05.05.09 MM第100号
【登頂日】 1974年8月4日(日)
|
学生時代、42日間かけて10の山に登りながら北海道一周サイクリングをした。その時の記録の一部である。 テント、シュラフ、登山靴、自転車の修理キット等を持ち、函館から時計と反対周りに2900km走破しながらの山歩きだった。 知床半島を海から眺めたいと思い、前夜、羅臼に宿を取り、五時半の船に乗る。霧雨が降っていて深いもやがかかっていたが、船が進むと共に徐々にガスは晴れ見え出した。先端を回るときは知床岬をはっきり見ることができた。林道すらなくほとんど人の手が付けられていない半島の先端は美しかった。全面緑の天然の芝生に覆われた陸地に見えた。10時15分、宇登呂港に着き、砂利道を岩尾別に向かった。山に登るには昼食を持たないと、と考えながら走ったのだが着いたところは何と一軒家で売店のばの字もなかった。宿でおむすびを用意してもらい12時20分出発。自転車で4km走り、登山口の岩尾別温泉に着いた。お腹が空いてきたので昼食後、登山を開始した。(船から羅臼岳を) |
|
初めは樹木の中を登るが、中腹まで登ると左の写真のような雪渓が見えてきた。羅臼から宇登呂に向かう船の中からも見えた、すばらしい雪渓だ。今まで真夏に雪渓を見たことがなかったので、驚きと喜びは大変なものだった。 そして雪渓を過ぎた頃から高山植物の花々が咲いていた。初めて見る可憐な花々。これまで北海道で登ってきた恵山、駒ヶ岳、樽前山、有珠岳、雌阿寒岳にはなかったきれいな花々。しかも1輪や2輪ではない。20種類近くはある花々が咲き乱れていた。緯度が高いため、本州中部では標高2600m以上にしかないような花々が、700mを越える高さで咲いている。またまた感激してしまった。 それは、火山が持つ男性的な荒々しい美しさとは正反対な、純粋、無垢な女性的な美しさに思えた。 水場を2つ過ぎ羅臼平に着いた。そこから羅臼岳山頂には急な岩場を登っていった。足をかける場所を探し1歩1歩。(中腹の雪渓) |
15時過ぎ、山頂に着いた。山頂には360度の展望が開けていた(左の写真)。それもそのはず、知床連山では最も高い山であるし、山頂には木々がないから。羅臼の町や知床五湖も見えた。 山頂で北海道のすばらしさを味わっていると、ガスがかかってきて青い海が薄ぼんやりした平凡な海になってきた。知床半島の山々も霞んできた。そう言えば、船から見えた国後島も霞んで見えない。 北海道、特に知床や根室は東にあるので日の出が早いと共に日没も早い。他に登山者はいないので急いで下山することにした。 順調に下り17時に登山口に着き、宿には17時20分に着いた。 翌日は、カムイワッカの温泉と知床五湖に行った。特にカムイワッカの滝は滝の水が適温の温泉になっていて、滝壺に浸かるすばらしさに感激した。 (羅臼岳山頂から三ッ峰方向の展望) |