2008.03.19 MM第208号

   私の出合った日本百名山 他の山々 by masarus
       
                         

三方分山 (さんぽうぶんざん 1422m)

[山梨県上九一色村町・身延町] 山梨百名山 


    
  この山の私の印象等は・・・                                  

「 だんだん雪が深くなり胸までのラッセルを経験した 三方分山 」

 *下に感想等の文があります。                                         


【歩いた日】     2008年2月11日(月)

【天候】        快晴

【コース及び時間】


精進湖7:15−8:47女坂峠8:52−10:24三方分山〈1422m〉10:45−11:13女坂峠11:25−

12:01精進湖P


   【 登り 3時間04分  下り 1時間04分   合計 4時間08分 】


*コースタイムは休憩や写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。
 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。あくまでも参考タイムにしてください。


  
精進湖は有名な富士山ビューポイント。夕刻の赤富士 なんとラッセルをすることになるとは・・・
女坂峠は思った以上の雪の中だった 尾根道はコースを選ばないと1m以上の雪だ
三方分山の山頂もいっぱいの雪だった 富士山と精進湖が眼下に美しくたたずんでいた

 【感想 等】

 
富士山を見ながら白銀の世界に浸かりたいと出かけた2月中旬の3連休、2泊3日の第4弾「三方分山山」である。
三方分山は富士五湖の精進湖の近くにある山である。

 1日目は箱根の丸岳(NO.205号)に登り、2日目は山中湖近くの石割山(NO.206号)と河口湖・西湖近くの足和田山(NO.207号)に登った。1つ目の丸岳が積雪が20cm、2つ目の石割山が積雪30cm、3つ目の足和田山が40cmと雪が増えていくのが不思議だった。4つ目の三方分山はどうなるのか・・・。
私の頭の中では、丸岳は別にしても富士山の北側に並んだ同じくらいの高さの山である。

 そして、雪が降ってから良い天気が丸々1日経った現在は、雪が少しは解けたり多くの入山者があったりして歩きやすくなっているだろう。そんなことを考えながら精進湖に向かった。

 精進湖には夕刻前に着いた。精進湖の北側にある富士山ビューポイントに行くとカメラマン達が数十人大型カメラを構えていた。私は家の近辺で開かれる写真展には時間の許す限り見せてもらいに行くが、富士山の写真展が一番多い。彼らは毎週末、ビューポイントに通いシャッターチャンスをねらっている。

 この日は写真としてはありふれた赤富士であったが真っ白い富士の雪が夕日で赤く染まっていくのはきれいでいい(写真)。私も刻々と変化する富士を見とれてしまった。
 近くの喫茶店には暖をとるためカメラマンが休んでいた。そこにはカメラマン達が撮った富士山の写真が展示されていたので拝見させていただいた。富士山はいいなあ、とつくづく思った。

 「三方分山」。名前からすると3つに分かれた山。尾根が3方向に連なっているのでそういう名前かと思ったが、3つの村の境界だったためだという。そのまんまの味気ない名前だ。今回、「富士五湖と富士山展望の山」というテーマで地図を見たり調べたりしなかったら見つけなかったであろう山である。
 
 しかし、調べると入山者はそれほど多くはないが、葉の落ちた冬場の展望のすばらしさが本には出ていた。富士山の展望が特にいいし、精進山、パノラマ台と周遊できるのがうれしい。
期待を込めて就寝した。

 翌朝は早くから車が出入りしていた。朝の富士山の写真を撮るためだ。私も気になって準備をしながらちらっちらっと眺めていたが残念ながらあまり美しくはならず太陽が昇ってしまった。
 車の中に脱ぎっぱなしだった靴を履こうとすると、左の靴が変形したまま凍っていた。足を入れようとしたが上手く入らない。仕方がないので凍った靴ひもをやっとの事で緩め、何とか足を滑り込ませた。ペットボトルの水もシャーベット状であった。昨夜は晴れたので放射冷却でより冷えたのだろう。

 7時15分、登山口の精進に向かって出発し、湖沿いの舗装道路を進んだ。数分で精進に着いた。そこには、カラー写真付きの「山梨百名山」の立派な案内板があった。山梨県が力を入れていることがわかった。
地図で周辺の様子を見て出発した。

 集落に入っていくと、屋根の積雪はまだ30cmほどあった。古い民家もありびっくりした。
集落の間を川沿いに進んでいくと神社があり、その先から山道になった。
この山道は駿河と甲府を結ぶ古道だという。
そこに1つだけ足跡が付いていた。
よかった、昨日登った人がいるのだ、これなら気持ちよく歩けるぞと思い登っていく。

