2017.07.06 MM 第607号

   私の出合った日本百名山 他の山々 by masarus 

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夕張岳(ゆうばりだけ 1668m) 北海道南富良野町・夕張市
日本二百名山・花の百名山

この山の私の印象等は・・・                                     

「 あと少しの所で雨と雪渓とガスで敗退した 夕張岳 」

  *下に私の感想等の文があります。                                                                         
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【歩いた日】     2017年6月8日(木)

【天候】        雨とガス

【コース及び時間】


金山の林道5:50-6:18登山口-6:34/39-7:22/27-8:23/28-8:37小夕張岳〈1234m〉-9:00/05-11:20山頂直下

(敗退)-11:30~12:00(ルート探し)-13:31小夕張岳〈1234m〉13:36-14:29[2500P]14:34-15:09登山口-

15:31金山の林道P



    【 登り(途中敗退) 5時間10分   下り 4時間1分    合計  9時間11分 】


*コースタイムは休憩を除き写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。
 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。あくまでも参考タイムにしてください。



  
あと2kmの地点から歩く(写真1) 登山口(写真2)
蝦夷ゼミか鳴いていた(写真3) 新しい熊の糞があった(写真4)
これはムラサキヤシオ?(写真5) 2500m地点から雪がある(写真6)
フギレスミレ(写真7) 雪がずっと続く(写真8)
ガスもかかってくる(写真9)  登山道は見えないのでマークを付けて歩く(写真10)
ショウジョウバカマも咲いている(写真11) ルートはここまで合っているが・・・(写真12)

【感想 等】 

昨年東海地方は6月4日に梅雨入りした。
それじゃあ、梅雨がない北海道の山に行こうと、計画を立てた。
(この頃は北海道も梅雨があるんじゃない?、という声も最近は聞こえてくる)

今回の山歩きは8日間と日数が短いので、航空機を利用しレンタカーでの山歩きである。
6月6日千歳空港に降り立つが天気があまりよくない。

当初の計画では函館まで走り、「大千軒岳」に登る予定であった。
ただ渡涉が1ヶ所あり大雨が降ると渡れなくなるので逆回りで行こうと高速に乗り夕張岳に向かった。

この時期、西側から夕張岳へ登る「馬ノ背コース」「冷水コース」は利用できない。
中旬の6月17日に林道ゲートが開きヒュッテ開きがあるからである。

東側の金山ルートも登山口まであと2kmの地点から林道欠損のために通行止めであると事前に確かめてあった。
ということで、占冠ICまで高速を飛ばし夕張岳東側の金山をめざした。
そして国道237号線から林道を30分ほど走ってゲートに着いた。

着いてからわかったのは、地図のダウンロードをすることを忘れていた。
そして、pdfで持参した地形図もネット上のクラウドの中であった。
しかも、このゲートではスマホの電波は全く届かない。

また山のガイドブックで紹介されていたコースはほとんどが西側から登る「馬ノ背コース」「冷水コース」である。
私が持っているのは簡単な地図だけである。
雨の中、国道や街まで戻ってそれらをダウンロードをする元気もない。
踏んだり蹴ったりの状態である。

どうしようか、少し考えたが6時前小雨の中、林道を出発する(写真1)。
なるようにしかならない。
運を天に任せ歩くだけである。

大きなフキの生えた林道を歩いて行く。
北海道・東北のフキは大きくびっくりである。
大きい葉は直径80cmもある。
家に自生しているものが30cmであるからその大きさの違いが良くわかる(家は静岡である)。

30分弱で登山口に着いた(写真2)。
登山届けを出し、山道に入っていく。
頂上まで8.6kmの表示がある。

針葉樹の生えた山道を歩いて行く。
シダの葉に蝦夷ゼミが止まっていた(写真3)。

今の時期、静岡では全くセミの鳴き声を聞かないが小雨の中、少しセミの鳴き声が聞こえてくる。
(昨日7月4日、家で今年初めてのセミの鳴き声を聞いた。ニイニイゼミである)

ニリンソウのような花、タチツボスミレなども咲いている。
スミレの分類は良くわからないが、アイヌタチツボスミレか?

