2012.09.01 MM第403号
*下に私の感想等の文があります。
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【歩いた日】 2012年8月4日(土) 【天候】 快晴 【コース及び時間】 富士山御殿場口4:53発−(御来光)−5:07大石茶屋−5:32/37−6:03次郎坊6:08−7:00/05−7:35新六合目(小屋 は閉鎖中)7:40−8:22六合目(宝永山分岐)8:27−9:00七合目 日の出館(大砂走分岐)−9:10わらじ館9:20−9:55 赤岩八合館10:00−10:19八合目−10:34/39−11:10/15−11:28御殿場口頂上−11:32浅間大社奥宮11:48− 12:02剣ヶ峰〈3776m〉12:08−12:19浅間大社奥宮−12:21御殿場口頂上12:26−13:03赤岩八合館13:08− 13:30大砂走分岐−13:42宝永山分岐(下り六合)13:47−14:34大石茶屋−14:40富士山御殿場口P 【 登り 6時間3分 下り 2時間17分 合計 8時間20分 】 *コースタイムは道迷いや写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。また、歩き方で全く変わりますので、あくまでも参考タイムにしてください。 温泉等の料金もよく変わりますので、あくまでもその時の料金です。 【温泉】 天母の湯(1時間400円) 富士宮市山宮 |
歩き始めてすぐ、御来光が(写真1) | 大石茶屋を過ぎるとしばらく小屋はない(写真2) |
週末でも人が少なく自分の速さで歩ける(写真3) | ほぼ満月が富士山に沈む(写真4) |
山中湖が見えてくる(写真5) | 新六合目 小屋は閉鎖中である(写真6) |
自衛隊が3台のブルで登っていく(写真7) | 3000m余にイワツメグサが咲いていた(写真8) |
剣ヶ峰(3776m)は記念写真を撮りたい人の列(写真9) | さすが砂走り、服もpカメラも埃だらけ(写真10) |
【感想 等】 前にも書いたが、私は1年に1度富士山に登ろうと決めている。 昨年は1日に2度登った(メルマガNo.358、No359)。 これまで、1度御殿場口から下りたことがある。 その時は、JR御殿場から静岡に戻るのに電車の本数が少なくて苦労した。 2012年の今年は、富士山が世界文化遺産になるのではないかということで訪れる人が多い。 そのためこれまでで最大のマイカー規制が行われている。 これまでも30万人以上が山頂をめざすのであるからマイカー規制は必要な措置である。 ただ、登山口が低い「御殿場口」は利用者が全体の10分の1くらいで混むことはない。 それでマイカー規制はない。 今まで家から一番近いし登山口の標高も高く最短時間の「富士宮口」を中心に利用していたが、 今年は「御殿場口」から登ろう、と決めた。 富士山御殿場口の登山口に一番近い駐車場にはまだ8割程度しか車がなかった。 夏山のベストシーズンは7月下旬から8月上旬である。 その週末でもこれくらいの混み具合である。 「御殿場口新五合目」となっているが、かつては「二合目」と言っていた。 「二合目」の名前ではさすがに利用者はないだろう。 先日近くに住む知り合いの家族にあったら「御殿場口から登った」と言ったので、 「大変ではなかったですか。富士宮口からが楽ですよ。」と言うと、 「そうなんですか。知りませんでした。」というから驚いた。 ぽつりぽつりと山頂に向かって出発する人達がいる。 私も5時少し前、出発した。 夏の富士山は特別で、24時間いつでも、出発する人達がいる。 特に登山者の多い「富士吉田口」からは夜は光の帯ができる。 最近私はナイター登山はやらない。 山は安全に日中しか歩かない。 夏の5時前は、太陽は昇ってはいないが明るい。 トイレの前にはギボウシが登山者を歓迎するように白色の花を咲かせている。 雲一つかかっていない富士山が左手に宝永山を抱えでんと構えている。 ここからだと大きく見える。 朝のすがすがしい空気を吸いながら木の鳥居のある登山口から入る。 東の空はピンク色に染まっている。 富士山が赤く染まってきた。 一番の高所である富士山から陽が当たり始める。 御来光はもうすぐである。 4時57分、太陽が顔を出した。 