2008.08.22 MM第228号
*下に感想等の文があります。
【歩いた日】 2008年7月17日(木) 【天候】 晴れ 【コース及び時間】 (NO.227で紹介 西穂山荘5:50発−6:40西穂独標6:45−7:02ピラミッドピーク7:07−7:38西穂高岳) 西穂高岳〈2909m〉7:50−8:45間ノ岳〈2907m〉8:55−9:23天狗岳9:33−9:45天狗のコル9:55− 11:08ジャンダルム〈3163m〉11:13−11:37ロバの耳下11:46−12:00馬の背−12:08奥穂高岳〈3190m〉 12:19−12:43穂高山荘 【 登り(西穂高岳〜奥穂高岳) 3時間59分 】 *コースタイムは休憩や写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。あくまでも参考タイムにしてください。 |
槍ヶ岳などの北アルプスの山々も見える(西穂高岳より) 鎖場が随所にある(これは「天狗のコル」先にあった鎖場) イワウメなどの花が緊張感を和らげてくれる ジャンダルム山頂には誰かが残していった木に書かれたプレートが 今登ってきたジャンダルムを振り返る 奥穂高岳3190mの山頂には小さな木製の祠が
【感想 等】 中ノ湯〜焼岳〜割谷山、西穂高岳、ジャンダルム、奥穂高岳・・・と3泊4日で縦走した。 その第4弾は2日目の「ジャンダルム3163m」、「奥穂高岳3190m」である。 奥穂高岳は日本百名山なので以前に紹介したことがある。涸沢の紅葉を見に行き北穂高岳から前穂高岳まで縦走したときのものだ。あの時もすばらしかったが今回もまた違ったすばらしさがあった。 快晴の西穂高岳山頂からの眺めはすばらしく、風があるせいかブヨやアブの虫もいないのでいつまでも1人独占していたい気もした。 槍ヶ岳や穂高など北アルプスの山々も手に取るように見える(写真)。 まだまだ先が長いので少し休んでから出発した。まだ時刻は8時前だ。 ここまでは順調に歩いてきている。しかしここからが難路だ。 慎重に下っていく。5分くらい進んでから振り返ると西穂高岳のピークが尖って見える。 北アルプスは南アルプスに比べ起伏が多いので少し進むと風景がかなり変化する。 それでつい写真を撮りすぎてしまう。 今までカメラをぶら下げて歩いていたが、歩くのに邪魔になってきた。 また、カメラが岩にぶつかってしまう。それでザックの中にしまい、必要なとき出して撮影することにした。 森林限界を越えた岩肌の切り立った尾根歩きは緊張を強いられる。 両側ともざっくり切れていてバランスを崩したらそのまま真っ逆さまである。 危険な個所では3点確保で慎重に歩いていく。 8時45分、2907mの間ノ岳に着いた。 白いペンキで「間ノ岳」と書いてあったのでわかった。これがなければ他の小さなピークと区別がつかないくらいだ。 西穂高岳から約1時間、しかも西穂とほぼ同じ高さだ。 ここから徐々に標高を上げていって3190mの奥穂高岳に達するのだ。奥穂までのこれからの稜線がはっきり見えるのはうれしい。 しまってあるカメラを出して写しているとすぐに時間が経ってしまう。 またこの景色はいくら見ていても飽きない。 またまた鎖場を通り、30分ほど歩くと、2909m天狗岳に着いた(写真)。 標高は西穂高岳と同じだ。上がっていると思ったが、下って登ってまた同じ高さ。 それを繰り返し進んでいくのだ。 天候もいいのでかつてのような極度の緊張感や恐怖心がない。 今日は岩場を楽しむことが出来ている。 間ノ岳から30分で天狗岳(天狗ノ頭)に着いた。 地図には「逆層の岩場」とあったので通過できるか心配であったが、難なく越えることができた。 かつて鑓ガ岳から唐松岳に向かう「不帰ノキレット」も槍ヶ岳から北穂高岳に向かう「大キレット」も背負子型の30kg近いザックで越えてきた。