2010.08.13 MM第317号

   私の出合った日本百名山 他の山々 by masarus
       
                         

富士山[8月] (3776m 静岡・山梨県) 日本百名山

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この山の私の印象等は・・・                                 

「 実際に歩いたのは6時間だが、11時間かかった富士山 」

  *下に私の感想等の文があります。                                                                 
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【歩いた日】     2010年8月2日(月)

【天候】        晴れ

【コース及び時間】

富士宮五合目P6:43発−6:48富士宮登山口−6:53五合目公衆便所6:57−7:11新六合目(雲海荘)7:18−8:03新七合目

(御来光荘)8:26−9:01元祖七合目(山口山荘)9:33−10:01八合目(池田館)10:33−11:06九合目(萬年雪山荘)11:41

−12:05九合五勺(胸突山荘)12:38−13:05浅間大社奥宮13:49−14:01剣ヶ峰〈3776m〉14:08−14:15浅間大社奥宮

14:27−14:45九合五勺−14:59九合目15:02−15:19八合目15:26−15:42元祖七合目16:03−16:20新七合目

16:35−17:00新六合目17:21−17:40富士宮五合目P



          【 登り(富士宮ルート) 3時間48分  下り(富士宮ルート) 2時間13分     合計 6時間1分  】



*コースタイムは休憩や写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。
 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。あくまでも参考タイムにしてください。


 
ガスのかかる山頂に向かって出発(写真1) 金剛杖に焼き印を押す人も多い(写真2)
夏場は老若男女が、中には赤ちゃんも(写真3) 昨年付けられた標識がわかりやすい(写真4)
イワツメクサなどの花々が(写真5) やっと晴れ間がのぞく(写真6)
雨の富士山頂には人はまばらだった(写真7) 夏場だけだが富士山頂の郵便局はうれしい(写真8)

 【感想 等】

 1年に1度は富士山に登ろう、と何年か前に決めた。
今まで11回登頂し、今回が12回目である(最近のものはすべてHPにある)。
(いつかそれらを見やすくまとめたいとは思っているが・・・)

 前回は今年の6月にアイゼン・ピッケル(メルマガNo.310)で登った。
一昨年、「富士山に連れてってあげるよ」と言いながら2回のトレーニングをしたにもかかわらず、1回目は悪天候、2回目は職場の同僚家族の葬儀で計画が流れてしまった。

予定を合わせることの難しさを感じた。
昨年は日程合わせができなかった。

 今年行けなかったら、もう連れて行くのは無理かな、と思いつつ焼津アルプスで山歩きの練習をした。
より快適に登るためのこだわりを持っている。
「登山ツアー」のようにお互いの体力も装備も性格もわからない全くの初対面で本番を歩くのはつらい。
何か非常事態が起きたときには、どうしようもなくなるであろう。
ましてや富士山は日本一の高さで、気温差、高度差等で体調を崩したり高山病になったりする人が多い。
5人に1人は登頂できない、と言われている。

 7月中旬になり、天候も安定し、仕事の予定も決まってきた。
それで、8月2日(月)の昼間登ることに決めた。

 7月下旬から8月上旬という山の天候が一番安定している時期で私が平日休みを取れる日がこの日しかなかったのである。
(そのために今回参加できなかった人もいて、申し訳なかったのだが・・・)

 週末の富士山は大変混んでいる。
蟻さんの行列で登っていく。道を譲らないスローペースの人がいれば、その人の速さが全体の速さになってしまう。
細い山道では、人が多いと大変歩きづらいし快適には歩けない。
それで平日を選んだ。

 富士山でもっと感動を味わうには、ご来光を見ることである。
しかし、そのためには評判が余りよくない山小屋に泊まるか夜間登るかのどちからしかない。
私は地元の山であるので、最初の6回は兄弟や友人とのナイター登山であった。

 満天の星や流れ星、ご来光も見た。すばらしかった。
しかし、途中で休んでいるときの汗が冷えた寒さはすごかった。山頂でご来光を待つときの寒さは静岡の真冬以上の寒さであった。
また、夜間はライトを付けても障害物などが見えず危険でもある。