富士山の東側に位置する「御殿場口」は、御来光を見ることができる利点がある。 今回は望遠レンズもザックに忍ばせてきた。 早速使えるとはうれしい限りである。 薄い雲の向こうから太陽が昇ってくる(写真1)。 家の窓からはたびたび見る御来光ではあるが、山、特に富士山から拝む御来光は格別である。 今日もよい1日になることを祈った。 少し登ると、大石茶屋が見えてきた(写真2)。 大石茶屋は、1年ぶりである。 昨年夏、富士山を2往復してから予備日を使って御殿場口から富士山双子山(メルマガNo.360)に登ったとき来ている。 あの時は富士山の上部にガスがかかり、今とは全く感じが違う。 10分余かかり大石茶屋に着いた。 若者2人が出発の準備をしていた。 午前5時を過ぎたばかりで、静かな時が流れていた。 ちょうど、双子山の上に満月に近い月があり、双子山に向かって少しずつ沈んでいた。 私は休まず、火山灰の砂の道を登っていった。 ずっと先の方まで見えるが、私の前には2人組が2組見えるだけである。 静かであり、自分のペースで登っていくことができる。 傾斜がなだらかな分、遠く感じる。 周りの砂礫の中に生えているのはオンダテばかりである。 それが白い花を咲かせている。 まだまだ、先は長い。 山頂が遠くに見える(写真3)。 出発から30分余、1回目の休憩をする。 快晴の中、太陽の光を遮る樹木がない。 ばてないように歩かなくてはならない。 水分もいつもの1.5倍持ってきている。 5時46分、月が富士山の山肌に沈む(写真4)。 こんな光景も好きだ。 6時過ぎ、「次郎坊」に着いた。 ここまではとてもなだらかであったが、ここからやや急になっていく。 横を見ると宝永山と同じくらいの高さになっている。 上に人が見えてきた。 何グループか、10人ほどが歩いている。 傾斜が急なのでジグザグになっているから近くに見えるのだろう。 下りは左側(西側)をまっすぐ下りる。 2人組が砂埃をあげながら走り下りるのが見える。 下りは楽そうだが、登りは砂に足を取られてうまく前に進めない。 しかし、休まないで1歩1歩確実に登っていたら、集団に追いつき、抜く。 周りはどこも砂だ。 7時近く、眼下に山中湖が見えてきた(写真5)。 湖面の上当たりに雲がかかっているが、何とか見える。 ますます傾斜がきつくなってきた。 7時半過ぎ、新六合目に着いた。 残念ながらここにある小屋は閉鎖中である(写真6)。 ベストシーズンの土曜日にこれだけの登山者数では経営が成り立たないのかもしれない。 日本人はとにかく一極集中が好きだ。 富士山でいうと、登山時間という登り易さでいえば富士宮口からの方が楽なのに、富士吉田口に半分以上の登山者が集まる。 集まれば、アクセスもよくなり土産物屋、山小屋等も増える。 その差はどんどん広がっていく。 おかげで、静かな山歩きを満喫させていただいている。 やがて、3台のブルドーザーの上に自衛隊が乗って富士山の登ってくるのが見えた(写真7)。 下にも座席があるのにあんな屋根に乗ってもいいのだろうか。 訓練のためにも歩いた方がいいだろう、と思いつつ眺める。 あとで知ったのは、翌日の「富士登山駅伝のサポート隊」だという。 体力を温存させなければ支援はできない。もっともである。 彼らの宿泊のために御殿場口登山道の山小屋は満室だという。 そんなことも本日の登山者を減らしている原因かもしれない。 標高3000mの標識がある。 宝永山や雲が下の方に見える。 宝永山は2693mなので、下に見えて当然ではあるが少し下に見えるくらいである。 もちろん、あの双子山はもっと下の方に見える。 オンダテが火山礫の所々に白いっぽい花を咲かせている。 もう少し上が、高山植物の限界の高さだろう。 ここは「大砂走り」分岐である。 何人もが走り下りるのが見える。 ご来光を拝み、下山してきたのだろう。 埃がすごく、マスクをはめている人もいる。 ここからは上り下り共、同じコースになる。 「日の出館」を過ぎ、「わらじ館」に着いた。 さっきブルで上ってきた自衛隊が小屋前で大勢休んでいる。 その先にはあの「イワツメグサ」が咲いていた(写真8)。 日本アルプスの岩場でよく見かける懐かしい花である。 ここまで上がると、伊豆半島や駿河湾がはっきり見えてくる。 そして富士山を目印に飛んでいるジェット機が富士山上空をおもちゃのように通り過ぎる。 八合目過ぎると、浅間大社奥宮の境内である。 拝んでから通過する。 