2009.01.18 MM第246号

   私の出合った日本百名山 他の山々 by masarus

       
                         

八町山 (はっちょうやま 1521m) 山梨県増穂町・鰍沢町

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この山の私の印象等は・・・                              

「 ダイヤモンド富士を見た後、レベル5の山歩きに挑戦した 八町山 」

 *下に感想等の文があります。                                                


【歩いた日】     2009年1月2日(金)


【天候】        快晴


【コース及び時間】

増穂町高下上の林道P8:55発−10:12[1488mピーク]10:22−10:38八町山〈1521m〉10:48−11:01

[1488mピーク](ルートファインディング)11:37−12:22林道P


       【  登り 1時間33分   下り  58分    合計 2時間31分   】


*コースタイムは休憩や写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。
 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。あくまでも参考タイムにしてください。


  
多くのカメラマンと共にダイヤモンド富士を撮る(写真1) 林道は上の道路「足馴峠線」と繋がっていた(写真2)
やっとピークに着いた、1488mのピークの感じだ(写真3) 樹木越にずっと向こうに「源氏山」がある(写真4)
尾根道には雪が少しあった(写真5) 標高1521mの八町山のピーク(写真6)

 【感想 等】

 前号で、元日に初日の出を拝みに焼津アルプスの主峰・高草山に行ったことを書いた。
午後、年始回りで近くに宿泊するので、久しぶりに「高下」にダイヤモンド富士を見に行きたいと思った。

 富士山好きのカメラマンには有名な「ダイヤモンド富士」を見ることができるスポットがいくつかある。
その1つが、山梨県増穂町の「高下(たかおり)」である。
10年ほど前に行ったときには、そこに小屋を建てて毎日ダイヤモンド富士を撮っているカメラマンもいて驚いたものだ。
その時には30人ほどが撮影していた。

 地図で見ると、その北西方向には山梨百名山の「源氏山」がある。高下でダイヤモンド富士を見てから源氏山に登る、なかなか良い考えだ(自画自賛)。年末の忘年会から正月の今日まで、少し食べ過ぎ・飲み過ぎで体が重くなってきている。そんな私にぴったりの計画である。

 源氏山は山の北側に通っている丸山林道から歩けば1時間くらいで行くことができる。また、鰍沢町側からは足馴峠線から行くことができる。
 ただ冬なので降雪が心配だ。閉鎖されていることも十分考えられた。
そこで、増穂町と鰍沢町役場に電話で、林道のことを尋ねた。やはり、両林道とも閉鎖されていた。しかも、地形図に点線で出ている山道について聞くと、ほとんど利用されていない、1年に数人歩くかどうかで通れないかもしれない、ということであった。

 そこで、googleでも「高下 源氏山」で検索してみた。ヒットは全くなかった。
地形図に1.5m未満の徒歩道の書かれていない、香川県の小豆島で登った「皇踏山」「碁石山」でも、HP上に登山記録があった。
山梨県は山ばかりの「海なし県」である。
源氏山は林道からしか登る人がないのだろうか。
それとも、偶然に高下から登っている人は登山記録をHPやブログに書いていないのだろうか。

 これはちょうどいい。
私の言っている山歩きのレベル5ではないか(メルマガNO.223)。
(メルマガ「めろんぱん」の私のサイト、バックナンバーの「それ以前」の中から「08/07/07」を選択すると表示)
正月早々から最高ランクの山歩きができるとは運がよい。

 ということで、わくわくする気持ちはあるものの、不安の方が多いまま当日朝を迎えた。
日の出は7時頃で、8時頃から歩いて6時間の時間を取り14時には下山、15時には家族を車に乗せて帰路に着く。
コースは西に向かって登り、それから北に進んで「八町山」方向に行く。
八町山の下の「出頂ノ茶屋跡」から山腹を源氏山に向かう。源氏山は山深い所にあるが地形図に徒歩道が書かれているので大丈夫だろう。
ざっと、そんな机上プランを地図を見ながら作った。

 6時に起き、出発は6時半近くになってしまった。
元日と同様にやや遅くなったので、少し気持ちは焦った。
国道52号線から林道に入るとちゃんと標識が出ている。
しかも、10年ほど前よりかなり広くて舗装も大変良い道になっていた。
迷うと困るので地図を用意していたが必要なくてよかった。

6時55分、上高下に着いた。
道路脇に100台ほどのきれいな駐車場ができていて、すでにほぼ満車であった。
真ん中にはきれいなトイレもあり、「日出づる里」というキャッチフレーズで増穂町が観光に力を入れていることがわかる。