すると、新しい糞がある(写真4)。
これはクマの糞であろう。
大きさといい、状態といい他の動物は思いつかない。
しかも比較的新しい糞である。
昨日今日したばかりかもしれない。

登山届けでは3日前に1人入ったあと入山がない。
今日も私以外に人が来ないだろう山を、雨の中朝から歩いているのはちょっと危ない。
ザックを揺すり鈴の音を大きくしながら歩いて行く。

その後もまた1ヶ所でクマの糞を見つけた。

マシケゲンゲだろうか?
似ているがわからない。

出発から2時間近く歩くとガスが出てきた。
ピンク色のツツジが咲いている。
エゾムラサキツツジだろうか?
ムラサキヤシオだと、あとで知人が教えてくれた(写真5)

少しガスが出てきた。
これから先が心配である。
多くの場合、山は登るほどにガスが深くなったりする。
(もちろん、ラッキーにも山の上部がガスから顔を出していることもあるが・・・)

そのすぐ先には2500mのポイントがあった(写真6)。
そこには残雪が残っている。
まだ先は6kmもある。

大きな倒木やロープを使っての登りもある。
白い花が数個のツバメオモトが咲いている。

黄色のスミレが咲いている(写真7)。
多分シソバキスミレだろうか。
いや、フギレスミレだ。

薄い青紫色のシラネアオイが咲いている。

長い雪渓が出てきた(写真8)。
この程度ならアイゼンはいらないが、目印のテープもなく雪のため山道も見えない。
ここは尾根道なので滑らなければ大丈夫である。
右端を進んで行く。

また、かつての標識も腐りかけてよく見えない。
標識には4788mと書かれているのだろうか。
8時過ぎ、あと4kmの地点まで来たようである。

8時37分、小夕張岳に着いた。
ガスの中で視界は10mほどである。

雪が終わったと思うとまたある。
それも結構な量の雪である。
地元の役場に問い合わせた時、軽アイゼンで大丈夫ということであったが、少し心配になってきた。

雪渓は断続的にある。

ついに軽アイゼンを付ける。
小雨は相変わらず降り、ガスも切れない(写真9)。
時刻は10時半である。
かなり登ってきた。

一面の雪である。
右の尾根寄りにまっすぐに進もう。

登りは良くても、この雨で足跡が消えたりガスで見えなかったりすると下山路を見失ってしまう。
下りでは少し間違うだけで全く違うところに下ってしまうこともある。
それで、下山時に迷いそうな所には枯れ枝や笹を雪に刺し10mおきくらいに目印を付けた。

やがて広い雪原に出た。
どこに進んで行ったらよいのか全く道がわからない。
真ん中を直登で、10mおきにマークを付け進む。

やがて灌木に行き当たった。
雪の中の灌木を掻き分け進み雪から抜け出たが、山道がない。
山道を捜し右側に30mくらい迂回し、灌木を掻き分けてみる。
あった、山道にぶつかった。

どうも雪の中を歩かなくても、右側に山道があったようである。

進んで行くと、またガスの中の大雪渓である(写真10)。
マークを付けながら登る。

5分ほど登ると、少しガスが切れ尖った夕張岳が姿を現した。
これから先の急な斜面は滑ったらかなり下まで落ちてしまいそうである。

私は5月から11月までの富士山に登る。
冬の仙丈や甲斐駒、八ツにも登ったことがある。
いつもピッケルを持っていた。

昨年6月に登った富士山もアイゼンは付けないで登ったが、ピッケルは持っていた(メルマガNo.571)。
滑落した時、ピッケルがストッパーになるからである。

今回は機内へ持ち込めないだろうからと、ピッケルを置いてきてしまった。
残念ではあるが、11時20分敗退である。
出発から5時間半である。

ガスの中、登山ルートは直登なのか、山腹を斜めに上がっていくのかコースも良くわ
からない。かなり探さなくてはならないだろう。しかも滑落する危険がある。
ここまで登って残念ではあるが諦めよう。
楽しみを次回に持ち越すことにし、下る。


行きには目に付かなかった花がある。
ショウジョウバカマである(写真11)。

11時半、雪の上に私のマークした笹の目印があるのにそのあとの下山コースがわからない(写真12)。
雪渓が4つに分かれ下の方に続いている。

右隅から順に道を探しながら下って行くがどうも違う感じである。
4つとも違う感じである。

携帯電話が繋がっていればSOSをしたいくらいであった。
落ち着くために昼食とし、腰を下ろしおにぎり1つを食べながらコースを考える。

もう1度、順にコースを1つ1つチェックする。
やはりどれも行き止まりの感じである。

自分の付けた笹のマークに戻り、雪渓の下の方を眺める。
まさか!
笹と灌木の中にかすかに山道が見える。

またまた信じ込みで道迷いを起こしていた。
雪渓ばかりを探していたが、雪渓の中に私の付けたマークがないということは雪渓以外の所にコースがあるのである。
30分時間をロスしたが道が見つかってよかった。

汗と雨で下着まで濡れ、とてもビバークできる状態ではなかった。

その後は順調に下り、小夕張岳を過ぎ、15時半には車に戻ることができた。

北海道初日から雨と雪渓とガスにやられ退敗の夕張岳であった。
山はそんなに甘くはない、自分の準備不足を思い知った1日であった



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