2010.01.16更新 MM第292号
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【歩いた日】 2010年1月1日(金) 【天候】 快晴 【コース及び時間】 6:04かんぽ下−6:32小浜上展望所[初日の出]7:07−7:12大日堂−7:17道了権現−7:54花沢山〈449m〉8:01 −8:15日本坂峠−8:26林道−8:31法華寺−8:45花沢の里P 【 登り 1時間15分 下り 44分 合計 1時間59分 】 *コースタイムは休憩や写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。あくまでも参考タイムにしてください。 |
高草山に沈む満月(写真1) | ETC1000円で交通量の多い東名高速(写真2) |
駿河湾の向こうの伊豆半島上に初日の出(写真3) | 久しぶりに冷え込み霜や霜柱が(写真4) |
花沢山からの富士山(写真5) | 法華寺にはまだモミジが(写真6) |
【感想 等】 昨年(2009年)は高草山(メルマガNO.245)から初日の出を拝んだ。その様子はメルマガNO.245で書いた。 今年は焼津アルプスの東に伸びる尾根で唯一、海が展望できる場所から見ようと決め、6時少し前に家を出た。 この海や志太平野を展望できる場所を「小浜上展望所」と名付けた。 昨年は、6時過ぎに家を出発したので急いで高草山に登り息切れして大変であった。 今年は少しだけ余裕を持って歩こうと計画し、6時前に目覚まし時計をセットしておいた。 このコース、かんぽ下〜小浜上展望所〜花沢山は一昨年6月に富士山登山トレーニングのため初心者の方たちと逆コースで歩いたことがある(メルマガNO.223)。 元日の静岡の日の出は午前6時54分である。また月の入りは午前7時7分である。 今日はなんと満月である(部分月食ではあるが、欠ける部分はわずかであるのでそれは見ないことにした)。 ということは、日の出と共に満月が沈むところも見ることもできるという二重におめでたい日である。 6時少し前にかんぽ下の駐車場に着いた。 車は私のもの以外、1台もなかった。わざわざ歩いてまで、初日の出を見るような物好きはいないのだろうと、思った。 すぐに登山靴を履き、用意ができ出発した。 東の空は徐々に暗赤色から橙色に変わってきていた。今日は快晴である。 夜中から北風は強く吹いていた。 冬山用の手袋をはめているので手は寒くないが、出ている顔が冷たかった。 帽子をかぶろうかとも思ったが、寒さにすぐ慣れると思いやめた。 満月の光が足元を照らしてくれ、ライトはいらないくらいであったが、正月から木株に躓いて転ぶのも嫌なのでヘッドライトを付けて歩いた。 何回も歩いている道なので安心である。 しかし、夜の帳は道ではない所も、あたかも道のように見せてくれる。 2度くらい3mほど進んでは、「少し違う感じだ」と引き返した所があった。 20分ほど歩くと、ライトはいらなくなった。 と、前でかさこそと音が聞こえだした。 見ると60代の男性が懐中電灯を照らし歩いている。 「おはようございます」と声をかけると、びくっと、体が動くのが見えた。 「あ〜あ、びっくりした」と言って振り返った。 彼はここ何年かこの展望所から初日の出を拝んでいるとのことであった。 焼津IC近くから自転車でかんぽ下まで来た、と言う。道理で彼の車がないわけである。 少し話してから彼を追い越し、1人ほぼ平坦な樹木に囲まれた尾根をずんずん歩く。 時々、樹林から明かりのついた家々や高速道路、赤く染まりかけた海側の空が見える。 前回の記録によると、展望所まで約30分であった。 今回も6時半頃には着く計算であったが、ほぼ同じ6時32分に着いた。 「小浜上展望所」は両側がしっかり展望できる分だけ木々がなく、吹きっさらしで北西の風が強く寒い。 なるべく風の当たらない東側の斜面に座りカメラをセットして日の出を待つ。 西側では、満月が高草山の肩に沈んでいった(写真1)。 満月が山に沈むのもなかなかいいものである。 志太平野の家々も夜が明けようとしている。 