2015.06.07 MM 第523号

   私の出合った日本百名山 他の山々 by masarus 

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布引山(ぬのびきやま 2584m) 静岡県静岡市・山梨県早川町
 静岡の百山

この山の私の印象等は・・・                                     

「 アプローチが長く、久しぶりに山頂まで遠かった 布引山 」

  *下に私の感想等の文があります。                                                                         
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【歩いた日】     2015年5月30日(土)


【天候】        晴れ


【コース及び時間】

老平登山口4:31発-4:53登山口-5:34/5:39-5:48広河原(渡涉)5:55-6:26/6:31-6:35山の神-7:02林業

ワイヤー等散乱7:05-7:42/7:47-8:20/8:25-9:00/9:06-9:32/9:37-10:21布引岳〈2584m〉-(次号に続く)



            【  登り  5時間9分 】



*コースタイムは写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。
 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。
 また、歩き方で全く変わりますので、あくまでも参考タイムにしてください。


  
老平駐車場先のゲート(写真1) 登山口には「熊出没注意」の看板が(写真2)
登って行くと廃屋が(写真3) 石がすべるため沢に入り渡涉(写真4)
林業のワイヤー等残骸が(写真5) 3色のコイワカガミ満開だ(写真6)
布引山手前のガレからは南アルプスの大展望が(写真7)  布引山[2584m]は樹林の中に(写真8)

 【感想 等】

今日、6月3日、近畿地方まで梅雨入りした。
今回、布引山、笊ヶ岳に登っておいてよかった。

昨年は6月4日に東海地方が梅雨入りした。
だからそれまでにどうしても登りたいと思っていた。

5月下旬の3連休で「静岡の百山」「山梨百名山」のこれまで登っていない、残った山々の3つに登ろうと考えた。
山梨県身延近くにある私の未踏の山である布引山、笊ヶ岳、笹山(黒河内岳)に登る計画をした。
これらに3連休の1日目、3日目に登り、天気予報で雨予報の2日は天候によっては七面山に登ることにした。

さあ、出発だ。
天気予報が一番いいのは1日目である。
そこに一番の難関である布引山、笊ヶ岳をぶつける。
コースタイムで17時間50分、標高差2100mの山である。

かつて、飯豊山(メルマガNo.16)では17時間コースを日帰りで歩いたこともある。

ガイドブックにはテント泊の1泊2日で書いてある。
しかし、テント泊中に熊が出没するかもしれない。
それで、私は日帰りを選択した。

また、布引山、笊ヶ岳に登るには静岡の奥、畑薙の北にある椹島から登る方法もあるがそこまで行くアプローチが大変である。

ということで、山梨県早川町、雨畑湖の西、老平を4時半に出発した。
駐車場には私の車の他に3台の車があった。

歩いてすぐの所にゲートがある(写真1)。
奥沢沿いの林道を歩いて行く。
数分歩くと2人連れに会った。
渓流釣りの方達であった。

吹きつけのコンクリートで固められた短いトンネルを抜け暗い林道を進んで行く。
出発から20分ほど歩くと林道は2つに分かれていて、右側と少し登ると登山口がある(写真2)。

登山口から5分ほど進むと、手入れがされてない茶畑がありどうしてだろう、と思っていると家が見えてきた。
廃屋である(写真3)。

道路もない、電気もないこの家にはいつまで住んでいたのだろうか。
トタンの屋根もしっかりしていて、雨戸が閉まっている。
まだ住めそうな感じである。

奥沢沿いに歩いて行く。
山道には吊り橋があったり、沢側に手すりがあったりし、ありがたい。

終わりかけたピンクのツツジが咲いている。
山肌がガレた所もある。

5時半過ぎ、広河原に着いた(写真4)。
ここで奥沢を渡るのであるが、飛び石で渡ることができるか試してみたが石が濡れていて滑りそうなのでやめた。
登山靴を脱ぎ裸足で浅瀬を渡った。

ここからが登りである。
ジグザグの急登である。
ブナなど木々の中を登っていく。

6時半過ぎ、山の神に着いた。
山の神と言っても小さな石の祠があるだけである。
少しなだらかになりほっとするのもつかの間、また急登である。

汗が噴き出してくる。
くすんだ朱色のヤマツツジが疲れを癒してくれる。

林業で木を切ってワイヤーで降ろした跡なのだろう。
それらの残骸が散乱している(写真5)。

ワイヤーの量も機械類もこれほどたくさん散乱しているのは見たことがない。
「昭和43年度人工造林地 からまつ」という看板も立っている。
昭和43年と言えば、1968年である。
今から約50年前の植林である。

山に住む人々の努力が感じられた。

その後も急登の連続である。
まだ5月だということ、そして樹林帯の中ということで気温がそれほど上がってこないのはうれしい。

ただ、鈍った体からは少しでも体温を冷やそうとして大量の汗をかいている。
そして、30分おきに水分補給と筋肉を休めるために休憩する。

歩いている時もコバエが体の周りを飛び回りうるさいが、休憩のために止まると10匹以上が腕や顔などに止まってくる。
小タオルを振り回して顔に止まらないようにする。

やや樹林が薄くなった所に白色のコイワカガミがたくさん咲いていた(写真6)。
少し登ると、白地にピンクの筋が入ったものもあった。

その先には白いカタバミが咲いている。
コミヤバカタバミだろう。
平地の庭先で見るピンクのものより可憐だ。

樹林の間から富士山が見える。
もう雪は少なく夏富士である。

周りの山々の輪郭も少し見えるようになってきた。
標高が上がり周りの山々と同じか近い高さになってきたのだろう。
そして、木々も細くなってきたのだ。

半日影には15cmくらいのコバイケソウの茎がたくさん伸びている。
私はコバイケソウは花よりこの新芽を見るのが好きだ。

10時近くなった。
出発して5時間余である。

表示をしっかり見なかったので、桧横手山も気づかない間に通り過ぎている。
少し傾斜が緩やかになったところが桧横手山だったのだろう。

山道の右下に残雪がある。

今度は黄色のオオバキスミレがある。
わずか数株で、花は2輪のみだが、石ころだらけの登山道脇に咲いているのでよく目立つ。
焼津アルプス主峰、高草山にはこの仲間のキスミレが3月下旬に一面に咲く(参考:『焼津アルプス登山ガイド』表紙の写真

すぐに布引山のガレであった。
ガレているのでここは展望が開けている。
山頂が白く雪の残る聖、赤石、荒川岳など3000m級の山々がよく見える(写真7)。

まだ先は長い。
展望の良いガレで休みたいところであったが、先を急ぐことにした。

ガレから明るい灌木の中を15分、布引山の山頂に着いた(写真8)。
山頂は写真のように樹林に囲まれ展望は良くない。

木々の隙間からは南アルプスの山々が見えるが・・・。
ガレほど展望は良くない。

登山口の老平から渡涉した広河原までは標高は稼げず、それからは急登であった。
樹林帯を歩いたにもかかわらず、思った以上に暑く水分が必要であった。
布引山までは予想より遠かった。

(次号に続く)


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