また、あまりの人の多さにびっくりした。
隣で写真を撮っていた地元の人は、「昨日はこの5倍の人が来て、車がすれ違うことができず、けんかになりそうで大変だったよ」と話していた。
ダイヤモンド富士の初日の出を見にカメラマン以外の人達も集まったのだ。

 私の地元の海岸でさえ、元日は車が渋滞ししばらくは動くことができないので私は歩いて行くことにしているのである。
ましてや、全国に名前が知れ、しかも歩いてくるのは大変な山の中腹の土地である。
渋滞してしまうのも理解できる。

 7時になりかなり明るくなってきた。静岡ではもう日が出ている時間である。
富士山の向こうから太陽が出るので、山の高さの分だけ日の出が遅くなる。

 富士山の上に小さな雲がありそれがピンク色に染まってきた。

 その雲が広がったり消えそうになったりし、見ていて飽きない。
地元から来た隣の人が「日の出は7時半頃だよ」と言う。
まだ日の出まで30分ある。

 手がかじかんで、体も冷えてきた。
ダウンジャケットを着て手袋をして温める。

 山頂付近の雲が光り、7時31分、太陽が顔を出した(写真1)。
ダイヤモンド富士と言っても、元日や2日の日の出は山頂からはずれている。
来たことがあるのでそれは知っていたが、観光スポットになりそれでも人が大勢いるのには驚く。

 太陽はあっという間に、全部顔を出した。
見終わると、ほとんどの車はあっという間に下っていった。

 私は地図を出して、登り口を探す。
よく分からない。
ちょうど、道路から20mほど上で朝から庭の落ち葉を集めて燃している人がいたので、山道について訪ねた。
彼は東京の方で、地元のことが分からないと言った。

 どうしようかと、辺りを見回すと50mほど先に、煙突から煙が出ている家を見つけた。
正月2日の8時前である。辺りは静かで、まだ寝ている人も多いと思った。
煙が出ているということは、起きて何かを燃していると言うことである。
そのお宅に行ってみた。

 娘さんが大きな犬を連れて散歩に行くところであった。
源氏山への登山道について聞くと、わからないのでおじいさんを呼んでくれた。
彼は大変詳しかった。山にストーブ等で燃す木を取りに行くのだろうか。

 高下から歩いていく道はない、と言う。
林道ができたり、崩れたりして今では通れないと言う。
林道も崩れて通れない道と車で走れる道を教えていただいた。
ただ、標識は全くない、という。

 8時近く、高下を出発した。
教えていただいたように清水方向に舗装道路を走り、未舗装の林道に入っていった。
林道は両側から枯れ枝が覆い被さり2mほどしか空間がない。
買い換えて1ヶ月経っていない車にはかわいそうであったが、私の道楽のため許しを請い進んで行った。

 道なりにかなり走り、八雲池方向に向かうであろう分岐に来た。
そこを左折し、どんどん登って行った。

 やがて、コンクリートで固められた鋭角カーブに着いた。
上に立派な道があった(写真2)。
そこには案内図と標識のような物が見えたので車を置いて歩いていった。
車ではこの鋭角カーブをそのまま通ることができないのだ。
案内図には「林道 足馴峠線」と書かれ、大ざっぱな林道と現在地が書かれていた。
近くに「20km/h以内」の速度表示もあった。

 ラッキー!
足馴峠線に出た!!
源氏山への道にたどり着けるかもしれない・・・。

 車に戻り、バックで坂を登った。
バックは好きではないが、これしか登る方法がない。
そして、八町山方向に走っていくと、50mで行き止まりであった。
写真でもわかるように立派な白いガードレールが付いている林道であるが、行き止まりであった。
またバックして戻り、向きを変え鰍沢町方向に進んでいった。

 こちらは良い道が続いていたが、数百m走るとゲートがあり、通行止めであった。
こんな上に通行止めのゲートを作らなくても・・・。
仕方なく、元の所(写真2)まで戻った。
周りを探しても山道のような形跡は全く見つからなかった。

 それで、バックで坂を下り、林道の分岐に戻りながら登山道を探すことにした。
下っていくと杉林の中に涸れ沢であり作業用の山道のようなところを見つけた。そこには古い錆びた空き缶も落ちていたので源氏山に通じていそうな気がした。
しかし、車を止めるスペースが十分ではなかったので、駐車スペースを探しながら下っていくと八雲池方向に向かうであろう分岐まで来てしまった。
そこの少し広い所に駐車し、歩くことにした。

 時刻は、9時近くなっていた。
1時間余も道を探していたことになる。

 遅くなった。さあ、行こう、と外を見ると首輪を付けた猟犬がいる。
しっぽを振っているのでかまれないとは思うが、心配で車から出ることができない。
窓を開けて「しー!あっちへ行け!」と追っても動こうとしない。

