2015.09.02 MM 第534号

   私の出合った日本百名山 他の山々 by masarus 

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えぶり差岳(えぶりさしだけ 1636m) 新潟県岩船郡関川村 日本二百名山

この山の私の印象等は・・・                                     

「 蒸し暑さとアブとブヨにやられた えぶり差岳 」

  *下に私の感想等の文があります。                                                                         
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【歩いた日】     2015年7月28日(火)


【天候】        曇り時々雨


【コース及び時間】

彫刻公園P5:20-6:14林道終点19-6:42二つ目の橋-6:50/55-7:31/36-8:01/06-8:21権内ノ峰-8:35/40-

8:58千本峰9:03-9:30/35雨合羽を着る-9:59/10:04-10:35えぶり差岳〈1636m〉10:40-11:06前えぶり差岳

11:11-11:40/45-11:49千本峰-12:13権内ノ峰12:18-12:48カモス頭-12:49/54-13:27二つ目の橋13:32

-13:56林道終点14:01-15:00彫刻公園P


     【 登り 4時間34分  下り 3時間40分     合計 8時間14分  】



*コースタイムは写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。
 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。
 また、歩き方で全く変わりますので、あくまでも参考タイムにしてください。


【温泉】        関川共同浴場(新潟県岩船郡関川村)  100円


  
大石ダム上の彫刻公園先にゲート(写真1) ブナの林を歩いて行く(写真2)
ガスに覆われた山頂付近が見える(写真3) 千本峰、標識は消えて見えにくい(写真4)
ますますガスがかかってくる(写真5) えぶり差岳山頂はブヨとガスの中にあった(写真6)
山頂付近には池塘もある(写真7)  会ったのは自衛隊と植物研究者のみ(写真8)

 【感想 等】

このえぶり差岳は、南東北遠征の二つ目のコースタイムが10時間以上の少々大変な山である。
 1つは以東岳で、2日前に登った(メルマガNo.532)。こちらは池あり、高山植物あり楽しむことができた。
梅雨も明けたことだし、えぶり差岳も8時間くらいで楽しく登ることができると思っていた・・・。

主なコースは西側の足ノ松登山口から登るコースと、北側の大石ダムから登るコース(東俣、西俣)がある。
コースタイムとしては西側の足ノ松登山口から登るコースが短かったが、
私は前日の祝瓶山からの行きやすさで大石ダムからのコースを選んだ。

また、大石ダムからの西俣コースは渡涉の可能性があり、また東俣コースはゲートまで車で行くことができるので東俣からの往復コースを選択した。

このコースでコースタイムが11時間40分であり、以東岳と同じである。


まず5時過ぎ、大石ダム上の彫刻公園駐車場で降りてびっくりである。
ドアを開けた瞬間、10数匹のコアブが車の中に飛び込んできた。

あわててドアを閉め、出発の準備をした。


駐車場には私の車だけである。
5時20分、駐車場の先にある林道ゲートをくぐり出発した(写真1)。

コアブは10匹以上私にまとわりついてくる。
手にコアブが止まらないように腕を振り、止まったら顔を手でこすりながら歩いて行く。
途中から帽子でコアブを払う方が効果があることがわかり、頭の周りを帽子を振り振り林道を歩いて行く。

30分経ってもコアブは体の周りについてくる。
その内に服の上から左腕の付け根や左肩胛骨、左尻を刺された。
服の上に止まったので、コアブが止まったことがわからなかった。

歩いていても刺されるので、休憩をすることはできなかった。

約1時間歩き、林道終点に着いた。
さすがここでは覚悟を決め、少々休憩することにした。

不思議なことに、ここではコアブが1,2匹しか寄ってこなかった。
それくらいなら追い払うのは簡単である。
安心して休憩することができた。
場所によって繁殖状態が違うようである。

林道終点で早速歩行者専用の橋通って東俣川を渡る。
吊橋ほどの幅であるが、鉄製の結構立派な橋である。

すぐにブナ林の中を歩く(写真2)。
不思議なことにコアブはほとんど襲ってこない。
うれしい限りだ。

一つ目の橋から20分余で二つ目の橋を渡る。
こちらも一つ目と同様の橋である。
こんなに立派な歩行者用の橋を見たことがない。

出発して2時間くらい経ったところに「大石ダム雨量計」が設置してあった。
雨量計には「NO,2」と書いてあったから他にも設置してあるのだろう。
防災には必要だろうな、と思った。

その先には人間の物のような新しい深緑色のうんちが2つしてあった。
以前、高妻山で人間の物と形が同じで緑色のうんちを見て誰がしたのだろう、と歩きながら考えたのだが、上を見るとニホンザルがいた。
今回は近くにサルを含めて動物は発見できなかったがサルの可能性が高いだろう。

樹林を抜け、灌木になった。
湿度が高く蒸し暑い。
今日も、いや前日よりも汗が出てきている。
速乾性のTシャツがびしょ濡れになりズボンにもしみてきている。
今日は距離も長いのでウンザリである。

尾根道を歩きぐんぐん高度を上げていく。
周りの山々も見渡せるようになった。

東も西も両側が尾根である。
ここは飯豊連峰の北側に位置するが、山が深いことがわかる。

前方に権内ノ峰が見えてきた。
カモス頭を通過したのだが気がつかなかったことがわかった。

ロープを登り、8時21分、権内ノ峰に着いた。
山頂付近にガスがかかった山並みが見えてきた(写真3)。

ここまで登るとかなりなだらかな尾根になる。
周りの山々を見ながら歩いて行く。

9時少し前、千本峰(標高1164m)に着いた。
残念ながらここの標識は剥がれていてよく読めない(写真4)。

1100mまで上がっても相変わらず蒸し暑い。
汗がズボン濡らし、登山靴の中まで入ってきている。

標識が不正確だったり、読めなかったりして不安や遭難に繋がることもあるので是非、早めに直して頂きたいものである。
少しの間なだらかな登りである。
ガスがかかる周りの山々を見ながら歩く。