東名高速道路はETC1000円割引を使って移動する人たちの車の列ができている(写真2)。 2010年の夜明けは近い。 と、西側の茶畑の中から小学生の子供が登ってきた。 里山ではミカンやお茶などを栽培しているのでそのための耕作道が至る所にあるのだ。 子ども達が顔を出した時には驚いたが、直登で上がって来ても不思議ではないのである。 その内に親たちも登ってきて、3家族10人であることが分かった。 聞くと、下の集落「小浜」の人たちで、ずっと前からここで初日の出を見る習慣がある、ということであった。 東の空が少しずつ輝きを増してきた。 そして少し上の雲が金色に輝きだした。 東の空には少し雲があり日の出が遅れるのではないかと心配したが、 太陽は定刻通り、駿河湾の向こうにある伊豆半島の上に顔を出し始めた(写真3)。 風はあるものの静かである。 「今年も皆さんにとって、私のとって、良い年でありますように」と初日の出に祈った。 しばらくすると、小浜側から高校生くらいの5人組が登ってきた。 座り込んで、太陽に向かって願い事を叫んでいた。 当初、1人で寂しくご来光を拝むことになるかも・・・、と思っていたが、にぎやかくなって良かった。 総勢17人である。 この駿河湾や志太平野等を展望する場所には名前がない。 海側が「元小浜」の集落なので『元小浜上展望所』と考えていたが、元小浜は海岸になるのでここに上がらなくてもご来光も駿河湾も富士山も見える。しかし、西側の「小浜」の集落の人たちにとって真っ赤なご来光を見るにはここに上がらなくてはならない。そして、このように以前からここで見る人たちがいるのである。 それで『小浜上展望所』と名前を付けた。 太陽が完全に顔を出すと、60代の男性は引き返していった。 私も少し寒くなってきたので、花沢山に向けて出発した。 展望所から5分で「大日堂」であった。小浜の人たちであろうか、そこには注連飾りを付けてある。 展望所から10分の「道了権現」にも正月飾りがしてあった。 この尾根は富士山方向に伸びているので、海や平野・山々の展望はあるが、残念ながら富士山は見えない。 かんぽ下から歩いて、初めて富士山が見えるのはここ道了権現の北側からである。 強風に雪が吹き飛ばされたのか真っ白ではなく気持ちクリーム色が混じった白い富士山を見ながら山道を下る。 朝方冷え込んだのだろう。 足下の土には霜柱、草には霜が降りている(写真4)。 久しぶりに見る霜柱、霜である。 道了権現から20分くらい行くと少し長い急な登りだ。 それを登り切れば花沢山(標高449m)である。 山頂からの展望は焼津側が少ししか見えないが、手前の反射板からは静岡側が見える。 もちろん、富士山もはっきり見ることができる(写真5)。 今日の富士はご覧のようにライトブルーの空に雲1つなくそびえている。 山頂付近は強風で雪が舞い上がっているのが分かる。 ここ海岸に近い平野部でも風が強い。富士山頂では秒速20m以上かもしれない。 10月の宝永山(メルマガNO.152)で強風で身動きできなくなったことを思い出す。 8時過ぎ、下山を開始した。 少し下ると前方に真っ白な雪を雲の中から顔を出した南アルプスが見えてくる。 南アルプスは雪雲があり少々荒れ模様である(後日、聖岳の遭難を知る)。 真っ赤な椿の花も咲いている。 15分ほどで日本坂峠に着き、法華寺には8時半に着いた。 下山路は枯葉が一杯で、それを踏みながらさくさく歩くのも冬の山歩きの楽しみの1つである。 法華寺にはなんとカエデがまだ紅葉した葉を付けていた(写真6)。 正月だというのに秋が残っているのには驚いた。 1本の木ではない。いくつかのモミジの木がみんな葉を残している。 そして花沢の里を下っていくと、菜の花が咲いている。 秋が残り、冬のまっただ中に、あわてん坊の春が来ている。 正に、正月にふさわしいおめでたいことである。 花沢の里駐車場には8時45分に着いた。 前回の逆コースでは歩いたが、今回はここに自転車を置いてある。 かんぽ下まで自転車で走り15分であった。 今回歩いた時間の正味は2時間。 満月とご来光、モミジの紅葉・椿・菜の花と三つの季節、2010年のすばらしい初歩きになった。 |