 しかし、5分ほど歩いたところで、足跡は消えていた。
雪の中に45cmくらい足がもぐる。
きっと、麓に近いここで45cmではこの先1人では登れない、またはラッセルが嫌だとばかり引き返したのだろう。

 前日の午後から登った足和田山でとは違いまだ朝だ。
ラッセルをしても十分登る時間はある。

 私はずぼっ、ずぼっと、新雪に膝までもぐる雪に足跡を付け壺足で登っていった(HPの写真)。
道はたいして急ではないが、膝まであるとスピードはかなり落ちる。
時間に余裕があるので苦にはならず、壺穴を作るのを楽しみながら登っていった。

 しかし、ややハイペースであった。
途中からは疲れ、5分進み3分休むという感じになってしまった。

 8時47分、女坂峠に着いた(写真)。コースタイムでは1時間であるが、1時間半かかっている。
やはり壺足では思った以上に時間がかかる。

 女坂峠には古道の峠らしく石碑と石仏が半分雪に埋まっていた。3体ほどの石仏は胴体だけであった。
雪が少ないところを選んで腰を下ろして休んだ。

 ここまでは南側から登ってくる古道で歩きやすかったが、ここからは西に進む尾根道である。
最初から雪の吹き溜まりになっていて壁が出来ている。ももまで雪に埋まり通過する。
そのまま尾根を歩いて行ったら腰から胸までの雪である。1歩進むのにも大変だ。それで、何回も引き返したりコースを探したりして、沈みにくい藪の中を選んで歩く(写真)。

 私のスパッツはゴアテックスひもタイプの旧式のものである。かつてずれ落ちてきたことがあったのでサッカー用のストッキング止めでとめてあった。45cmで膝まで雪に埋まらなければ大丈夫である。しかし、雪が深く、しかも藪の中を歩いているので途中で片方を落としてしまった。帰りに拾えばいい、と気づいたところへ目印を付けて進む。

 北斜面がやせているところもあったので慎重に進んだ。

 そのうちにすごい急坂になった。雪で滑って前に進めない。踏ん張っても雪だけ滑って足は元の位置に戻ってしまう。
仕方ないので木を掴み腕力で上がる。30mほどあっただろうか。
何とか乗り切ると少しはなだらかになり、しばらく進むと赤茶色にさびた鉄の看板が見えてきた。やはりそれは、三方分山の山頂の標識だった。時刻は10時半少し前であった。

 山頂は南側の一部分だけ樹木が切られ精進湖と富士山が見える(写真)。
富士山の前には小さな大室山(1468m)がある。それでこの風景は「子抱き富士」と言われている。なかなか素敵な風景だ。

 女坂峠から1時間半、精進からは3時間かかった。
かなりハイペースで体力を使って登ってきたのでかなり疲れた。
パノラマ台まで縦走しようと思っていたが、ちょっと疲れすぎた。
スノーシューを用意していればもっと簡単に歩けたかもしれないが、軽めの雪であるし勾配がきついところでは使えないかもしれない。

  私は富士山が見えるところの雪を踏み固め座れる場所を作り、ビニールシートを敷き休憩した。
保温水筒に入れた暖かい紅茶がおいしい。冬場は保温水筒が一番だ。

 20分ほど休み、同じコースを戻り始めた。
足跡があるし下りは楽だ。すいすい進む。

 行きに私が苦労した急坂で、中高年6人組が登れず苦労していた。
「ずっとこんな登りですか。」彼らに聞かれた。「いえいえ、ここだけで、あとはそれほどでもないですよ。」と答えた。
彼らにストッキング止めのことを聞くと、先頭の男性が拾って持っていた。お礼を言い返してもらった。
彼らにこの山の情報を教えた。彼らもパノラマ台まで行きたかったようだが、ラッセルだというと引き返すという。

 その後の下りは彼ら6人の足跡で雪がかなり固まった中の下山である。
スムーズに進むことができる。

 1時間半かかった登りも、彼らと話したにもかかわらず30分もかからずに女坂峠に着いた。
峠で10分ほど休み、雪山の余韻を楽しんだ。
そこから精進湖のパーキングまでは36分だった。こちらも登りの3分の1の時間だ。
快適に下ることができた。

 3日間で、4つの違った雪山を満喫することができ充実した気分で帰路に着いた。
 

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