2008.09.21 MM第231号
*下に感想等の文があります。
【歩いた日】 2008年7月20日(土) 【天候】 曇り時々霧&晴れ 【コース及び時間】 白沢三又P5:30発−6:09紅葉ノ滝−6:27魚止メ滝−7:57稜線−8:15大凪山〈2079m〉8:27−10:31餓鬼岳小屋 11:03−11:08餓鬼岳〈2647m〉11:19−11:21餓鬼岳小屋−12:39大凪山−13:30最後の水場−13:50魚止メ滝 14:05紅葉ノ滝14:10−14:40白沢三又P 【 登り 4時間54分 下り 3時間11分 合計 8時間5分 】 *コースタイムは休憩や写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。あくまでも参考タイムにしてください。 【温泉】 天然ラドン 馬羅尾天狗岩温泉 村営「すずむし荘」(500円) 北安曇郡松川村 |
白沢沿いの山道には木橋や木のはしごがたくさんかけられている 様々な花が楽しませてくれる(これはツツジ科の「アカモノ」) 餓鬼岳小屋の上に餓鬼岳がそびえる 雲は多いものの尾根には絶えず変化するガスがかかっていた 可憐なコマクサの花はいつ見ても素敵だ 餓鬼岳山頂には1人が休んでいた
【感想 等】 中ノ湯〜焼岳〜割谷山、西穂高岳、ジャンダルム、奥穂高岳、涸沢・徳本峠、霞沢岳と3泊4日で縦走した。梅雨時ではあったが、天候に恵まれ2日の予備日は使わなかった。しかも、第4日目に梅雨はあけた。せっかく来たのだからもっと楽しまなくっちゃ! というわけで、第7弾は5日目の日本二百名山「餓鬼岳」である。 「餓鬼岳」がどこにあるのか、知っている人はどれくらいいるのだろうか。実は私も知らなかった。見たり聞いたりしたことはあるが、頭に残らなかった。日本二百名山で調べていくと、燕岳の北側にあった。 燕岳はNO.101(百名山の次の先頭、第1号であった)で紹介したが、「表銀座コース」として燕岳から大天井岳−槍ヶ岳と続く北アルプスで最も有名なルートの1つである。私も20代の夏に歩いたことがある。燕岳の北にあるので、燕岳から南下する表銀座コースからははずれてしまう。 そんな訳で、燕岳の近くにありながらこの餓鬼岳を残してしまっていた。私と同じような人も多いと思う。 5時30分、白沢三又を出発した。 登山口に「登山ポスト」があるのもうれしかった。久しぶりに登山届けをポストに入れた。 というのも、今回ジャンダルムを歩くということで何かあったとき困ると思い、予備日のコースも含めて「登山届け」を作ってきていた。しかし、中ノ湯上の登山口にも霞沢岳の所でも提出することが出来なかった。 本来ならば、近くの警察署に提出することになっているのだが、実行している人はどれくらいいるのだろうか。私は遭難者が出るたびに、ちゃんとしたシステムがあるといいなぁ、と思っている。例えば、すべての登山口に登山ポストを付けるとか、作成フォームを作りメールで送ることが出来るようにするとか、方法はいくつでもある。一番簡単で実用的なのは、メールである。その際、メールの「件名」に入山口、登る日、グループ名(代表者)を書くなどして、詳しい文面を見なくてもある程度わかるものにしておくと、受信者の処理が簡単である。また、下山後は同じ件名に(下山)と付け加えメールする等、ルールを決めるとチェックが簡単である。 これを掲示板形式にしてネットで行うことも可能である。ただし、その場合、書かれている個人情報は警察と本人以外は閲覧できないようにする必要があるが。 かつて、光岳(日本百名山)に登ったとき、下山後2日くらい経ってから警察から無事を確認する電話が入ったことがある。梅雨入りの道路に落石がある中、登山ポストに届けを投函したまま帰宅していたのである。心配してくださったことは本当にうれしかったが、どうしたら迷惑がかからないかも考えてしまった。 前置きが長くなった。 登山口近くの空き地には数台の車が止まりもう止めるところがないくらいであった。またタクシー2台で中高年数人のパーティーが到着した。 私が知らないだけで、この山が人気があるのだろう事を感じた。今日は3連休の2日目。山小屋に泊まったり縦走したりするのだろう。 