 仕方なく、車から降りて出発の準備をした。
「おーい!誰かいますか〜!」と大声で呼んでみたが全く反応はなかった。

 9時5分前、出発した。
林道を5分ほど登ったところにある涸れ沢を登っていく。
よく見ると、大雨が降っても林道が流されないように、林道の下に土管を埋めてある。
杉林の中なのでそれほど大きくはなっていないが葉を落とした木が生えていて、時々行く手を遮る。
いばらも生えていて、見過ごした枝が顔にかかりひっかいてしまった。

 今歩いているこの道が地形図の中にある点線であるのではないかと思ったが、標識等は一切ないので確信は持てなかった。展望も全くない杉林の中である。
また、所々で2つに分かれていて、どちらに進んで良いのかわからなかった(地形図では一本道である)。
そんなところでは、空き缶や木の棒で目印を作りながら上へ上へと進んでいった。
また、造林のためか赤いペンキで数字が書いてあるところでは、数字をメモ帳に書いたりもした。

 1時間ほど歩くと雑木になり、尾根に出た。
そして、周りの山や山頂方向が少し見えてきた。全く知らない土地なので、見えているのがどの山なのかがよくわからない。
行く先が崖になり、右しか行けず回り込んだ。

 山道は細くなり、獣道らしき状態になった。
稜線が見えてきたので、木々を掻き分け進んでみた。
すると、そこには立派な山道があった。
10時過ぎ、上へ上へとその山道を歩いていくと、ピンクのテープが付いた山頂に着いた(写真3)。

 どこのピークかはわからない。
葉を落とした木の向こうに、山梨百名山のガイドブックで見たような「源氏山」が見える(写真4)。
北を見ると2つの山が見える。
とすると、ここは地形図上の1440mのピークだろうか・・・。

 もしかすると、全く別な山に来ているのかもしれない。
1440mのピークだとしても、地形図には徒歩道が書かれていないが・・・。

 少し休んでから、尾根道を北方向の2つのピークに向かって進んでみることにした。
道には夜舞ったであろう雪が残っていた(写真5)。
10分ほど下っていくと、四叉路のようなところに出た。赤いプレートの森林境界標が付いた木があった。

 山頂めざしてまっすぐ進んだ。
10時半過ぎ、三角点のある山頂に着いた。
残念ながら山頂は樹木の中にあり、展望は全くない。

 この辺りで三角点があるのは「八町山(1521m)」しかない。
自分が立っているところが「八町山」山頂であることがわかった。
また、先ほどのピークはもう1つ北側の1488mのピークであることもわかった。
そして四叉路は「出頂ノ茶屋跡」であることもわかった。

 時刻は11時に近づきつつある。
「源氏山」まで行って14時までに下山するのは無理である。
出発が9時と遅すぎ、道に迷っていたことが原因である。
楽しみは次回に残し、下山することにした。

 「出頂ノ茶屋跡」まで下った。
ここから地形図上の徒歩道を下っていけば、ほぼ登ってきた道に出ることはわかったが、登りと違い下りは少しの間違いが全く別の場所に着いてしまう。
下山後の予定もあるので、そのリスクは避け、来た道を戻ることにした。

 まず、1488mのピークまで戻った。
時計の針は11時であった。
登ってきた獣道のような道を探し、木々を掻き分けまっすぐ下っていった。
登りと下りでは見え方が違い、来たコースが見つからない。
目印を付けなくてもわかるだろうと考えていたコースであったが、わからない。

 少し行っては道がなく戻る、尾根沿いに南に進んでは戻る、何回か繰り返したがわからない。
時刻は11時半になっていた。
仕方ないのでまっすぐもう少し木々を掻き分け下りることにした。

 数分下ると、涸れ沢のような道にぶつかった。
地図で見ると、「出頂ノ茶屋跡」からの道が山腹を通っていて、それに合流できたようだ。
山では似たような道が多々あるから油断はできない。
時間はあるから、下っていって違う場所に出たら車を探せばいい。
そんなことを言い聞かせながら下っていった。

 「あった!」
数分下ると、石の上に置いたつぶれたポカリスエットの缶があった。
登るとき目印に私が置いたものだ(このコースは空き缶のゴミが多いのにはびっくりだった)。
これで安心した。コースは間違っていない。

 その後、分岐する道が3・4ヶ所あった。
私の目印がなく、どちらを登ってきたのかわからないところは、太い方を選んで下った。
それらの分岐した道は歩いていくと合流していることが多かった。

 12時半前、無事に車に戻ることができた。
源氏山には行くことができなかったが、地形図と勘を頼りに良い汗をかくことができた。

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