2008.08.12 MM第227号

   私の出合った日本百名山 他の山々 by masarus
       
                         

西穂高岳 (にしほだかだけ 2909m) 長野・岐阜県

    
  この山の私の印象等は・・・                         

「 最高の天気に恵まれ楽しく歩いた 西穂高岳 」

 *下に感想等の文があります。                                         


【歩いた日】     2008年7月17日(木)

【天候】        晴れ

【コース及び時間】

西穂山荘5:50発−6:40西穂独標6:45−7:02ピラミッドピーク7:07−7:38西穂高岳〈2909m〉



   【  登り(西穂山荘〜西穂高岳) 1時間38分  


*コースタイムは休憩や写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。
 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。あくまでも参考タイムにしてください。

  
東の空がピンクに染まり、輝いていた(西穂山荘より) 進行方向には西穂独標など西穂高岳の山々が見える(山荘先より)
西穂独標からのこれからの縦走路 南アルプスの向こうに富士山も見える
数分進み独標を振り返る。女性がまだ山を見ていた。 快晴の中の山頂は最高だ!!(西穂高岳山頂にて)

 【感想 等】

 中ノ湯〜焼岳割谷山、西穂高岳、ジャンダルム、奥穂高岳・・・と3泊4日で縦走した。
その第3弾は2日目の「西穂高岳」2909mである。

 西穂山荘では、わずか20人という宿泊者だったので前夜はゆっくり休むことができた。
前日15時から降り始めた雨は、夜半にやんだ。
そして4時過ぎには明るくなってきた。
4時50分に起き、外に出てみた。

 高所にある多くの山小屋の良さはご来光などのすばらしい展望があることだ(残念ながら樹林に囲まれて展望がない所もある)。
東の空はピンクに染まり、輝いていた(写真)。
他の方角には雲は少ない。
そして、何よりもうれしいのは前日より良い天気になりそうなことだった。

 梅雨があけてないので一番の心配は天候だ。
しかも梅雨明け前によくある集中豪雨があったりしたら2日くらい身動きがとれないかもしれない、とも思っていた。
そのために予備日も設定した。
静岡ではかつて「七夕豪雨」という3日3晩大雨が降った事があった。その時の記憶があまりにも鮮明である。

 良い天気だということで、気分良く出発の準備をした。
朝食は5時半からだったので待ち遠しかった。
これから穂高山荘までの10時間コースを歩くことを考えると朝ご飯は弁当を頼んでおいてそれを持って早めに出発すればよかった、と少し後悔した。

 朝食もすきすきの20人で、白籏史朗氏の全倍大きさの山小屋周辺の山々のすばらしい写真を見ながらおいしくいただいた。
そして、5時50分、青空の中を出発した。

 ますます雲は少なくなり周りにはたくさんの山が見えていた。
小屋から少し登ると、小屋の後ろに前日に登った焼岳が赤茶けた山容を表した。その後ろには山復に雪を残した乗鞍岳がある。
もちろん、上高地の向こうには霞沢岳が青空の中にくっきりと見える。
進行方向には西穂独標など西穂高岳の山々がやや逆光の中にある(写真)。

 足下にはハイマツやシャクナゲがある。
シャクナゲは所々に白い花を付けている。
イワツメグサも可憐な花を付けている。
樹林帯を越えた尾根歩きは花があるだけでなく、展望も良くて私は大好きだ。

 快適に歩いていたら6時40分、西穂独標に着いた。
独標は標高2701mだ。
コースタイムより早い、50分で歩いてきた。
疲れもないしこの調子で歩いていけば、明るいうちに穂高山荘に着くことができると少し安心した。

 西穂独標からはこれから行く縦走路がそびえたって見える(写真)。
また、はるか向こうに南アルプスが見え、その向こうに富士山も顔を覗かせている(写真)。
梅雨時とは考えられないすばらしい天気だ。