前方の斜面に雪渓が見えてきた。 今年は雪が多くて山開きが遅れたが、雪が残っているのはここだけである。 傾斜はもっときつくなり、最後の登りである。 多くの人の足が重くなる。 私も快適に登ってきたが、足取りがスローになってきた。 今回はノースリーブのシャツで、適度な風に吹かれ汗もほとんどかかず登ってきている。 晴れてはいるが暑くはない。 11時28分、御殿場口の山頂に着いた。 休憩を入れて6時間半かかっている。 富士宮口からの2倍の時間である。 長かったが、長い分だけ富士山の登りを楽しむことができた。 休まず浅間大社奥宮に行く。 無事登れたお礼を言い、昼食休憩をする。 さすが奥宮の前には人が一杯だ。 富士吉田口から次々に人がやってくる。 もちろん、富士の宮口からも・・・。 最高峰、剣ヶ峰に向かう。 火口壁には雪が残っている。 公衆バイオトイレ近くの広場では自衛隊30名ほどが並んでいた。 明日の富士登山駅伝の準備であろうか。 剣ヶ峰の内壁は昨年より崩壊が進んでいるように思える。 反対側を見ると、雲海が切れ沼津の千本松原辺りの海岸線が見える。 最後の急登にさしかかる。 何回登ってもここが一番歩きづらい。 登る場所を選ばないと滑ってうまく進まない。 (これまででは、凍っていてアイゼンを付けて登るのが一番楽であった。) さすが週末である。 混んでいる。 この急坂を登る人も多いし、下ってくる人も多い。 そして山頂の標識前で写真を撮りたい人が大勢並んでいる(写真7)。 初めての人には最高峰での記念の1枚は大事であろう。 私はそんなものはなくてもいいので列に並ばず、山頂に向かう。 12時過ぎ、日本の最高峰に立つ。 今年は「二等三角点」とその説明をカメラに納めた。 富士山が噴火するかも・・・と言われているが、どこから噴火するのだろうか、と山頂に立ち 火口や辺りを眺めてみた。 それは見当は付かない。 人も多いのですぐに下山を開始する。 すれ違う人の顔をじっくり眺める。 4人に1人くらいは顔が青白かったり、目や口の周りがどす黒い。 高山病の症状だろう。 まだ歩ける人はいいが、ぐったり横になっている人も何人もいる。 富士山は5人に1人は登頂できない、と言われているが、八・九合目等で横になっている人を見ると本当かも・・・と思ってしまう。 12時26分、御殿場口山頂から下り始める。 30分ほど下るとガスが出始める。 夏山は午後になると雲が出てきたり雷雨があったりすることも多い。 今日は雨は大丈夫だろうが、ガスが出れば展望はきかなくなる。 休みすぎないように下っていく。 13時半、大砂走り分岐に着いた。 休まず右手の大砂走りを下る。 一歩が2mくらいですいすい下れ、気持ちがいい。 下山者が砂埃をあげて下っていく(写真8)。 ただ、追い抜いたりするとき、砂埃を他の人にかけたり自分にかかったりするのが気になる。 また、砂が登山靴の中に入るのも心配である。 まずは少し下ってみる。 長めのスパッツを持ってきているが、上手に歩けばスパッツなしで靴に入らないことがわかる。 そのまま付けないで下ることにした。 (私の登山靴はハイカットで普通の靴より砂が入りにくい。また、登山ズボンには裾に紐が付いていて裾を縮めることができる。) 今日は土曜日のためか、宝永山にも多くの登山者がいる。 団体が2グループに分かれ、交代で登頂しているようにも見える。 明日の練習であろうか、砂走りを走って登っていく人、短パンランニングで下っていく人もいる。 宝永山分岐から40分弱で「大石茶屋」に着いた。 休まず駐車場に向かう。 しかし、そこの階段で滑って転ぶ。 砂でスリップしたのである。 右手を着いたとき手の甲に砂が入り血がにじむ。 14時40分、駐車場に着く。 そこの案内所で水洗いさせてもらい、バンソコウをもらって張る。 最後の最後で転ぶとは・・・・。 登りは正味6時間、下りはその1/3で2時間と少し。 いかに砂走りが早いか、と言うことである。 帰路、世界遺産になるだろう富士宮の「宮内浅間大社」に寄った。 他には1人しかいず、静かな神社であった。 富士山遙拝のための神社で、社がないのもいいな、と思った。 そして、近くにある「天母の湯」に寄ってから家路についた。 帰宅後、思ったより日に焼けていたことを知る。 1週間後には露出部分の皮がむけひどかった。まだ買ったことがない日焼け止めの必 要性を感じた山歩きであった。 |