2016.10.29 MM 第582号
栗沢山(くりさわやま 2714m) アサヨ峰(あさよみね 2799m)
山梨県南アルプス市・北杜市 山梨百名山
この山の私の印象等は・・・
「 宇多田ヒカルには会えなかったが静かな山歩きを楽しんだ 栗沢山・アサヨ峰 」
*下に私の感想等の文があります。
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【歩いた日】 2016年7月30日(土) 【天候】 晴れ 【コース及び時間】 芦安P4:35列に並ぶ-5:15=(バス)=6:20広河原6:30=(バス)=6:50北沢峠6:57-7:05長衛小屋-7:31/36- 8:16/21-8:40栗沢山〈2714m〉8:45-9:18/23-9:37アサヨ峰〈2799m〉9:55-10:21/27-11:06/11-11:26 早川小屋-11:47広河原峠12:01-12:32/37-13:12登山口-13:28広河原13:50=(乗合タクシー)=14:32芦安P 【 登り(北沢峠~アサヨ峰) 2時間20分 下り(アサヨ峰~広河原) 3時間3分 計 5時間23分 】 *コースタイムは休憩を除き写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。あくまでも参考タイムにしてください。 【温泉】 南アルプス温泉ロッジ 700円(南アルプス市芦安) |
芦安ではバス5台の増発(写真1) | 長衛小屋の前にはたくさんのテントが並んでいる(写真2) |
長衛小屋先の分岐右が栗沢山である(写真3) | 栗沢山の山頂で展望を楽しむ(写真4) |
栗沢山には2人がいた(写真5) | トウヤクリンドウ(写真6) |
一瞬晴れ、進行方向の尾根が見えてくる(写真7) | アサヨ峰は全く静かであった(写真8) |
静かな稜線歩きは楽しい(写真9) | 振り返るとアサヨ峰が大きく見える(写真10) |
早川小屋は閉まっていた(写真11) | 広河原峠から下り林道に出る(写真12) |
【感想 等】 白馬岳に友人O氏を1泊2日で案内した。 彼はこのために沖縄から出てきていた。 もし台風等で山に登れないこともあると思い、予備日を作ってあった。 それが本日である。 彼は別の友人に会うため長距離バスで関東に向かった。 私はどうしようか、北アルプスの別の山に登ることも考えたが、帰路の途中にある南アルプスの「アサヨ峰」に登ることにした。 周辺の鳳凰三山、北岳、仙丈岳、甲斐駒ヶ岳は何回か登ったことがあるが鳳凰三山と甲斐駒ヶ岳の途中にあるアサヨ峰には登ったことがない。 あまり脚光を浴びない山であり、静かな山である。 だから宇多田ヒカルの「南アルプスの天然水」の撮影で使った山である。 撮影は8月だったようであるが、私が登ったのはその1ヶ月前の7月である。 この「アサヨ峰」の尾根は、南アルプスの天然水の製造工場がある白州とは山の尾根が違うようには思うが、 南アルプスのイメージにはぴったりの撮影場所である。 しかもインドア派の宇多田ヒカルを山に登らせてしまうとは驚きであった。 山梨百名山で私が登っていない山はここ「アサヨ峰」だけであったので、今回登ることにした。 いろいろな登り方があるがもっともポピュラーな方法は北沢峠からである。 その北沢峠には車で入ることはできない。 北沢峠には長野県側からか山梨県側で2回バスに乗り行かなければならない。 せっかく行くなら山小屋に泊まり翌日久しぶりに仙丈岳にでも登ってきたい。 ということで山小屋に電話をするもどの小屋も満員で宿泊できないことがわかった。 今回はテントは積んできていない。 日帰りで帰って来るしか手はない。 ということで5時15分の始発に乗るべく、4時半過ぎにバス停に着いた。 何と長蛇の列である。 スタッフに聞くと5台のバス増発を計画していると言うことであった。 それでももしかして次のバスだと言うことであった。 運良く4台目のバスに1人の空席があり、単独だった私はその席に滑り込むことができた。 (芦安発のバスはこれのみで後は甲府駅発である。満席ならばここから乗ることができないのである。増発したバスが戻ってくれば8時頃乗ることができると言うことであった) そんなことで6時20分に広河原に着いた。 多くの登山者が北岳をめざすようで、北沢峠行きのバスはそれほど混まなかった。 6時50分に着き、出発した。 同じ方向に行く人はほとんどいなかった。 林道を芦安方向に数分戻ると登山口である。 そこから3分で、長衛小屋であった。 小屋の前にはたくさんのテントが並んでいる(写真2)。 小屋も満室だからテント泊という人もいるのだろう。 月刊雑誌『山と渓谷』で南アルプス北部を特集していたのも影響が大きかったのだろう。 こんなに混んでいるとは思わなかった。 後で聞くと、戸台からも奈良田からもめいっぱいのバスの増発だったようである。 長衛小屋先の分岐で右に行くと栗沢山である(写真3)。 左が仙水峠だ。 露出した松などの根のある緩やかな道を登っていく。 だんだん勾配は急になってきた。 登り始めて1時間余、樹林の間からガスのかかった仙丈岳方向が見えてきた。 