2010.05.10 MM第305号
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【歩いた日】 2010年5月2日(日) 【天候】 晴れ 【コース及び時間】 平野駐車場10:26−10:36見月茶屋−(直登)−12:35岩礫帯−12:53尾根道に出る58−13:07中平への分岐 13:10見月山〈1047m〉13:20−13:23中平の分岐−13:36岩礫帯−14:20見月茶屋−14:24P 【 登り 2時間39分 下り 1時間4分 合計 3時間43分 】 *コースタイムは休憩や写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。あくまでも参考タイムにしてください。 |
寒さと霜氷害で遅れていた茶摘みが始まった(写真1) | 見月茶屋横から山には入る(写真2) |
倒木、滑りやすい岩礫帯そこを直登する(写真3) | 初めて見つけた「標識」、うれしい!!(写真4) |
木々に囲まれて「見月山」の山頂はあった(写真5) | ミツバツツジが和ましてくれる(写真6) |
【感想 等】 今年のGWは、4月29日から5月5日まで連続して7日間晴れであった。なんと50年ぶりの事だそうである。 昨年のGWは、日本三百名山の黒法師岳(メルマガNo.268)に登ったが、前日から雨であった。 さわやかな五月晴れに歩く山は楽しい。 そんなわけで、前日に急遽、山に登る計画を立てた。 ETC1000円で混む高速道路は避けて、静岡の奥の山に行くことにした。 『静岡の百山』で調べ、まだ登っていない月見山(1047m)を見つけた。 ネットでHPをチェックし、地形図を持ち出かけた。 地形図には全く道が載っていない。 ネットで調べた登山口である、静岡の奥の梅ヶ島に行く途中にある平野地区、見月茶屋に向かう。 梅ヶ島に行くときによく見かける水車小屋のある茶屋である。 10時半近く見月茶屋に着いた。 そこには駐車場があるが、GWできっとかき入れ時であろう。 茶屋の駐車場に車を止めるわけには行かない。 付近の道もお茶摘みの農家の車がたくさん置いてあり、お茶摘みの邪魔しては申し訳ないので300mくらい下流のトーテムポールのある広場近くに車を止めた。 4月が寒くて成長が遅れていたお茶を多くの農家が一家総出で、機械ではなく手で摘んでいた。 道路脇の茶畑のおじいさんと目があったので挨拶し、出来具合を聞いてみた。 「70年お茶を作っているけど、こんな凍霜害は初めてだ」と。茶摘みは10日ほど遅れているけど、氷で縮れている葉は商品にならない、とも。 4月の寒さがこんな所にも影響しているのである。 見月茶屋の手前に石段があり茶畑の方に登っていけるようになっていた。 HPに出ていた登山口はここかな、と5分ほど登るが、どうも山道というより耕作地と耕作地の境界線といった感じだったので茶屋まで下りて他の登口を探すことにした。 茶屋の左手に「見月山登山口」と書かれた手作りの小さな板を見つけた。 よかった、と細いがはっきりした山道を登って行く。 壊れた作業小屋を過ぎ、10分ほど登ると荒れた茶畑が見えてきた。 確かHPに「荒れた茶畑を横切る」と出ていたな、とあまり踏み跡がないお茶の木がおおいい被さった茶畑の間の道を通る。 山を巻くように杉林の中を進んでいく。 10分ほど進み、もしかしたら道が間違っているかもしれない、と感じた。 『静岡の百山』の本に、「平野からのルートはわかりにくい所もあるので、中沢か相渕からの尾根道を登るほうをすすめたい」と出ていた。20年前の本でわかりにくいのなら、伊豆の猿山(メルマガNo.300)のようにもっとわかりにくくなっているかもしれない、とも思った。 獣道のような道を30分、ほぼ水平に歩き、ガレ場に出た。 道が間違えていることを確信した。 これまで、登山口の小さな標識以外何の標示もない。ビニルテープさえない。 獣道さえ消えてしまった。 安倍川の向こうにある真冨士山の尾根は樹林越しに時々見えるが、杉林は深く他の物は全く見えない。 そのため、現在地がわからない。 この見月山は安倍川と中河内川に挟まれた1本の尾根なので迷っても時間をかければ道に出ることができる。 (安倍川沿いには県道29号が通り、中河内川沿いには県道27号線が通っている) ガレ場を越えないように、獣道や歩きやすい所を直登する事にした。 登って行けば山道に出るなり、山頂が見えるなりすると考えたからである。 