2016.05.24 MM 第564号

   私の出合った日本百名山 他の山々 by masarus 

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不動岳(2171m ふどうだけ) 
静岡県川根本町・浜松市天竜区水窪町   静岡の百山
                       

この山の私の印象等は・・・                                     

「 丸盆岳への縦走計画も鎌崩の脆さに諦めた 不動岳 」

  *下に私の感想等の文があります。                                                                         
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【歩いた日】     2016年5月5日(木) 


【天候】        晴れ


【コース及び時間】

戸中川ゲート5:05-6:03[5kmポイント]6:08-6:37不動岳登山口6:40-7:21/26-8:03/08-8:48/53-8:58鎌崩岳

〈2075m〉9:02-9:20鹿ノ平-9:41/48-10:11不動岳〈2171m〉10:21-10:44鹿ノ平10:49-11:15鎌崩岳

(ルート探し)12:02-12:33/38-13:10/15-13:24不動岳登山口-13:50/55-14:45戸中川ゲート


    【 登り  4時間32分   下り 3時間17分        合計 7時間49分 】
      


*コースタイムは写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。
 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。
 また、歩き方で全く変わりますので、あくまでも参考タイムにしてください。


  
ゲート左の箱に登山届けを出し出発(写真1) いくつもの滝が目を楽しませてくれる(写真2)
何という花だろう、初めて見る花である。(写真3) 不動岳登山口(写真4)
鎌崩岳山頂(写真5) 鎌崩岳からの不動岳方向(写真6)
コバイケイソウの芽が出始めている(写真7) 鹿ノ平はクマササで覆われている(写真8)
不動岳(2171m)山頂(写真9)  鎌崩、15mほど進んだが断念!(写真10)
ヒキガエルのオタマジャクシがいっぱいだ(写真11)  ヤマツツジの蕾があった(写真12)

 【感想 等】 

 今年のGWは静岡県浜松の北にある水窪周辺の「静岡の百山」に3日間出かけた。
まず、水窪ダムからの林道を北上した戸中山林道をめざす。

以前からの読者はご存じのようにこの山は南アルプスの深南部にあり、大井川上流にある本川根町から登る事ができれば大変行きやすいのであるがなかなか山が深くて遠い。

そこで、新東名の浜松浜北ICを降り、国道152号線を北上し水窪ダムをめざすことになる。

林道が通れるか心配だったので「水窪営林署」に電話したが電話に出ていただくことができなかった。
で、ネットで調べるとダム近くで林道が崩落していてかなりの距離を歩いてゲートまで行ったという最近の記録を見つけた。
10km近くも歩くのは大変なのでもし通ることができれば自転車で通過しようと、自転車を積んで行くことにした。
自転車といっても、マウンテンバイクやサイクリング車ではなくシティーサイクルである。

この林道は2度目であるので自転車で走ることができるのではないかという印象のもとの行動である。

水窪ダムに付き戸中山林道を進んで行くと、はやり「通行止め」という簡単な表示があり、工事用の馬が2台置かれてある。
よく見るとその下にはどかして走った車の轍が見える。
じゃあ、ちょっと先まで行ってみようか、と走っていくとゲートに着いた。

5時過ぎ、ゲートの左にある登山ポストに「戸中山ゲート-不動岳登山口-不動岳-鎌崩-丸盆岳-丸盆岳登山口-戸中川ゲート」と書いた登山計画書を入れて颯爽とGWの山歩きがスタートした(写真1)。


計画書にあるように今回は2山の縦走である。
しかも、「鎌崩」という超難関を通っての縦走である。

「鎌崩」は絶えず崩壊している難しい山であることは調べてある。
ネットで最近の記録を調べると、ロープで確保しつつ通過した記録、ロープもなしに通過したもの、寸又側に下ってからトラバースしたものなどが見つかった。

そこで、
1,尾根をそのまま通過する
2,下ってからトラバースする
3,両方ともだめなら、ピストンでもとの登山口に下り、翌日出直し丸盆岳に登る
という計画を立てた。