白いシャクナゲが咲いているが終わりかけている。 8時半、辺りはハイマツに変わり開けてきた。 栗沢山の山頂は近い。 ここまで山道では誰にも会わなかったが、山頂すぐ下で展望を楽しんでいる3人組に会う(写真4)。 ガスがかかって今一歩展望は良くないのだが・・・。 山頂がうっすら見えてきた。 8時40分、栗沢山(標高2714m)山頂に着いた(写真5)。 山頂はガスっていて展望がない。 そのためか2人の登山者が山の話を熱心にしていた。 こんな人が少ない山だからこそ宇多田ヒカルのロケが8月にできたのだろう。 宇多田ヒカルがきっかけでこのようなマイナーな山域にも人が訪れ、山の良さを知ってもらえるとありがたい。 私は今回の北陸遠征の山歩きで10座目であるが、友人を案内した白馬岳以外ではあまり人に会っていない。 人気のある山には列ができるくらいの人が集まり、そうでない山はほとんど人が入らない。 山にはいろいろな良さがある。 私は、「1つの頂に100の喜びあり」「山歩き100の楽しみ」をカルチャースクールなどでみなさんに話している。 静かな山もいい。 この栗沢山も静かな樹林帯歩きが良かった。 甲斐駒ヶ岳が見えればもっと良かったが・・・。 これから先の山歩きが長い。 山頂にお別れして尾根歩きをしよう。 ここから北に進むと仙水峠だ。 南東方向がアサヨ峰である。 ゴツゴツした岩を降り、ガスのかかる尾根を進んで行く。 アサヨ峰の標高が2799mだから栗沢山より85m高いだけである。 尾根を快適に歩いていく。 10分ほど歩くとトウヤクリンドウが咲いている(写真6)。 久しぶりに見る好きな花の1つである。 この辺の森林限界は2600mくらいであろうか? 高い木はなく、ハイマツが続いている。 ガスがなければ北岳や仙丈、甲斐駒が大きく見えるだろう。 こちらはもっと静かな山である。 稜線歩きは楽しい。 ガスが晴れ進行方向が見えてきた(写真7)。 あのピークがアサヨ峰である。 もう少しだ。 全く誰にも会わずに歩くこと50分、アサヨ峰に着いた(写真8)。 この静かな山頂でしばらく過ごそう。 ハイマツに緑の松ぼっくりが付いている。 またガスが多くなってきた。 白峰峠への道はどこだろうか? よく見えない。 1つだけ見える尾根を下って行くが、どうも歩いた形跡が少ない。 いくら人があまり入らない山でもここまでは踏み跡が少なくはないだろう。 5分ほど下ると進めなくなり、引き返す。 アサヨ峰の山頂で道を探すと、ハイマツに隙間がありそこに「早川小屋」と書かれた板片が置かれていた。 この板がなければ、ガスがかかれば全くわからない。 ハイマツの隙間を進んで行くと確かに山道があった。 地図を見ると私が進んだのは南南西方向の道のない尾根で、早川小屋方向は東方向の尾根であった。 早川小屋までは300mほど高度を下げていく。 時々ガスが切れ北岳方向が見えてくる。 ただ、北岳山頂付近にもガスがかかっていて山頂部分は見えない。 尾根の半分にガスがかかる道を進んで行く(写真9)。 標高を下げていくと、針葉樹林帯に入る。 樹林帯の中も気持ちがいい。 振り返るとアサヨ峰が大きく見える(写真10)。 こんなに下ったのだ。 ハハコグサやコバイケイソウが生えている。 11時半前、早川小屋に着いた(写真11) 。 小屋は閉まっていた。 早川小屋から30分、広河原峠に着いた。 そこで休んで昼食を取っていると西広河原沢を3人組が上がってきた。 この道は私の地図には点線で記入されていたが、通れるか否かの確信が持てずここから白峰峠経由で広河原に向かう予定であった。 しかし、彼らからの情報で道はやや急だが迷いそうな所もなく、林道に下れることがわかっ た。 予定を変更してこの西広河原沢を下り広河原に行くことにした。 入山者も少なくきれいな苔が生えていた。 林道近くの沢はもっと素敵であった。 13時過ぎ、林道に出た。 出口にははっきりとした標識はないのでここから登るのはしっかりした読図が必要である。 先ほど出合った3人組も少し迷ったようである。 広河原方向に15分歩くと広河原バス停に着いた。 バスはすぐにはなかったが、乗り合いタクシーがちょうど出るところであった。 それに乗せていただき14時半に芦安パーキングに着いた。 最終バスに間に合わなかったらどうしようと心配であったが、 静かな尾根を快適に歩けたし、広河原峠から白峰峠経由で3時間半を予定していたが そのまま下ることができたので半分の時間で済んだ。 この駐車場には南アルプス温泉ロッジの日帰り入浴施設がある。 早く着いたのでその分のんびり入浴ができる。 料金は700円で、残念ながら施設はそれほどよいとは言えない。 白峰会館という簡素な建物の中にあり、「露天風呂」という名ではあるが開放感はなかった。 湧水量毎分300Lで神経痛、消化器病、皮膚病などに効くそうである。 一緒に下山した人達はどこに行ったのか、ほぼ独占状態であった。 (帰路に温泉施設がある。ここより安くて良い所があることが後でわかった) でも、広い湯船にのんびり浸かることができよかった。 この「アサヨ峰」で山梨百名山も完登である。 温泉に浸かりこれまでの山歩きを振り返ることができた。 |