2010.10.03 MM第321号
*下に私の感想等の文があります。
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【歩いた日】 2010年8月22日(日) 【天候】 薄曇り 【コース及び時間】 九寨溝旅遊センター12:05−(園内バス)−諾日朗観光客センター−(バス乗り換え)−13:00長海〈3100m〉…13:33 五彩池〈2995m〉−(園内バス)−諾日朗観光客センター−(バス乗り換え)−14:30原始森林(周遊)−15:05芳草海〈2910m〉 −15:30箭竹海−15:40パンダ海〈2584m〉…16:00五花海〈2471m〉−(園内バス)−諾日朗観光客センター…16:40 諾日朗瀑布−犀牛海〈2400m〉…樹正瀑布…火花海〈2187m〉…17:25九寨溝民族文化村…17:00盆景灘−(園内バス)− 18:10九寨溝旅遊センター *コースタイムは休憩や写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。歩き方で全く変わりますので、あくまでも参考タイムにしてください。 |
標高3100mの長海(写真1) | 「五彩池」上にある山々(写真2) |
五彩池はNo.1の美しさだ(写真3) | 「原始森林」に咲いていた可憐な花(写真4) |
パンダ海瀑布は大迫力だ(写真5) | 五花海は「五彩池」と並ぶ不思議な青色の水を湛える湖だ(写真6) |
諾日朗瀑布もすばらしい(写真7) | 九寨溝民族文化村に寄る(写真8) |
【感想 等】 約20年ぶりに中国を訪問した。 今回は「世界遺産を歩きたい」という目的のためである。 その中でも一番の目的はこの「九寨溝」である。60kmに及ぶY字の渓谷に美しい湖と滝がいくつもある景色を是非見たいと思ったからである。 20年前は外国人の使うお金は「兌換券」で外幣といい、中国元は人民幣と言った。 兌換券は出国するときに自国貨幣に換金できるが、人民幣はできない。 でも、買い物のお釣りは全部、人民幣・・・。 「天壇(北京)」などの施設に入るとき、中国人3元、外国人30元と料金は10倍であった。 初め、外国人料金を払っていたが、最後にはばからしくなり中国語で入場券を買い中国人料金で入った。 あれから約20年、中国は世界2位の経済大国になった。 貧富の差は大きく日本以上の二極化が進んでいるが・・・ そんな中国に今もODAプロイジェクトで援助している。 日本海の油田開発問題、そして今回の尖閣諸島での問題・・・。 海保船にぶつけた船長を釈放してやったのに「謝罪と保証をせよ」とは信じられない。 私ならビデオを放映し、謝罪と弁償をするのは中国であると言うだろう。 帰りの空港でも昆明の農村に無償で学校を建てているNPOの団体にあったが、もうやめてもいいじゃないかと思った。 中国では日本人の常識では考えられないことが時々起こる。 それらのことは、日本とは異なる海外であるからある得ることであるが、他国では考えられない事が時々起こる。 私は昆明から空路、中国に入った。 インターネットで調べると毎日1便「九寨溝黄龍空港」にフライトがある事になっていた。 他のフライトも予約状況を見るとまだ空席があったので現地で予約しようと出かけていった。 昆明で宿泊したホテルのツアーデスクで九寨溝黄龍便を予約しようとすると20日後まで満席だという。 (後日、このフライトは存在しないことがわかった) それで、成都に行き、一般的な成都からの往復で行くことにした。 考えが甘かったため、フライトの予約は満席が多く、思った便が取れなかった。 そのため、やや駆け足の旅行になった。 その「九寨溝黄龍空港」は、標高3500mの高台を削って作られている。世界遺産になってから整備されたのだ。 3500mと言えば、日本一の富士山とあまり変わらない高さである。 そして驚くことに、そこから「九寨溝」までは、120kmあるというのである。 120kmといえば、静岡から東なら厚木、西なら蒲郡までの距離である。車がそれほど多くはないと言えども一般道路を120km走って到着である。 私は成都から10時過ぎに「九寨溝黄龍空港」に着いた。 標高3500mの空港は森林限界の上にあった。他には何もない。 