せっかく自転車を持参したので林道を走っていく。
最初は快調に自転車をこいでいたが700mくらい走ると坂の勾配がややきつくなりぐっと力を入れたら右膝に痛みが走った。
わずか自転車で走ったのは10分である。

私はかつて全国を自転車で走って回った。
北海道は42日間かけ、北海道を一周すると共に10の山に登った(そのいくつかはこのメルマガの日本百名山などのところで紹介してきた(「私の出合った日本百名山」索引)。
「私の出合った日本百名山」URL http://h1933.web.fc2.com/hyakumei.htm
そのサイクリングで、山歩きの筋肉と自転車をこぐ筋肉が少し違うのを痛感した。
最近、自転車用の筋肉を鍛えてないことを思い知った。

あまり痛めると山登りができなくなるので、少し歩いたが勾配はゆるやかにならず諦めて自転車を乗り捨て歩くことにした。
林道歩きは6km余であるので、まだ5kmも歩かなくてはならない。

林道の山側にはいくつもの滝があった(写真2)。
それらの名もない滝や見えてくる山々を楽しみながら歩く。
山は黒沢山、六呂場山であろうか。
朝日が当たってきている。

林道には所々に鹿の足跡がある。
一頭の鹿にもあい、鹿はあわてて戸中川の方向に逃げていった。

林道にはゲートからの距離が書かれた札が付けられている。
あと何キロで登山口かわかるのでありがたい。
5km地点で休憩を取る。

菜の花に似た色の花が咲いている(写真3)。
イヌガラシではないし、少し調べたが名前はわからない。

6時半前、黒法師岳・丸盆岳登山口に着いた。
下山はここからである。
2009年にここから黒法師岳に登ったことを思い出す(メルマガNo.268)。
黒法師岳URL http://h1933.web.fc2.com/hyaku-e/yama268/yama268.htm
前年、家から近い南側の蕎麦粒山方向から入り時間と残雪にバラ谷山(メルマガNo.215)まで行ったのに断念し、やはりGWにここから登ったのである。
バラ谷山URL http://h1933.web.fc2.com/hyaku-d/yama215/yama215.htm

今回は丸盆岳を経由し、ここから下山してくる予定である。

黒法師岳・丸盆岳登山口から10分で不動岳登山口であった(写真4)。
ここにも黄色の花が咲いている。

登山口まで6kmを1時間半で来た。
自転車こぎで少し右膝を痛めたので無理をしないで登っていこう。

ガレた斜面をジグザクに登っていく。

すぐに普通の杉林の登りになる。

それを過ぎると自然林の中に入る。

クマザサの枯れる時期なのか、かなりの面積が枯れている。
樹林の中はいろいろな苔が生えている。
私はそれらの苔を見ながら歩くのが好きである。

木々の中の尾根を登っていく。
時々、隙間から周りの山々が見える。
自分の高度が少しずつ上がっていくのがわかる。

8時過ぎ、南側がガレたところに出た。
南側はガレて木がないので山々がよく見える。
左が丸盆岳、その横が黒法師岳だろう。

最後のひと登りで稜線に出た。
字が消えたプラスチックの白い板があるが全く見えない。
ここが「鎌崩岳」だろうが、ネットで見た表示がない。
表示はないが、この分岐から左が不動岳だ。
やや高い右に歩いてみると、「鎌崩岳」の表示が付けられていた(写真5)。
この踏み跡を進んで行けば鎌崩に続くのだ。

まずは不動岳をピストンしよう。
ここ鎌崩岳(鎌崩の頭)の標高は2075mである。
不動岳は2171m。
北東方向に不動岳までの縦走路と不動岳が見える(写真6)。
2009mの鹿ノ平に少し下り150mくらい登れば不動岳である。

見たところ、樹林は少なくクマササの中を歩くコースで展望は良さそうである。
その他の山々の展望も良い。

少し下っていくとクマササのない草ところにコバイケイソウの芽が出始めている(写真7)。
この南アルプス深南部でよく見かけるコバイケイソウがここにもあったんだと、うれしくなる。
これは今まで何回か紹介してきた花である。
例えば、高塚山・蕎麦粒山(メルマガNo.217)でも紹介した。
高塚山・蕎麦粒山 http://h1933.web.fc2.com/hyaku-d/yama217/yama217.htm

