04.12.02 MM第80号
【登頂日】 1990年1月4日(木)
|
写真を撮る人にとって冬山はすばらしい被写体だ。しかし、夏山に比べて難易度が高くなる。それが魅力でもあるが・・・。 仙丈岳は学生時代の夏、静岡奧の畑薙ダムから南アルプス3000m級を全山縦走した時に登ったことがある。その時の印象はなだらかな仙塩尾根から続く何の変哲もない山であった。 冬の仙丈岳は、雪崩の心配もないし3000mといっても、北沢峠からピストンで日帰りで登れるので2年前に1度トライした。 その時は、あいにく雪が降ってきて、あと15分ほどで山頂という所で引き返した。それは、登山者が自分1人のみで、前日までのトレースが消え自分の足跡さえあっという間に消えてしまう。また、雪庇(せっぴ)があり登頂はできても遭難の可能性が否定できなかったからだ。 (大滝の頭近くから小仙丈を) |
|
そこで、前年の夏、もう一度仙丈岳に登り、地形やコースを頭に入れ再度挑戦することにした。 夏の仙丈岳は、北沢峠まで交通機関で上がることができる。冬はどこの山も大概、道路が封鎖され、アプローチが長くなる。静岡からだと少し遠いが、長野県側の戸台から半日かけて北沢峠まで歩くことになる。 前日も天気に恵まれ、8時半過ぎの出発した。大変暖かく、防寒服も脱ぎ汗をかきかき、1時半過ぎ北沢峠に到着した。小屋の前には干支の雪像があり私を迎えてくれた。 1月4日、快晴。6時過ぎ、気分良く長衛小屋を出発する。少し歩くと、鳳凰三山の上から太陽が顔を出した。木々の上に付いた雪がいっそう白さを増した。 (小仙丈から仙丈岳山頂を) |
|
たいした苦もなく1時間で三合目に着いた。木々の間の登山道は冬でも登りは熱い。 8時前には大滝の頭に着く。樹林帯を抜け、甲斐駒ヶ岳、アサヨ峰が大きく見えてきた。なかなか美しい。また、北岳も顔をのぞかせた。上の写真のように上方には小仙丈が雪煙を飛ばしている。雪はしまっていて歩きやすい。また登山者もちらほらいて、心強い。9時過ぎ、小仙丈に着いた。まん中の写真のように山頂が見えた。深く澄んだ青空の中に真っ白な山。美しい。ザックを下ろし何枚も写真を撮った。 11時、仙丈岳登頂。雲1つない快晴の中、360度の展望。重い三脚を提げてきた甲斐もあった。下りも景色を楽しみながらこの日泊まれる唯一の仙水小屋に向かった。 (あと1こぶ越えれば山頂だ) |