下り、「大岩下ノ岩小屋」にビバークするという。
ゲート手前であったタクシーは彼らを送ってきたものだったのだ。

 彼らと5分ほど話し、急坂を下っていった。
1時少し前、横岳峠に着いた。
そこにはテントが張られ中年夫婦が休んでいた。
下の釜無川源流から水を汲み上げここに泊まり、明日鋸岳にアタックするという。
それものんびり出来ていいな、と思った。
彼らと10分ほど話し下っていった。
源流表示近くでは、沢の水を飲んでみた。おいしい!
沢の水は冷たくてミネラル豊富で本当においしい。

 途中、単独の男性にあった。
彼も、横岳峠にテントを張るという。
中年夫婦がいることを告げ、下っていった。

 樹林帯を快適に下り、釜無川沿いの道に出た。
登りでは20分ほどコースを外れたので今度ははずれないように歩いたが、やはり目印を見失った。
仕方ないので、沢を下っていけば飯場跡に着くことはわかっているので沢を歩いた。
ずんずん下っていき、この辺かな、と左岸を見ると20mくらい上流に飯場跡の赤い屋根の建物が見えた。
行き過ぎていたので戻って河原から上った。
(またしても、数分道に迷ってしまった。道が流されているので仕方ないことだが・・・)

 そこには20人くらいの中年グループがいて、建物の1階土間に宿泊スペースを作っていた。
今日、何組かに出合ったが、みんな登り方や過ごし方が違っていた。
ガイドブックに十分出ていないからであり、おもしろい。

 数分休憩してから、3時に出発した。
ここからは長い林道歩きだ。
自転車を止めたところまで約6kmある。
疲れない程度にすたすた歩いた。

 少し下りということもあり1時間4分で着いた。
すぐに自転車に乗り走り始めた。
しばらく走るとシャベルカーなどで道路を工事しているのが見えた。

 近づくと、幅3m余、深さ1.3mほどの穴が2つあいていた。
1つには工事用の鉄の板が2本かかっていて通れたが、もう1つは今掘っているところだった(写真)。

どうしよう、と困って見ていると、
「この道は歩行者も自転車も通行禁止だよ。ゲートに書いてあっただろう。
通行人があると工事がやれないんだよな。少し待ってな。」
「すみません。」と、言って私は工事を見ていた。

 10分ほど待っただろうか、工事用の鉄の板を架けてくれて通ることができた。
「ありがとう。すみませんでした。」
(帰宅後、2007年2月発行の日本二百名山 登山ガイド[山と渓谷社]を見ると、地図上に登山道は書いてあるものの「ルートは存在するが、釜無川に沿って付けられた道は砂防工事用のため一般車はもちろん、徒歩による通行も禁止されている」と出ていた。)

 4時半過ぎ、車に着いた。
帰りは国道20号線を少し甲府方面に走ったところにある道の駅「信州 蔦木宿」の『つたの湯』に入り汗を流した。
ここは、夜10時までやっていてジャグジー、サウナ、露天風呂とそろっているので利用することが多い。
疲れをとって、2つ目の二百名山「和名倉山(白石山)」に向かった。
  
釜無川源流の厳重なゲートには「進入禁止」と 飯場跡には生々しい台風の爪痕が
シャクナゲがたくさん生えている ガスが晴れ山々が見えてくる
鋸岳山頂にはコバエが多く顔にたかられ閉口 林道を工事中、自転車で通るには・・・

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