 そんなことから、初心者を連れて行くのは「朝から登山」が適していると考えている。


 朝5時に車で静岡を出発して「富士山スカイライン」に向かった。
途中、4頭のシカを目にし2人の初心者は感動していた。

「富士山スカイライン」に入り、登山口まであと5.2kmの地点に来たとき、反対車線の路肩に車が止まっていた。
こんな早朝から山菜取りではないし、人の姿も見えない、不思議だ、と思った。
本日が月曜日で、昨日・一昨日がマイカー規制のない週末だったことを思い出し、駐車してある車の理由がわかった。
駐車場がいっぱいで、あふれた車は路肩に駐車し、その最後尾は5km以上だった残りの車である。

 車は登るに連れて、何台も飛び飛びに置かれていた。
年々増加する富士登山の人達、前述したようにベスト20日間の週末にマイカー規制がない時にはこのようになるのだ。
登山口まで1時間以上かけて歩いた人も大変であったが、そこを通過する車はもっと大変であったであろう。
そろそろ、マイカー規制の期間を延長する時期に来ていると思う。

 6時半頃、駐車場に着いた。
案の定、駐車場は車でいっぱいである。
ほとんどが他県ナンバーだ。
静岡県の人達は「富士山は見る山だ」と言い、それほど登ろうと思わない人が多い。
どうしよう、路上に置くしかないのか、と思いつつ探すと、1台のスペースを見つけた。
「ラッキー」としか言いようがない。
山小屋に泊まる人やナイター登山をする人がいて、24時間駐車場は動きがある。
あとで歩きながら話した人は登山口まで20分かかった、と言っていた。

 初心者のYさん、Hさんの2人を連れて6時半過ぎに出発した。
比較的上の方の駐車場だったので、標高2400mの富士宮登山口までは5分であった。
すぐに登り始め、少し上にある「五合目公衆便所」に寄った。

 宝永山は長い期間登れるので、7・8月以外も開けてくれるとうれしいのであるが、管理ができないのだろう。
それ以外の期間は閉まっている。
ここはきれいな便所で気持ちがいい。

 さあ、いよいよ富士登山開始だ。
今日の天候は残念ながら曇りで上の方はガスがかかっている(写真1)。
時刻は7時少し前。
写真のようにそれほど人がいないので歩きやすくてありがたい。

 少し歩くと、ガスが下りてきた。
うれしいことに、森林限界を越えているが、曇っていて太陽は出ないので暑くはない。
海の日の3連休は、梅雨も明け低山歩きでバケツ一杯くらいの汗をかいた。
だからこの曇りがうれしい。
しかし、ガスが下りてくると寒くなるのが心配だ。

 この季節にしか見ることができない、高山植物が花を咲かせている。
一面、オンダデである。他の花も咲いている。
マメ科の蔓性の紫の花は何だっけか?忘れてしまった。

 公衆便所から10数分、新六合目雲海荘に着いた。
最初の休憩を取る。2人の調子は悪くないようだ。

 金剛杖に焼き印を押す人達がいる(写真2)。
富士山が信仰の山であることを感じる(焼き印は1回200円)。
結構、この金剛杖を持って歩いている人がいる。
あとはステッキを持っている人も。Yさん、Hさんもためしてガッテンを見たのかステッキを持ってきている。
私は邪魔になるしバランスを崩したとき手を使えるように、両手は空けてある。

 宝永山への分岐を過ぎると本格的な登りが始まる。
私は基本的には自分のペースで登るのが一番、と考えている(初心者は自分にちょうど良い歩く速さがわからないが・・・)。
お互いに速さを合わせすぎるとばてたりより疲れたりする。
話ながら様子を見ながら3人で登って行く。

 先を60歳台の男性が単独でゆっくり登っていた。
なんと彼は私の住んでいる隣の町から来ていた。
先月、トムラウシをツアー登山で歩いてきたという。
また海外のいろいろな山もツアーで登っていて、今回はそのトレーニングの登山であるという。
昨年のトムラウシの登山事故の話になり、登山ツアーの何人かは服装や装備が不足で驚くという。
富士山より高い山のツアー登山では60歳代の半分は高山病や体調不良で山頂に立てないという。
大金を払っていく海外登山、それで富士山で高所トレーニングをしているという。