リムジンバスに乗り九寨溝に向かった。途中の沿線も大自然の中で、見ていても飽きない。 12時少し前、ホテルに寄りながら最後にバスから降りたのは私であった。 宿にチェックインし、その宿の車に九寨溝旅遊センターまで送ってもらった。 私はフライトの関係で、ここに1日半しかいることができない。 しかも、空港から120kmあるということを見落とし、10時過ぎに着けば、1日楽しめるものと考えていた。 翌日の予定の黄龍を1日目にすればよかったと、後悔したが始まらない。黄龍は半日でも歩くことができる渓谷である。 世界遺産「九寨溝」の入場料220元、園内バス1日券90元(約4400円、空港での交換レートは1元=14.1円だった)を払う。 あまりの料金の高さに驚く。中国にあるどの世界遺産も同様に高い。 外国人からお金を巻き上げようとしているように思えてならない。 内部に宿泊施設もなく、3つの渓谷を遇わせると60kmもあるのでバスに乗らないで移動することは不可能である。だから誰もが園内バスの1日パスを購入しなくてはならない。 九寨溝はYの字に渓谷が広がっている。まずYの字の中心「諾日朗観光客センター」までバスに乗った。 そこから乗り換えて、東側の奥にある「長海」に向かった。 この「則査窪溝景区」18kmの道のりはいくつかの湖があり、バスから見ながら楽しんだ。 13時、一番奥の「長海(標高3100m)」に着いた(写真1)。 周りにそびえる山々、そして湖の深い青い色・・・。 これだけでも、ここへ来た甲斐があったと思った。 今まであまり人を見かけなかったが、観光のスポットなのでチベット族のおばさん達が民族衣装を着て記念撮影用の民族衣装を貸し出していた。 それにしても、観光客が少ないと思った。 ガイドブックにも「中国西南部における最高の観光地になり、シーズン中の7月から10月は平日でも観光客がいっぱいでる」と、写真付きで出ていた。覚悟していただけに、うれしいやらびっくりするやら・・・。 (後から、2008年5月の四川大地震の影響と少し前の大雨による落石で道路が不通になっていることがわかった。) そこから「五彩池」へは、標高差100mほど歩いて下る。 入場料も高いが、立派な木道が造られている。 そこを下るので簡単である。松などの原生林の中を下っていく。 木々の上にはそびえる山が標高の高さを教えてくれる(写真2)。 今立っているところが標高3000mであるから目の前の山は4000mくらいあるであろう。 あの山に登りたいなぁ、思った。 ガイドブックによると、周りを2000m〜4500mの山々に囲まれ、現地の住民以外は入ることは稀であった、という。 そんなことを考えて1人歩いていたら、松の間から透き通った淡い鉄紺色が見えてきた。 五彩池に着いたのだ(写真3)。 すっきり晴れてはいないのに、美しい色を出している。 世界遺産「九寨溝」の目玉の風景である。 あまりの美しさにシャッターを押しまくる。 どう切り取ってもたまらなく美しい。 中国で人気があるのもわかるし、知り合いの中国好きや海外旅行好きからは良さを聞いていた。 いつまでも見ていたいが、時間も限られている。 バスでこの渓谷のYの字の中心「諾日朗観光客センター」まで戻り、乗り換えて反対側の「日則溝景区」の先にある原始森林に向かう。 こちらの方が湖が多く、車窓の風景は飽きない。やはり長さは18kmあるという。 バスでは、親子3人連れと親しくなった。お母さんが日本に留学経験のあり日本語が通じたからである。 彼らは2日かけてゆっくり見て回るという。 バスは2時半に原始森林に着いた。 案内表示に沿って森林の中を歩く。 木が少ないところにはアザミの仲間、ワレモコウ、リンドウの仲間などが咲いていた(写真4)。 原始森林と言っても、屋久島のような1000年以上の巨木があるわけではないがそれなりに松など針葉樹林の散策を楽しんだ。 途中、木道にリスも顔を出しかわいかった。 ここ原始森林で下車したのは親子3人組と私だけ。 客が少ないので早く閉園したいのか、20分で戻ってきてと言われた。 私は歩くのが速いので、簡単なことだが、5歳くらいの子を連れた家族は無理である。 しかも、彼らはゆっくり散策するのが目的だ。 私は時間通り戻り、待っていたバスに乗り「芳草海」に向かった。 1〜2分待つから見てこい、という。