2009.11.16 MM第285号

   私の出合った日本百名山 他の山々 by masarus
       
                         

農鳥岳 (のうとりだけ 3026m) 静岡・山梨県 日本二百名山


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この山の私の印象等は・・・                                 

「 降雪後、快晴になり素晴らしい風景が広がった 農鳥岳 」

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【歩いた日】     2009年10月18日(日)

【天候】        小雪

【コース及び時間】

2009年10月17日(土)

奈良田P5:32発=(山交タウンコーチバス)=6:20広河原6:29−6:48白根御池分岐6:52−8:05二俣8:12−8:50

D沢8:57−9:51八本歯のコル9:56−10:15トラバース道分岐−10:30吊り尾根分岐−10:45北岳〈3192m〉

  【登り(広河原〜八本歯のコル経由北岳)  3時間53分】


北岳〈3192m〉11:02−11:12吊り尾根分岐−11:25八本歯のコル分岐−11:40北岳山荘11:52−13:22間ノ岳

〈3189m〉13:30−14:19農鳥小屋(宿泊)

  【 登り(北岳〜間ノ岳) 2時間08分  下り(間ノ岳〜農鳥小屋) 49分  合計 1時間57分  】


2009年10月18日(日)

農鳥小屋5:52発−7:03農鳥岳〈3026m〉7:29−7:52大門沢降下点8:00−9:35大門沢小屋9:42−11:07吊橋・

取水口11:12−11:27林道−11:46奈良田第1発電所11:52−12:07奈良田P

    【 登り(農鳥小屋〜農鳥岳) 1時間11分  下り(農鳥岳〜奈良田) 4時間12分  合計 5時間23分  】


*コースタイムは休憩や写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。
 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。あくまでも参考タイムにしてください。

【温泉】        南アルプス 奈良田の里温泉(500円)

  
空が焼けてくる(写真1) 着いたばかりの農鳥岳山頂(写真2)
さっと、快晴になった農鳥岳の山頂からの展望(写真3) 雲海の向こうには富士山も(写真4)
大門沢小屋の周りは紅葉(写真5) いくつもの木橋や吊り橋を渡る(写真6)

 【感想 等】

 10月の中旬、広河原から北岳、間ノ岳、農鳥岳と縦走した。
その第1段は北岳まで、そして第2弾は間ノ岳を書き、農鳥小屋に宿泊した所までを書いた。

 前夜は19時過ぎに寝たのであるが、やはり1時間おきに目が覚めた。
5枚の服を着込んでいたので寒くはなかったが、足下に豆炭こたつがあるので時々足を伸ばした。
(私は温暖な静岡で、毎日二重の毛布に冬布団を掛けて寝ている)

 朝5時に、みんなと共に起きた。5時10分が朝食だったので、別室でみんなで食べ出発の準備をした。
朝食も夕食同様にやや芯のあるご飯で生卵、みそ汁、漬け物といった簡素な物であった。簡素な昔ながらの山小屋を経験したい人にはぴったりの所ではあるが、今増えているホテル並のご馳走を食べたい方には物足りない小屋である。

 まだ、ガスが出ていたのでみんなはゆっくりしていた。天気予報でこれから晴れてくるのはわかっていたからである。
私はご来光やガスが真っ赤になる景色が見たくて用意ができた6時少し前に出発した。

 小屋の前の雪は解けていた。気温は上がっていて温かいので雪は解けている、との小屋のおやじの言葉があり安心していたが、数分歩くと足下には3cmほどの雪は積もっていた。
しかも、昨日同様に強風である。参った。

 出発から10分ほど歩くと、ガスが赤く染まってきた(写真1)。
きれいだ。これを見たくて早く小屋を出てきたのだ。

 強い風にガスは動いている。
そのガスは薄く、すぐにも晴れそうであった。 
うきうきしながら歩いていくが、雪は5cm以上の所もあり、足下が少し滑る所もあった。
この辺りは雪が降ってから少しも解けていないのだろう。
吹きっさらしの急登が続く。エビの尻尾も伸びている。

 視界30mほどのガスの中を歩いていると、いつの間にか「西農鳥岳(3051m)」を過ぎてしまったことに気づいた。
立ち寄っても何も見えないから戻っても仕方ない。そのまま歩き続ける。

 7時03分、風は弱くなったが、ガスの中を農鳥岳に着いた(写真2)。
間ノ岳と同じように雪が付いた標識が見えるだけである。
学生時代の夏に登った時は、雨の中の山頂を踏んだ。2度目の山頂も天気に恵まれなかった。

 時間はある。天候が回復するのはわかっている。
辺りを散策し足下の霜が付いた草々などの観察をして時間をつぶす。
20分ほど過ぎると、西の空が少し明るくなってきて、うっすらと彼方の雲海や山並みが見えてきた。
そのうちに東の空が青空になってきた。東側の尾根に鳳凰三山も顔を出した。