 2人のペースがゆっくりなのでたくさん話ができていい。
それでも、少しずつ離れていった。
一昨年から一緒に歩いているYさんの方がHさんより登りのペースは少し速いようである。
8時過ぎ、新七合目、ご来光荘に着いた。

 Yさんは10分ほどで、Hさんは20分かかって到着した。
新七合目では休んでいる人も多く、中には小さな赤ちゃんを連れてきている人もいてびっくりした(写真3)。
なんと母乳もあげている。
赤ん坊の高所順応はどうなのだろうか、と心配になる。
少しではあるが、「山ガール」ファッションの女性もいる。週末や富士吉田口からならもっと多いだろう。

 少し休んで出発だ。
スローペースであること、うっすらガスがかかっていることで、疲れないし全く汗をかかない。
こんな登山もあっていいかな、と思う。

 2人の速さがまた少し落ちた。
3人は少しずつ離れ、自分のペースで登る。
コースはわかりやすく1つしかないし、危険はない。
それで、自分のペースで歩き小屋で待つ、という方法を取っている。

 8時半少し前、3人そろって、少し休んだところで出発だ。
ゆっくり登っていくがすぐに間があいてくる。
小学生の子を連れた家族連れで、何回も休んでいるグループもいる。
元祖七合目の下に「標高3000m」の標識があった(写真4)。
もう600m登ったのだ。

この標識は道迷いを減らそう、と昨年の夏作られたものである。
外国人も多いことから、主な標識には英語、韓国語、中国語でも書かれている。
「富士宮コース」は下が青色になっているので、色さえ覚えておけば山頂から下山するときにも間違わない。
登りはどのコースも上へ上へ上がっていけば着くことが出来るが、下りは少し間違えるだけで全く別の登山口に下りてしまう。
特に「富士吉田口」と「須走り口」が要注意だ。ちなみにこれらの色は「富士吉田口」が黄色、「須走り口」が赤、「御殿場口」緑だ。

 ここまで来ると、岩の間に咲く可憐な花「イワツメグサ」が多くなる(写真5)。
花の大きさ1cmくらいで、かわいくて、私の好きな花の1つである。
9時、「元祖七合目」に着いた。
2人を待つ時間が少しずつ長くなってきた。ここではYさんを20分、Hさんは30分待った。
またガスがかかり少し寒くなってきたので上着を出して着た。
2人の顔色や表情は大丈夫そうである。

 9時半過ぎ、八合目に向かって出発した。
人が増えてきた。
登頂して下山してくる人も多い。

 10時、八合目池田館(標高3250m)に着いた。
日本で2番目に高い山「北岳」が3192mであるので、ここはもうその高さを超えていることになる。
ここには夏場限定の「富士山診療所」がある。
時々入って行く人がいる。高山病にかかり、横になっている人も見かける。

 どこの山小屋の前もそうであったが、みんなが休んでいるのに平気でたばこを吸っている人がいる。
私の方にたばこの煙が来れば、「済みません。たばこの火を消していただけませんか。みんな富士山のおいしい空気を吸いに来ていますから」と言う。中にはこの1本を吸ったら消すよ、と言う人もいるが、多くの人はすぐに消すか移動してくれる。
 うれしいことではあるが、風向きを考えて吸っていただきたいものである。

 先ほどと同じ時間でHさんは着いた。
適当に休んだり写真を撮ったりして登ってきている。
富士山では小屋前で休んでいると、登ってくるその姿が見えるのがいい。

 10時半過ぎ、出発だ。
ここからは急な登りになると共に、浅間大社奥宮の神域である。
賽銭の小銭が差し込まれている壊れた鳥居をくぐり、ガスの中を登っていく。

 私は11時過ぎに九合目萬年雪山荘に着いた。
6月には屋根だけ顔を出していたことを思い出す。
気温は19度、思ったより高い。
汗は全くかかず、疲れもない。

 いつもと違って30分歩き、30分休憩、といった感じなので休みながら周りの様子を観察したり、携帯のCDを聞いたりできる。
小屋では週末のゴミの片づけに精を出している。
ブルトーザーも上から2台下りてくる。
スカイラインの下方5.2kmまで車があったのであるから多くの人が登ったであろう。
マイカー規制がある期間はもっとブルトーザーは忙しく動いているであろう。