なるべく少ないバスで終わらせたいのだ。 そして、次の「箭竹海」を見、私は「パンダ海」で下車した。 この下には「パンダ海瀑布」という滝があり、こちらの渓谷の目玉、「五花海」へと続いているのである。 全く驚くのは、すぐ滝の横、流れ落ちる滝に沿って遊歩道があることだ。 日本では滝は上から見るか下から見るかの選択しかないが・・・。 滝の左隅を下りていくと、パンダ瀑布の全体が見えてきた(写真5)。 そこからも激しい流れの横の遊歩道を下っていく。 大雨でこの木でできた遊歩道は流されることはないのだろうか、という疑問も湧いたが大自然をこのように手に取れるところで楽しめるのはすごい。 日が差すところにはアキノキリンソウやソバナが咲いていた。 16時、五花海に着いた(写真6)。 「五彩池」と並ぶ不思議な青色の水を湛える湖。 枯れた木の幹と白い沈殿物、それがより神秘的な感じを出している。 湖畔には名前がわからない花もいくつか咲いていた。 時計回りに周り、バスの乗車場に向かう。 太陽は薄い雲の中に隠れたが、水の色は変わらず美しい。 空の白が水に映り、山の陰になっているところだけ淡い鉄紺色になり水中の木々が透けて見える。 観光客を撮して写真を売るカメラマンが暇そうにしている。 1人歩いていくと、私の1眼レフを見て貸せろ、と手を出したので渡すとストロボをたいて記念写真を撮ってくれた。 その方がきれいに取れる、と身振りを交えて説明する。 その撮影方法は知っているが、私はこんな場合は使わない。 しかし、画像を確認し、「謝々」と言って軽く頭を下げた。 バスに乗り、「諾日朗観光客センター」まで戻り、諾日朗瀑布に向かった。 センターから歩いてすぐの所にあるはずだ。 あった。巾320m、高さ25mの諾日朗瀑布だ(写真7)。 お昼頃バスで通過したときには20人ほどが見物していたが、今は数人しかいない。 1つ2つならよくあるだろうが、Y字の3つの渓谷に美しい湖と滝が連続してある。 その規模の大きさに度肝を抜かれる。 そこからはまたバスに乗り、「犀牛海」に向かった。 小雨が降ってきた。バスは下車場で止まりながらゲートへ向かってくれる。 どうしようか迷ったが、時刻はまだ17時前、閉門には1時間以上ある。 犀牛海(標高2400m)で降り、そこからゲートに向かって遊歩道を歩くことにした。 傘もある、雨合羽もある。もっと九寨溝を楽しもう。 犀牛海は長海についで大きな湖だそうだが、長海に似た感じだった。 そこから、少しずつ下っている木道をすいすい歩いていく。 少し歩くと、湖からの流水を利用してマニ車を回している小屋があった。 そして、湖の浅瀬にある木道を通り横切る。 水の色は五花海と同じだ。大きな木も沈んでいる。 五花海と五彩池があまりにも有名なので、ガイドブックにも出ていないが同じくらいきれいだ。 そして、青森県の奥入瀬を大きくしたような流れを見ながら下っていく。 飽きることはないし、写真を撮ってもきりがない。 (実は、この日300枚も撮してしまい、最後にはメモリーがなくなってしまった。メモリーがなくなってしまったのは、初めての経験である。) 犀牛海から20分ほど歩くと、また流れを横切り道路側に出た。 そこにはまたマニ車を回している小屋があり、ちょうど結婚式用の写真を撮っているカップルがいた。 道路の先には「九寨溝民族文化村」と書かれた集落があった(写真8)。 現地の生活に興味があるので、チベット族の村に寄ってみた。 みんな観光客相手の民芸品店になっていた。 お客はほとんどいないので、ヤクの角に鋸を入れ櫛を作っているあるじもいた。 家もお寺もカラフルである。 10代の少女3人が歩いていたが、カラフルな綿シャツにジーンズであった。 そこから「盆景灘」まで歩き、バスに乗ってゲートに向かった。 まだ歩いている人もあったが、昼食も行動食だけだったので疲れた。 閉園の20分前、18時10分にゲートを出た。 ゲートの周りには宿泊施設が整っている。 地図で見ると、ゲート前だと思っていた私の泊まる宿までは2kmもあった。 散策しながら宿に戻り、近くのレストランでビールを飲みながら楽しかった1日を振り返った。 駆け足の見学ではあったが、美しい湖と滝がいくつもあるこの九寨溝景色は本当に美しく、良い一日だったとつくづく感じた。 |