2008.07.28 MM第225号
*下に感想等の文があります。
【歩いた日】 2008年7月16日(水) 【天候】 曇り 【コース及び時間】 7:07焼岳登山口(中ノ湯上)−8:19下堀出合8:24−8:56(2300m地点)9:00−9:21焼岳[北峰]〈2393m〉 【 登り 2時間5分 】 *コースタイムは休憩や写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。あくまでも参考タイムにしてください。 |
上高地入り口の「朴伝の湯」から上がってくる「下堀出合」 ガレの間にまだ残雪があった アオノツガザクラ と イワカガミ 2300m地点には石にペンキで書いてある 硫黄のにおいがする蒸気を噴出していた 焼岳山頂[北峰]はガスの中だった
【感想 等】 前回はちょうど10年前の秋に小雨の中、このコースを歩き上高地に降りた(1998年の焼岳登山)。 今回は焼岳が目的ではなく西穂高山荘までのアプローチである。 大学4年の秋、大縦走を企てた。それは燕岳から穂高・焼岳まで縦走、その後南八ヶ岳から蓼科・霧ヶ峰・美ヶ原と縦走というものだった。 この計画は9日間をかけ8割方実施できた。 ただ、穂高では雨にやられ槍ヶ岳から穂高山荘までの大キレットは重い荷物を背負い滑る岩を越えるのは大変なアルバイトだった。精神的にも肉体的にもへとへとだった。 翌日も雨で穂高山荘連泊。次の日は天候は回復したが、ジャンダルム越えは荷物の大きさもあり断念した。 そんなわけで、北アルプス南部縦走は奥穂高岳から西穂高岳までのジャンダルム等を残してしまった。 そして、いつか登ろうと思いつつも月日は過ぎていった。 今回、3連休を取ることができることになり、海の日の3連休と合わせ7月16日から21日までの6連休になった。 このチャンスを逃したらいつ行けるかわからないと思い、ジャンダルムに挑戦する事にした。 ジャンダルムは知る人ぞ知る登山者のあこがれのピークである。日本百名山で標高日本3位の奥穂高岳から見えるドーム状の瘤で標高3163mである。 アルペンガイド(山と渓谷社)には「険しい岩稜帯が連なる穂高の縦走路の中でも最も困難なコースである」とでていて、歩くなら奥穂高岳からの南下を進めている。その理由は「北上コースは10以上のピークの登りは南下コース倍近く標高差があるばかりでなく、多くの難所が下り展開となり、難易度が増大する」とある。 私はその北上コースを選んだ。北上コースを選ぶ人の多くは西穂山荘へのロープウェイの利用に依る登りの軽減が大きいからだろう。私は岩稜の登りが好きなので選んだ。新穂高ロープウェイは秋と冬の2回利用している。前回の焼岳登山は小雨で展望がなかった、ということで今回は百名山の焼岳を入山コースに選んだ。ゴールも百名山の奥穂高岳という、両側に百名山を挟んだゴールデンコースである。 西穂山荘から穂高岳山荘までのこのコースタイムは10時間である。このコースを歩くためには、両方の小屋へ泊まる必要がある。ということは予備日なしで2泊3日は最低必要になる。だから確実に実行するには3連休だけでは不安に思ったのである。 6連休になったことで、下山後に車が入れない上高地から登る「霞沢岳」をおまけに加えて4日間。あと2日は梅雨があけていない今の時期、雨天の予備日とした。予備日は順調に行けば、近くの山に登るようにその計画も作成して出かけた。 もちろん、出かける前の準備として、体力作りと健康に多少は気を付けた。いつもこのメルマガで書いているように毎月1回の山歩きをし、職場では階段の1段ぬかしで上り下りした。たまには小学校の登り棒の遊具で手だけで登り岩登りのための腕力を鍛えたりした。また、生活リズムを整え睡眠時間を確保した。 そんな私の6連休の第1弾が「焼岳」だ。 7時頃、中ノ湯上の登山口に着いた。7時7分、曇り空の中私は出発した。 樹林帯の中をゆるやかに登っていく。国道158号線を上高地入口で曲がったところにも登山口があるが前回もこの中ノ湯温泉上からのコースだ。 少し登ると、足下に銀色に光る物が見えてきた。よく見ると車のバンパーだ。そう言えば、今は樹脂で出来ているバンパーがほとんどだがかつては鉄板だった。もっとよく見ると逆さになったつぶれた車体も付いていた。車の音もかすかに聞こえるので近くの国道から飛び込んできたのだろうか。 1時間ほど歩くと尾根に出た。広場のような所もあった。 硫黄のにおいがただよってきた。 残念ながら焼岳の上の方はガスがかかっている。 8時19分、上高地入り口の「朴伝の湯」から上がってくる「下堀出合」に着いた(写真)。 そこからはガレ横を登っていく。傾斜が急になる。 北アルプスで唯一の活火山「焼岳」らしい火山灰のガレである。 10分ほど登ると、そのガレに残雪が見えてきた(写真)。 GWの南アルプス深南部の南赤石林道でも書いたように今年は残雪が多い。 これからの縦走中の残雪が少し心配になる。 山道脇にはツマトリソウ、イワカガミ、ジムカデ、アオノツガザクラなどが咲いていた(写真)。 花を見ながら歩いている内に2300m地点に着いた(写真)。2200m、2300mと大きな石に書いてある。標高を知ることが出来てうれしいが、もう少し他の方法があるのでは・・・、と思ったりする。 この文のタイトルには焼岳の標高は2455mとあるが、これは南峰である。南峰は現在危険なため入山できない。 登頂できる北峰は2393mである。標高2300mに到達したということは、あと約100mで山頂だ。 すぐ上にガスが迫り、今回も展望がない可能性が高い。 焼岳小屋への分岐近くでは、硫黄のにおいがする蒸気を噴出していた(写真)。 かなり強い硫黄臭がする。 ロープが張ってあり立入禁止だ。 そのまま岩を回り込んで上がっていくと焼岳山頂であった。 9時21分に着いた。 山頂には抜きつ抜かれつしながら登ってきた若い男性2人がいた。 残念ながら、今回も展望はなかった。 2455mの南峰が近くにあるはずであるが見えない。 前回の雨混じりの強風よりはかなりよいが・・・。 (次号「割谷山」へ続く) |