 初心者の2人も時間はかかっているが、顔色もよく疲れながらも元気に登っている。
また木の鳥居をくぐり、登っていく。溶岩の岩場が多くなるが、道はしっかりしているから初心者でも大丈夫である。

 12時過ぎ、九号五勺「胸突山荘」標高3590mに着いた。
3人で昼食にした。と言っても、行動食を簡単に食べただけであるが・・・。
最後の登りに力が出せるように・・・。

 その内に、ガスが晴れ青空が見えてきた(写真6)。
雲の上に出て、薄かったガスが退いたのだ。
高山の直射日光は皮膚に刺さるように当たってくる。
(わずか15分ほどの晴れ間であったが、帰宅後の入浴で日に焼けたところが浸みた。)

 12時半過ぎ、奥宮に向かって出発した。
一番急坂であるので、自分のペースで各自ゆっくり登る。
右手には雪渓が見えてくる。
6月には全面が雪だったのがうそのようである。
そして最後の鳥居をくぐって、13時過ぎに浅間大社奥宮に着いた。
そこには休憩している人がいっぱいだ。

 待っていると雨が降ってきた。かなりの大雨だ。
すぐに「頂上富士館」の軒下に逃げ込んだ。
天気予報の通りであるが、少し予想より早かった。

 40分余待つと3人がそろった。
Yさんは雨合羽を着ていたが、Hさんは合羽の上着だけであった。
濡れると寒くなるので、すぐにズボンをはくように言った。
私も雨合羽を着て、荷物を置いて剣ヶ峰山頂に向かった。

 荷物も軽くなり、10分あまりで剣ヶ峰3776mに着いた(写真7)。
実際に私が歩いた時間は4時間弱、休憩を含めて出発から登りにかかった時間は7時間と少しであった。
6月に雪の中を歩いて3時間半、昨年8月に2時間半が私のコースタイムである。
だから今回は汗もかかず疲れもしなかった。

 山頂には、他に3人いただけであった。
奥宮や山小屋前にあれほどいっぱいいた人達はどこに行ってしまったのだろうか。
小屋の中に避難しているのだろうか、それとも下山を始めたのだろうか。
昨夏の山頂で順番を待って写真を撮っていたときとは大違いである。

 山頂は展望もなく、また雨をよけることもできないので、すぐに下り始めた。
そして荷物を置いた浅間大社奥宮前の「頂上富士館」の軒下で少し休んでから下る。

 奥宮横には、夏場だけだが富士山頂郵便局がある。
山頂から出す郵便もいい物だ。
かつては山頂から郵便を出したものだ。

 14時過ぎ、奥宮からの下山を開始した。
九合目まで約30分で下りた。急いだわけではないが、お二人の調子が良かった。

 雨は小降りになったが、完全にはやまない。
雨では写真が撮れないのでその時間が短縮されている。
八合目までも、スムースに下りることができた。

 下りるのが苦手な人の所で渋滞している。
私はいつもの自分のペースで下りたくなった。
やや広いところで彼らを追い抜かし、快適に下り始めた。気持ちがいい。

 お二人はステッキを使い、転ばないように慎重に下りてくる。
膝が笑ってきた、と言いつつも順調に下る。
行きでは遅れ気味だったHさんの方が下りは得意そうである。Yさんが遅れ気味ではあるが、それほどでもない。

 新六合目では20分待ったが、登りほど待つ時間は多くはなかった。
17時40分、車に着いた。
実質2時間余、休憩を入れて3時間半で下りた。なんと、コースタイム以上の速さであった。

 今回は、山は全くの初心者お二人との富士山であったが、楽しく歩くことができた。
2回のトレーニングやお二人の体調管理で、高山病にもかからず登頂できたのはよかった。

 下山後、私は急な頭痛に襲われた。
今までに体験したことがない痛みで、生あくびも頻繁に出た。
とても車を運転できる状態ではなかったが、今回はYさんの運転で家から来た。
帰りは後部座席で寝ていけば良かったので、ほんと助かった。
その頭痛も少し寝て、家に着いたときには治っていた。不思議な頭痛であった。

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