 再び農鳥岳の山頂に上がった。
見るとガスの中にブロッケン現象が現れた。
岩がごつごつし1つのピークが南アルプスより小さな北アルプスではよく見られるが、南アルプスで見ることは少ない。
私にとって久しぶりのブロッケン現象だ。
丸い虹の中に自分の影が映り、自分が動けば虹の中心の人物も動く。
神々しい自然現象である。
それはわずか2、3分であった。

 ガスが徐々に晴れ、その変化を逃さないように急いでシャッターを押した。
すばらいい!山での楽しみは多いが、この刻々と快晴に変わる自然の変化こそ、私がもっとも好きな風景である。
西農鳥岳、間ノ岳もガスが取れ、勇姿を現した(写真3)。昨日、今日と自分の足で歩いてきた山々である。

 もちろん、富士山も雲海の上に現れた。
長い裾野を広げ雲海の上に優雅に構える富士がもっとも好きである。
朝焼けの赤石岳からの富士が気に入っているが、このような青富士も悪くない(写真4)。
写真の富士山は山頂から南に少し行った所から写したものである。

 農鳥岳の山頂から360度の展望を十分楽しんだ。
そして、7時半に下山を開始した。
下山といっても、大門沢降下点までの約30分は尾根歩きで刻々と変化する山の景色を楽しんだ。
この尾根の向こうに西側にある塩見岳や赤石岳などが切れかかったガスの中に見える。

 8時少し前、大門沢降下点に着いた。
高さ2m50cmほどの黄色の鉄製の標識は目立つ。
真ん中には鐘も付いていたので鳴らしてみた。
きれいな音色が静かな山々に響いた。

 ガスはすっかり上がり、南アルプス南部の山々が快晴の空のもとに見えた。
また、そこからの富士山もきれいだった。

 大門沢降下点からの下りは、急坂である。
つづら折れの道をどんどん下っていく。
すぐにハイマツから葉を落とした広葉樹の灌木に変わる。
10分ほど下ると、また針葉樹林に入る。
所々、木に標識のプレートが付いていて、「2450m」などと標高が書かれている。
農鳥岳から約600m下ったのだ、とわかる。

 降下点から30分下ると、赤く紅葉した木の葉が混じるようになった。
そして1時間近く下ると、両側ががれている場所に出た。
右のがれは左より新しく、紅葉した中を水が流れていた。
まるで、紅葉の中の滝を見ている感じであった。

 自然の中の植生の変化について聞いたことがあるが、沢の両側付近だけ赤く紅葉している。
崖ができ、裸地に最初の方に生えるのが広葉樹の灌木なのだろうか。
大門沢の源流をどんどん下っていくと、流れは徐々に太くなり、木橋をいくつか渡る(写真6)。

 3年前の夏、同じコースで歩こうと、登山届けも作成し奈良田まで来たが、台風の被害でこれらの木橋が流され入山することができなかった。
(その時は、急遽、七面山、身延山[メルマガNO146〜NO149]などに登った)
このときは、大門沢小屋の親父も遭難騒ぎになるほどであった。
実際に歩いてみて、確かに大雨が降れば歩きようがないコースであることがわかった。

 降下点から1時間半で大門沢小屋に着いた(写真5)。
この時期やっていないのか、ひとけを感じず、しんとして静まりかえっていた。
小屋の脇で少し休んでから下山を続けた。

 沢を時々木橋で渡り、高度を下げていく。
高度による植生の変化がこれほどはっきりしていると楽しい。
1日かけハイマツの生えていない3000mの山から歩いて下りて来たから余計にわかることである。

 11時過ぎ、吊り橋に着いた。
吊り橋を渡って行くと、ここには奈良田にある発電所の取水口があった。
ここまで来れば、林道は近い。
全部で3つの吊り橋を渡り、11時半少し前に林道に出た。
その林道を20分歩くと奈良田第1発電所であった。
そして、発電所のある「ムジナ坂」から15分で駐車場であった。

 12時過ぎに着くことができた。
すぐ近くの「奈良田の里温泉」に浸かり汗を流した。
1日目は北岳・間ノ岳で小雪混じりの強風にやられ、頬は痛く冷たかったこと、農鳥岳ではガスが切れ最高の展望を楽しんだことなどが浮かんできた。

 ゆっくり休んでから帰路についた。
家から近いというのはありがたいもので、家に着くとまだ明るくしかも、歩道には落ち葉がいっぱいであった。
疲れは全くなかったので、長さ50mある歩道を掃き、落ち葉を取ってから、美酒をいただいた。

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