 この独標には若い女性が1人西穂高岳のある縦走路を凝視していた。
「こんにちは。」と声をかけた。
「こんにちは。」とさわやかな声であいさつが返ってきた。
「お1人ですか?」
「彼が西穂高岳に行ったので待っています。」
「そうですか。2時間半待ち遠しいですね。」
「はい。」
「普段はどんな山に登られているんですか。」
「1年に1・2回遠くの山に行って、あとはちょくちょく近所の山を歩いています。」
「そうですか。昨日山小屋で同室だった福岡の60歳から70歳くらいの人がこの方と同じくらい年齢の女性4人とツアーで西穂高岳に登りに来た、って言ってましたよ。」ほんとはあなたなら充分行くことが出来ますよ、と言ってあげたかった。しかし彼とどんな会話をしたのかもわからず勝手なことは言えないので、それほど大変な山ではないことをそれとなく伝えた。。
「そうですか。あなたはどこまで行くんですか。」
「私はその先のジャンダルムや奥穂高岳を越えて穂高山荘までいきます。」
ここまで話して思いだした。この女性は前日昼過ぎに私が西穂山荘に着いたとき、彼と2人でテントを設営していて女性の方から「こんにちは」とあいさつしてくれた人であった。2人とも明るくさわやかな感じの人であった。
独標に着いて、小屋にはいなかった人達だし、小屋では私が一番先に出発したはずであった。なぜここに先に着いていたのか不思議であったが、これでつじつまがあいわかった。
「昨日の雨や雷は大変ではなかったですか。小屋では一度電気をストップしたんですよ。」
「そうですか。テントは快適でしたよ。」
「それは良かったですね。」

 心を開いての明るい会話は気持ちがいい。ずっと話していたい気がした。
しかしまだ今日の日程は始まったばかりで、先はまだまだ長い。
ここでの休憩5分で先に進むことにした。彼女とは10分も20分も話していたような気がした。しかし時計は5分をしっかり示していた。

 独標から降り始めて、結構な岩場の下りであることを思い知った。
経験のない素人では大変だ。
秋と冬の2回自分が歩いたということも信じられないくらいだ。
しかし西穂高岳から先はこの何倍もすごいというが、自分は歩き通せるのか不安になってきた。

 後日談だが、これを書いている1週間前に近所の男衆でバーベキューをやったのだが、知り合いと山の話になった。
その彼にはテニスでは歯が立たず、いつも教えてもらうばかりだ。
その彼が、昨年西穂山荘に泊まり独標まで行ったが、あまりの急な岩場の下りでその先は行くのをあきらめたと言っていた。

 大変だったのは最初の下りだけであった。その後は登りになりしかも大変ではなかった。
ようやく調子も出てきてすいすい進めた。
数分歩き独標を振り返るとまだ女性が山を見ながら立っていた(写真)。

 高度もどんどん上がっていく。
小さなピークを1つ、また1つと越えていく。
7時2分、ピラミッドピークに着いた。
登ってきた山を振り返ると、独標には女性が見えない。
1人テントに戻ったのかな、と見ていると1人こちらに向かって来る。
なんか私がそそのかしたようで、良かったのか悪かったのか・・・。少し心配になった。

 しばらく歩くと若い男性とすれ違った。さっきの女性の彼氏であることはわかった。
「こんにちは。」彼から声をかけてくれた。
「こんにちは。速いですね。」
「いや、もうすぐですよ。」
やはり思った通りの気持ちの良い男性であった。
こんなカップルならまわりの人達にも楽しい気持ちを分けてくれるだろうなと思った。

 その彼が言うとおり、彼と会ってからすぐの7時半過ぎ西穂高岳に着いた。
1時間半余で歩いてきたことになる。
急いできたわけではないが、コースタイムの約半分で驚いた。

 西穂高岳山頂は快晴の中にあり、360度の展望は最高だ。
前日はずっとブヨとアブにやられゆっくり休憩も取れなかったが、今日は全くいない。
森林限界を超え草も少なくなったからかもしれない。
1人でじっくり北アルプスの山々を眺めた。

 天気もいいし、楽しく順調な尾根歩きであった。
西穂高岳山頂から見ていると、彼は彼女と出会うとまたこちらに向かって2人で歩き始めていた。2人で歩けば安心だ。

(次号 ジャンダルム・奥穂高岳に続く)

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