4WDなら走れそうな巾3mくらいの植林された針葉樹林の中を歩いていくと、数分で「白沢登山口」と書いた黄色の標識のあるところに出た。そこが本当の登山口なのだろう。 道は細く白沢沿いに続いている。両側には野生のガクアジサイがあり目を楽しませてくれる。 30分ほどで、紅葉ノ滝に着いた。木々が生い茂る中、細い滝が流れている。名前のように、紅葉には映えるかもしれない。 そこからは結構な数の木橋や木のはしごがあり、びっくりした。これらがなければ、歩くのに大変だろうな、と思った。しかも、それらの作りがその場所に合わせて作ったオンリーワンの物である(写真)。 それらの木橋や木のはしごを見ているだけでも楽しかった。 6時半前、魚止ノ滝に着いた。こちらの方が大きく、迫力があった。 曇りではあるが、樹林帯の中の沢沿いコースなので暑さはそれほどないのがうれしい。 魚止ノ滝からしばらく行くと、最後の水場があり沢沿いからわかれ、急な登りになる。 少し晴れたと思ったらガスが出てくる。 急登は堪える。汗も噴き出した。 8時少し前、稜線に出た。 そして8時18分、大凪山2079mに着いた。白沢三又からの標高差1100mだ。初めはゆるやかな沢沿いだったのでその後一気に登ったことになる。少しガスがかかっているとはいえ、汗が噴き出すわけである。 そこからは小さな登りをいくつも繰り返した。樹林帯の中ではあったが、時々ハクサンシャクナゲやゴゼンタチバナ、ギンリョウソウ、イワカガミ、ミヤマキスミレ、ノウゴウイチゴ、アカモノ(写真)などが咲き、山歩きに花を添えてくれる(写真)。 特に、シャクナゲとギンリョウソウは数が多かった。 山頂が近づくと広葉樹の灌木中心になり、霞沢岳にもあったシナノキンバイ、ミヤマキンポウゲ、チングルマなどが咲いていた。 10時20分、「餓鬼岳小屋まで10分」の標識があり、餓鬼岳の山頂が見えてきた。 山頂はあと少しである。 アオノツガザクラ、ツマトリソウ、ウサギギク、ハクサンチドリ等が咲いている。 10時半過ぎ、餓鬼岳小屋に着いた。 小屋の裏を少し登ったところが山頂である(写真)。 そのまま登るのもいいが、目の前に広がる東沢岳に繋がる稜線に目がいった。 尖った稜線の右側は晴れ、左にはガスがかかっていて高山でしか見ることができない光景だったからだ(写真)。 小屋の前を稜線に向かって歩いていったらなんと、コマクサが咲いていた。 燕岳が有名だが、ここも燕岳から連なる花崗岩でできた地形なのだ。 ラッキーとばかり久しぶりのご対面を楽しんだ。 その後、東沢岳方向に向かって少し歩いて行った。 テントサイトがあり、1人男性がテントを撤収していた。 「今から燕まで行くんですか?」と聞かれた。 行けなくはなかったが、私は車まで戻る方法を思いつかなかった。 「いえ、すぐそこまでの散歩です」私は写真が撮れそうな所を探ししばらくうろうろした。 曇ったり晴れたり変化が激しかった。 そしてまた、風が気持ちが良かった。 前日の霞沢岳のようなアブやブヨがいないのがうれしかった。 私はシャッターチャンスを待ちながら昼食にした。 思った以上の風景に出合えてうれしかった。 30分ほど滞在し、山頂に向かった。 餓鬼岳山頂は小屋から5分だった。 なんと、小屋前以上のコマクサがあった(写真)。 小屋近くのコマクサより一株がかなり大きかった。 山頂には1人男性が休んでいた。 残念ながら雲がかかり展望は良くなかった。 待っても晴れそうになかったので10分ほどで下山を開始した。 気持ちの良い風を浴びながらの稜線でのすばらしい風景とコマクサに出合えたことで満足であった。 帰路はお花を楽しみながら下った。 行きに気が付かなかったエゾシオガマ等を新たに見つけた。 下りは1時間余で大凪山であった。 そこから「最後の水場」(標識あり)である沢に出るにも約1時間であった。 沢沿いのコースに出れば、時々滝を見ながら比較的ゆるやかな木橋の多い山道を下っていけばよい。魚止メ滝、紅葉ノ滝を見て14時40分に駐車場に着いた。 朝出発から9時間、実質8時間の山歩きだった。 下山後は10kmほど南にある天然ラドンの馬羅尾天狗岩温泉 村営「すずむし荘」に行った。 新しい建物で露天風呂もあり気持ちよかった。少し濁った黄色の湯が余計に効用がありそうだった。 残り1日、翌日は日本二百名山「有明山」に行く。次号に続く。 |