9時半、小雨が降ってきたので雨合羽を着る。
蒸し暑いので余計に雨合羽は着たくはなかったが、仕方ない。
コアブに刺されたところは痛かゆいままである。

やがてまた普通の登りになり、10時11分、前えぶり差岳に着く。
ここの標識も字が消えかけている。
ステンレスか何かの金属に印刷した活字の塗料が剥がれ落ちているのである。
昔ながらの木の標識よりも耐久性がないのが残念である。

道はなだらかになったのはよいが、風もなく蒸し暑い。
そればかりではなく、ハエの小さいのが体にまとわりついてくる。
全身雨合羽を着ているので露出しているのは手首から下と顔だけである。
主にその顔を攻撃してくる。

左耳とほお、おでこがかゆくなった。
ほおが少しくすぐったいのでこすると赤黒いものが手に付いた。
それは小さいハエの死骸と出血した血であった。
その小さいハエは止まっては血を吸っていたのである。
(家に帰って調べるとこれはブヨであった)

コアブだけかと思ったら次はブヨにも襲われたのである。
ワイパーのように手で顔の周りをこすったりブヨを追い払ったりしながら歩く。

ガスの中、山頂が見えてきた(写真5)。
あと少しである。

クルマユリが雨に濡れ花弁が傷んでいる。
池塘があるが帰りに見ることにしよう。

10時半過ぎ、えぶり差岳(標高1636m)山頂に着いた(写真6)。
山頂はガスの中である。

付近にあったピンク色のミヤマナデシコもマツムシソウも雨で花弁が傷んでいる。

山頂にも数は少ないがブヨがいる。
ゆっくり休むこともできない。

降りよう。
5分で山頂を後にする。

池塘は5分下った所にある(写真7)。
周辺にはクマササが茂り、花は咲いていなかった。
大好きな池塘も今日は後1歩の景色だった。

千本峰(標高1164m)、権内ノ峰と順調に下り、行きに見落とした「カモス頭」に着いたのは12時48分だった。
切り株にはっきりわかるように標識板が取り付けられている。
きっと見落としたのはぼーっとしていたのだろう。
これは見落としても全く影響があるものではないが・・・。

ようやく雨が止んだ。
いつまた雨が降ってくるかわからないので雨合羽を着たまま下って行く。

それにしても誰にも会わない。
このコースより奥胎内ヒュッテからのコースの方が人気があると言うこともあるだろうが・・・。

そんな事を考えながら下って行くと、ボードを持ち立ち止まっている若い男性がいた。
あいさつをして尋ねると、植物観察をしているのだという。
この樹林の中ならアブは少ないだろうが、時々小雨の中そんな人もいるのだ。

下の遠くの方から「お~い!」という小さな声が聞こえてきた。
この深い樹林の中で誰が誰を呼んでいるのだろうか、と疑問に思いながら下って行くと
迷彩服を着た数人が座って休んだりロープを持ったりしていた。
見ると手に手に大きな銃も持っている。

どうもこの下から自衛隊員が登る訓練をしているようである。
30人で訓練をしていると言う。写真は撮ってはいけないということで、私はそのまま下って行く。

その下でも自衛隊員数人に会った。

13時半、二つ目の橋で雨合羽を脱いだ。
空が少し明るくなり、もう雨は降らないことがわかったからである。

14時少し前、林道終点に着いた。
そこには自衛隊の車が数台止まっていた(写真8)。
数人の隊員が蚊取り線香をつけて運転席などで休んでいた。
彼らも林道を歩く方法もあるが許可を取り車で乗り入れたのだ。

あと林道歩き1時間で終わりである。
しかし、5分歩いたところにバンの車が止まっていた。
何だろうと歩いて行くと、太い木を伐採していた。

大きな重機を使って森林に分け入れ伐採や運搬をしていた。
初めて見る最新の林業の仕方である。

これなら早く簡単に安全にできる。
ただ、林道がないとこの方法は使えないだろうが・・・。

帰りはどういうわけかアブが少ししかいなかった。

15時ちょうどに彫刻公園に着いた。

汗で全身ずぶ濡れになり、たくさんのコアブとブヨにやられた散々なえぶり差岳であった。
ちょうど、アブやブヨの大量発生時期にぶつかってしまったのかもしれない。


さあ、下山後は温泉である。
大石ダムから北上し国道113号線に出ると関川村である。
そこには多くの温泉があるのが地図でわかる。
道の駅「関川」があるのでそこにある観光センターで尋ねる。
すぐ近くに共同浴場が3つあった。
その中でも一番近くの「上関共同浴場」に入る。

入口はシンプルで普通の家の感じであった。
管理人がいないセルフ方式で、料金の百円を箱に入れると大きなブザーが鳴ってびっくりした。
お金を入れて入ったことを湯船にいる人や外にまで聞こえる響きである。

お風呂の中には老人2人が入っていた。
湯が出る水道もなく手桶で汲んで体を洗う方法はこれまたシンプルでよい。
汗で汚れた体を温泉で洗い流し気持ちの良い時を過ごすことができた。
体の痒みも少し和らいだ気がした。

ただ、後でまた痛痒くなった。

帰宅後も数日間は痒くてたまらなかった。
1ヶ月以上経った今でも刺された跡が残っている。



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