04.08.16 MM第68号
【登頂日】 2004年07月18日(日)
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(NO74木曽駒ヶ岳より続く) 稜線はまだ強い風が吹き、濃いガスがかかっていた。8時50分、宝剣小屋に着いた。歩いている登山者はごくわずかだ。しかも、宝剣岳に向かう人はいない。 かなり強い風の中、意を決して出発する。 風はますます強くなり、吹き飛ばされないでかろうじて立って歩けるくらいだった。宝剣岳山頂付近ではもっと強くなり、三点を確保し手か足を動かして岩をつかんで登った。視界はわずか5m。風がこれ以上強く吹いたら落ちて死ぬと思った。 (檜尾岳過ぎのお花畑) |
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今までで歩いてきた山々で一番の強風であった。静岡はよく台風が来るがその時経験した以上の強さであった。 そんな恐怖心の中、あっという間に宝剣岳を通過してしまった。極楽平までは鎖もあったが、9時半頃到着し、一服した。極楽平は千畳敷から30分で上がってくることができる。そのため、老夫婦など2組が来た。 前号(NO74)でも書いたが、福井に洪水をもたらした前線が長野県北部に居座り、悪天候をもたらしている。その前線に西から湿った風が強烈に吹き込み、それが高い山にぶつかると霧が発生する。だから、時々ガスが切れると、麓は晴れている。 (熊沢岳方面が一瞬さっと見える) |
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木曽駒ヶ岳から空木岳への縦走は、まさに南下だ。だから、西からの強風は、体の右半分にだけ当たる。右のほほが寒さでこわばり、右鼻が詰まる。その内に鼻がつ〜んとしてきた。どこかで体験した感覚だと思い考えると、それは海で大波にもまれて波の中でもがいている子どもの頃味わった感覚と同じだった。 極楽平を過ぎると、お花畑があった。上の写真のような花々が咲いていた。写真でおわかりのように風で揺れてはいない。お花畑は東側斜面に所々あり、寒さをしのいで休む楽園であった。 一瞬ガスが晴れる以外は30mも見えない強風中、淡々と濁沢大峰、檜尾岳と歩き昼食を取った。 (頑丈な木曽殿山荘が強風でゆれ続けた) |
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その後も順調に熊沢岳、東川岳と越え、3時前に木曽殿山荘に着いた。 この日はテント泊の連中も小屋に逃げ込み満室の状態だった。風は相変わらず強く、写真のように頑丈な山荘が、強風でぐらぐらゆれ夜中に何度も目を覚ました。 その風も午前3時頃は緩やかになってきた。しかし、翌日も空木岳はガスと風の中であった。あと1日あったので連泊して天気の回復を待ったり、南駒ヶ岳に足を伸ばしたりすることもできたが、6時に出発して空木岳山頂に立った。 強風の中、傘を差して登って来た人がいた。東側斜面、すぐ下に空木岳駒峰ヒュッテがあり、そこからだった。そう、東側に一歩踏み込むと風が来ない。下山は今までの風が嘘のように静かな中を駒石に寄り、菅の台に下った。 (強風の中の空木岳山頂) |