人気のある日本百名山、200名山とは違い踏み跡は少ない。
クマササに歩いた跡が少し見えるくらいである。

鎌崩岳から20分弱で鹿ノ平に着いた。
ササ原がかなり広がっている。

そんな中に「鹿ノ平」の表示がある(写真8)。
そこからは四方八方に踏み跡はあるが登山道はどこか良くわからない。
一番踏み跡が濃いところを歩いて行くと踏み跡がなくなった。
まあ天気はいいし、どこを歩いて行っても山頂に着くだろう。
そのまま進んだ。

左側にあった登山路らしき踏み跡に合流することができた。
やがて傾斜がやや急になり、左側の木々が枯れているところに出た。

そして10時過ぎ、不動岳(標高2171m)に着いた(写真9)。

雪を頂いた南アルプスの一部も見えるほぼ360度の展望である。
独占の不動岳山頂で展望を10分ほど楽しみ鎌崩岳に戻る。
先ほど歩いたばかりの道である。

1時間かからずに戻ることができた。
南の鎌崩に向かって進んで行く。

こちらの方が山道がわかりやすかったが、50mと言われている崩れた尖った尾根歩きは見たこともない尖り方だ。
しかも岩肌が大変もろい。

岩を掴んだが岩がそのまま持った手に取れてきた。
これはピークを歩けないと、行けそうな右側を数m下がったところから通過できるか試す。
10mほどしか進めず上に上がるも、左側もやはり切れて落ちている。

岩肌がもろく、手で岩を掴んで三点確保ができる状態ではない(写真10)。
落ちたら命はない。
このコースは私が命をかけて渡るところではない。

鎌崩岳に戻り、下へ下ってから通過するコースの踏み跡を探す。
全く歩いた形跡は見つからなかった。

クマササなのでどこでも降りることはできそうである。
問題は登りである。
不動岳への登りで、尾根近くはクマササが短く、窪地や日当たりの良い斜面のクマササは背丈ほどに伸びていることがわかった。
歩いた形跡のないそんな斜面の登りは3倍以上の体力が必要だろう。

また、崩れやすい地形である。
尾根を通過する人があればガレの下を歩いている自分のところにたくさんの石が落ちてくるだろう。
そうでなくても風や風化で自然に石が落ちる。

ここまで上がって丸盆岳はすぐそこに見えているが、諦めて明日登ることにしよう。
50分ほど粘ったが、私の力では及ばない。

12時過ぎ、下山を開始する。

ミツバツツジ、新緑を見ながら下る。

13時半前、不動岳登山口に着く。

行きに、チェックしておいたヒキガエルのオタマジャクシをじっくり見る(写真11)。
この時期、深南部の山々の水たまりではたくさんのヒキガエルの卵やオタマジャクシを見かける。
運がよいと交尾中のヒキガエルに出合ったりする。
これまでも前述の高塚山・蕎麦粒山(メルマガNo.217)、山犬段~沢口山(メルマガNo.262)に書いてきた。
山犬段~沢口山 http://h1933.web.fc2.com/hyaku-e/yama262/yama262.htm

ここで見たものは大量のオタマジャクシではあるが、何匹大人になるのだろうか。
多くは「食べる・食べられる」という弱肉強食の自然界で、鳥やベビなどに食べられてしまうのだろう。

ヤマツツジのつぼみもある(写真12)。
明日も歩かなくてはならない片道6kmの林道を景色を見ながら歩く。

15時前、ゲートに着いた。
ゲート前に止められた車は6台になっていたが、ほとんどが日本300名山の黒法師岳であろう。
全く山では人に会わなかった。


残念ながら鎌崩から丸盆岳の縦走はできなかったが
天気も良く、クマササも乾いていて展望を楽しみながら楽しく歩くことができた。

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