時刻はまだ11時、日没まで5時間以上ある。 山梨の八町山(メルマガNo.246)では、山が深く途中で断念したが今回は上手くいきそうな気がした。 杉林の中をぐいぐい登って行く。 初めは獣道のような歩きやすい所があったがだんだんそれもなくなる。 引き返すとき、来た道がわかるように杉の枝や灌木の葉っぱを十字に置いたり、地面を削り記号を書いたりしながら歩いた。 途中、古墳のような人為的な石組もあった。 2、3回岩礫帯に出たが、手を使い何とか登ることができた。 杉の倒木帯や小さな崖のような所もあったが何とかクリアーした(写真3)。 最近、3〜4時間歩いても、快い疲れが残らなかったが、手足を使って道なき樹林帯や岩礫帯の急勾配を登るのは負荷が大きく、筋肉は張り息が切れた。 14時まで歩いて山頂に着かなかったら引き返そうと決めた。 歩き始めて2時間、かなり登った。 GPSがあればわかるだろうが、周りの景色も見えないし地形も似てるのでよくわからない。 これ以上、登れないがれき混じりの崖にぶち当たった。 多分ここは、標高900m辺りだろう。 左右どちらかに迂回して登れる場所を探さなくてはならない。 15mほど先を見ると、木に赤いビニルテープが付いている(写真4)。 今回、山中で初めて見る標示である。うれしかった。 しかし、そこには道はなく、歩いた形跡も見えない。 どうしてこんな標示があるのだろうか。 何らかの目的があってテープを付けたはずである。 かつて人がここに来た、ということがわかっただけでもうれしかった。 帰る道はどこかにあるはずであるから。 がれきの左20mくらい先にもう1つ、赤いテープを見つけた。 行ってみると、そこには山道があった。 ついに登山道に合流したかもしれない。 道には所々に赤いビニルテープが付けられている。 10分ほど歩くと、静岡市と書かれた登山道を示す黄色のプラスチックの板もあった。 登山道にほぼ間違いはない。 それから10分で、クマササと灌木の生えた尾根道に出た。 13時過ぎ、見月山・中平への分岐に出た。 ここまで来ればあと少しである。 13時10分、見月山(標高1047m)山頂に着いた。 杉に囲まれ全く展望はないが、登ることができたことで充実感はいっぱいであった。 腰を下ろし、残っていた昼食をたいらげた。 風もないし、鳥の声もあまり聞こえない。 もちろん、登山者は他にはいない。 山頂に登れた時点で、私の一番の楽しみは「どこで道を間違えたか」の解決であった。 少し休むと、下山を開始した。 少し下ると、登りでは気づかなかったミツバツツジの花が目に入った(写真6)。 花の咲いている木は他にはなかったが、この1本が心に大きな花を咲かせる。 特に春のミツバツツジやアカヤシオは好きである。 登山道に合流した岩礫帯までは十数分だった。 そこからは未知の山道である。 そこからの山道は、ガレを避けるように大きく右に道ができていた。 杉林の中をゆるやかに回り込んでいく。 全く登山道とは違うコースを歩いていたことがわかる。 岩礫帯から下ること10分、HPで見かけた杉林の中の壊れた小屋に着く。 そこからは道は左に曲がる。 赤いテープが所々にあり、迷うことはない。 どうして自分が道を見失ったのか不思議なくらいである。 14時過ぎ、登山道脇の見たことのある古い小屋に出た。 登り始めに見た小屋である。 少し前に、登りの時に歩いた道に合流したのだ。 その3分前に手作りの小さな木に書かれた標識のある分岐があった。 その分岐は横T字型で、直線方向が太い道であり、上から日光が入り前方が明るかった。 私は、どうもその明るさで、暗い杉林の中の小さな標識を見落としたのだ。 そして、その後のかなり放置された茶畑も、HPに出ていた「荒れた茶畑を横切る」との文を思い出し、間違っていないと思ったのである。 その後も、「平野からのルートはわかりにくい所もあるので、中沢か相渕からの尾根道を登るほうをすすめたい」との文を思い出し、こんなものだと、歩き続けたのである。 引き返しても、もしかしたら山頂への標示はないかもしれない、と思い直登を選んだのである。 昨年3月の吹雪・ホワイトアウトの蝶ヶ岳(メルマガNo.258)でもかなりの修羅場を経験しているので、今回の道迷いは「またやってしまった!」くらいにしか思わなかった。(それがいつかは遭難に繋がるかもしれないので、気を付けなくてはいけないが・・・。) 小屋からはすぐに見月茶屋であった。 道なき直登2時間はとても疲れたが、久しぶりの快い疲れであった(なんと4日間も疲れが残っていた。) |