05.04.10 MM第96号
【登頂日】 1975年8月3日(日)
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8月1日から9日間かけて、南アルプス南部の畑薙ダムから仙丈岳まで南アルプス3000m級全山縦走をした記録の一部である。テント、シュラフ、2週間分の食料等で30kgの荷物を担いで歩いた。 北アルプスと違い、南アルプスは山小屋の数が少ない、そして食事を出さない山小屋もあり、荷物も多くなってしまった(現在は変わっていると思う)。 また、山が大きいため、水場も1日の行程で1箇所しかない所もあり、1日に使う水の量を計ったり、荷物を背負って歩く練習をしてから出かけた。 しかし、早くも畑薙吊り橋からの登りでへとへとになってしまった。荷物が肩に食い込み、10分歩いては5分休んで亀のようにゆっくりしか歩けなかった。 (聖平の夜明け) |
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その疲れは3日目も続いた。また、テントサイトは限られたところしかなく、前日はやっと見つけた斜面にテントを張った。そのため、グランドシートと分かれているテントから足が出て露で濡れ、冷たくて眠れなかった。 朝起きると、快晴。朝日の美しさに見ながら、朝食を取る。そして、6時15分出発した。聖平を出ると、800mの登りだ。コースタイムより時間がかかり3時間かかって山頂にたどり着いた。南アルプスの一番南にある3000mの聖岳の山容は左の写真のように大きく、やっと着いた、という感じだった。 山頂からはこれまで歩いてきた上河内岳、茶臼岳など南部の山々、これから向かう兎岳、赤石岳等の北部の山々、西には赤石沢等の渓谷を隔てて笊ガ岳等の稜線が見え南アルプスのスケールの大きさがどーんと迫ってくる。 (途中の小聖岳2662mより聖岳を) |
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聖岳山頂からのコースも兎岳、小兎岳、中盛丸山、大沢岳と登ったり下ったりが1日中続いた。登山靴が少し大きめだったので1日目にできたまめがはぜ痛みを増していた。そのためもあり、歩調は遅く、10分登り5分休む、を繰り返した。小兎岳では疲れから横になって目をつぶっていたらいつの間にか自然に眠り30分経っていた。そんなこともあり、到着が遅れ、テントサイトが小さな百間洞に着いたらいっぱいでテントを張るところがなかった。 仕方なしに潅木の中の大きな石が転がっているところにテントを張ることにした。前夜の斜面の床よりはましだと思い、じゃまな石はどかして準備をした。 テントサイトが大きくないところや人気のある場所では、早く着かないと良い場所がとれないことを学んだ縦走だった。 (縦走路より聖岳を) |