2015.05.25 MM 第522号
ザールブルグ城砦[世界遺産]のあるバート・ホンブルクの森
(ドイツ・フランクフルト近郊)
この山の私の印象等は・・・
「 地図もなく行き当たりばったりで歩いた バート・ホンブルクの森 」
*下に私の感想等の文があります。
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【歩いた日】 2015年3月14日(土) 【天候】 曇り時々小雨 【コース及び時間】 フランクフルト駅11:54=(S5)=12:24バート・ホンブルク駅13:25=(バスNo.5)=13:45ザールブルク-森歩き-14:51 ザールブルク城砦見学15:46=(バスNo.5)=16:05バート・ホンブルク駅16:15=(S5)=16:35フランクフルト駅 【 森歩き 合計 1時間6分 】 *コースタイムは写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。 また、歩き方で全く変わりますので、あくまでも参考タイムにしてください。 |
バート・ホンブルク駅に着いた(写真1) | ザールブルクの森に入る(写真2) |
森はよく手入れが行き届いている(写真3) | 木に表示が打ち付けてある(写真4) |
観察用の小屋が所々にある(写真5) | やっと正式な表示があった(写真6) |
ザールブルク城砦に入る(写真7) | 出土した土器や武器を展示(写真8) |
【感想 等】 この日はドイツ滞在中の15日間で最も寒い日であった。 冬山用のジャケットを着ていても寒く、宿に目出し帽を置いてきてしまったことを悔やんだくらいである。 それで、時々小雨が降る中をただフランクフルト市内を観光するのではなく、自然の中を歩きたいと思った。 そうすれば少しは体が暖かくなる・・・。 ガイドブック「地球の歩き方」を見ると、近郊の見どころに 「世界遺産 バート・ホンブルクに残るローマの遺跡リーメス」というのが出ていた。 わずか数行の文と1枚の写真からは「自然の中を歩ける」かどうかはわからなかった。 ただ、町のかなり外れたところにある、ローマ皇帝が築いた600kmに及ぶ防砦の一部であることなどからそう考えた。 12時近く、フランクフルト中央駅からS5(近郊電車)に乗って出発した。 そして30分でバート・ホンブルク駅に着いた(写真1)。 バス停で調べるとザールブルクへのバスは13時25分である。 1時間あるので昼食を取ろうと構内をみると、マクドナルドがある。 ドイツのマクドナルドはDB(ドイツ鉄道)と契約しているのだろう、駅構内にあることが多い。 そこでバーガーを食べ、読書で時間をつぶしザールブルクへのバスの乗った。 13時45分、ザールブルクに着いた。 下車したのは20人ほどのハイカーと2,3人の観光客であった。 ザールブルク城砦を左手に見ながらハイカーの後をついて歩いて行った。 地図もコンパスもなく何も頼りにするものもない。 できれば、ずっと後をついて歩きここに戻って来たいと思った。 彼らは森の入り口に差し掛かった(写真2)。 いいぞ!、と思ったのもつかの間、看板の前でリーダーらしき人の話が始まりなかなか終わらない。 近くに標識らしきものがあったので見ながら2分ほど待ったが、諦め自分で歩くことにした。 彼らはここには戻ってこないで、別の目的地に行くのかもしれない。 私はドイツ語が全くわからないので尋ねることもできない。 矢印があったので私はそれに従って森の中に入っていった。 私が歩き始めると、彼らは道路に沿って森の隅を歩き始めた。 森沿いに歩いて行き、目的地が違うのかもしれない・・・ 私は道路とは直角に森の中に入っていった。 デュッセルドルフからドイツに入り、フランクフルトまで車窓から風景を見てきたがドイツには山があまりない。 ほとんどが平地である。 大きな森林もない。 原生林のようなものも見えなかった。 鉄道沿線がそうだったのかもしれないが、ヨーロッパは古い大地である。 多くの土地に人間の手が入っているのだろうと思った。 だからこの森もきっとそんなに大きくはなく迷うことはない、と簡単に考えた。 ほとんど平らの道をどんどん進んでいく。 緩やかな登りになり、人工林の中を歩いて行く。 木の種類は場所により広葉樹の所もあり、針葉樹の所もある。 森のはずれに来たのか、少し景色が見えた。 緑多い平野の中に少しだけ民家が見えた。 道は左にカーブしてゆるやかに下っていく。 木々はしっかり管理されているのだろう、切ってある場所もある(写真3)。 間伐し針葉樹の苗木を植えてある場所もある。 矢印は右に曲がっている(写真4)。 この矢印だけが頼りである。 ここには日本の山で見かけるような標識はない。 少し不安になってくる。 バス停を出発してから20分が過ぎたが、これからどれくらいの時間がかかるのか、 どんな展望が得られるのかも見当が付かない。 落ち葉が一杯の道を1人歩いて行く。 やがてまた針葉樹になり、その外れには野鳥観察の見物台であろうか、1㎡くらいの屋根付きの小さな建物があった。 道に迷った時、こんなものが目印になる。 よく観察し、写真にも収めた。 似たような風景の中を歩いている。 もしかすると、同じ所をぐるぐる回っているかもしれないからである。 そこから10分ほど歩くとまた野鳥観察小屋があった(写真5)。 今度のものは周りを囲い、焦げ茶色のペンキを塗った本格的なものである。 周りは最近伐採した跡のようである。 3分ほど行くとまた野鳥観察小屋があった。 先ほどのものを小さくした感じで18と番号が書かれていた。 同じ所は歩いていないようであるが、出発してから50分経った。 風景は似ているがわずかずつ違う感じである。 そろそろ現在地を知りたくなったが、手がかりがない。 太陽が出ていれば方角がわかるが、時々小雨が降る曇りの天候である。 森から抜ける、できればこれから寄りたいザールブルク城砦に近い方角に行きたいが・・・ ありました。 50mほど先に標識が。 近くに寄ってみると「リーメス遺跡 →」と書かれている。 その方向に行くことにする。 進んでいくと、またまた標識がある(写真6)。 3方向ともリーメス遺跡である。 そうだった、「600kmに及ぶ防砦」がありその一部が世界遺産になっているのだが、それとてすごく広範囲なのだろう。 どの矢印に進んだらいいのか・・・。 「H」のマークはバス停である。 ということは、2つの内のどちらかである。 2つともザールブルクと書いてある。 1つにはその前に「Bhf」と書かれているし、2.1kmもある。 多分、0.5kmの右に行くといい。 歩いて行くと車道が見えてきた。 この道で、いいかも・・・。 標識から歩くこと6分、ザールブルク城砦が見えてきた。 よかった。 1時間余で一周して戻ることができた。 そして、「世界遺産 ザールブルク城砦」に入る(入場料5€)(写真7)。 数は少ないが車で来た観光客がいる。 紀元1世紀頃、ゲルマン民族の侵攻を防ぐためにローマ皇帝が築いた600kmに及ぶ防砦の一部だという。 石造りの立派な砦である。 日本では弥生時代中期である。 文化が違うので比較にはならないが、日本では稲作や高床式倉庫、村の発展が中心の時代である。 ここには鉄製の鍬や斧なども展示してある。 争いのための剣や鎧もある。 今でも通用しそうな革靴はすばらしかった。 これらの出土品や時代の感じは、 日本で言うと、大和時代の国家統一の争いの時代か、安土桃山時代か・・・ 土器は弥生式土器に形が似ている。 縄文土器にあったような顔をデザインしたものもあった(写真8)。 高校で学習した日本史や世界史を少し思い出していた。 バスは15時46分である。 数分前にバス停に向かったが、ここで乗ったのは私1人であった。 バート・ホンブルク駅に着いたらすぐに電車があったので、フランクフルトに16時半頃戻ることができた。 ドイツでは珍しい森を歩き、世界遺産を見ることができた1日であった。 |