鎖場では荷物の重さで後へ引っ張られたものだ。それに比べ今回は食事付きの山小屋泊まりなので荷物は10kgほどだ。荷物は体にフィットしているし重さをあまり感じないで歩くことができる。 はるか向こうにあった槍ヶ岳もだいぶ近くなってきた。霞沢岳も焼岳・乗鞍岳などもはっきり見える。 快適に進んでいる。 そこから10分余で「天狗のコル」だった。 約50mほど岩場を下ったのであるが、足が少し長くて良かった、と久しぶりに思った。 30年近くバスケットボールを楽しんできたが、みんなより腰が高くゴール下のリバウンドでは押されて動いてしまうことが多かった。学生時代は足が短く腰が低ければいいなあ、なんて勝手なことを思っていた。 ステップが遠い1mくらいの下りも一歩で届くことができる。浮き石はあったものの苦労せず下れた。 ここから岳沢に下ることができる。 このルート唯一のエスケープコースである。ここまで困難を極めていたらここから降りようと考えていた。 西穂山荘から約3分の2の道のりを来た。今のところ順調なのでエスケープルートを使う必要もないようだ。 対面の笠ヶ岳がはっきり見える。10年前の秋、日帰りで「笠ヶ岳」に登ったことを思い出した。 日本百名山でこの笠ヶ岳を残してしまったので登ったものだった。 岩場にも所々に小さな花が咲いている(写真)。 こんな岩場に風雪に耐えながら生き、短い夏に可憐な花を咲かせる。 その生命力に感動すると共に、岩場での「自分がこのまま落ちないかな」という不安がよぎる時、頑張れ!という励ましを送ってくれているようだ。 天狗のコルから1時間でジャンダルム下に着いた。 頭の上にジャンダルム(フランス語で衛兵だと言う)が見えている。 言ってみれば衛兵のヘルメットといったところか。 本日一番のポイントだ。休みながらルートを探る。 上を見ると矢印が黄色と白色がある。白色は上と右の2方向を示している。合わせて3つのルート? いや、確か2つのルートがあり簡単なのは直登ルート往復だったな、と荷物を置き登る。 白色の矢印にはカタカナで字が書いてある。上は「ミネン」「キケン」?右は「オクオ」?わからない。 上に登っていいものかと迷ったが、間違えば降りてくればいい、登っていく。 少し登ると直登でどうも行けそうなことがわかった。 しかし浮き石が多く、歩いた形跡は少なかった。 6分で3163mのジャンダルム山頂に着いた。 写真のように「ジャンダルム」と書かれた木の板があるだけだった(写真)。 私はカメラのセルフタイマーと使い板を持って記念の写真を撮った。 20代の時、立山からの縦走で断念したジャンダルムの山頂に今立っている。 「やった!」私は両手を天に向かって力強く、思い切り伸ばした 数分展望を楽しみ下山にかかった。 どこを登ってきたのかわからなくなってしまったが、まっすぐ降りた。 降りていくと黄色い矢印があった。 荷物を置いたところで見た矢印の続きだな、と思ったが左右どちらに進むのか不明であった。 適当に降りていったら鎖のある白い2方向を示していた矢印のところに着いた。 下りは3分だった。 荷物を背負って奥穂に向かって出発した。 しかし、矢印3つの内どのコースが奥穂への道であるのかわからなかった。 試行錯誤をしている内に、白い矢印の右は「オクオ」ではなく、「オクホ」だと読めた。ホの4画目が薄かったので見落としていたのだ。 また、帰宅後写真を見ていて気づいたのだが、「ミネン」「キケン」はどうもジャンダルムの「ジャン」であることもわかった。 わかってみれば、簡単にジャンダルムを回り込むことができた。 あとからアルペンガイドを読み直すと「岳沢側を回り込む」と出ていた。 そして80mの下りの「ロバの耳」だ。慎重に回り込んだり鎖に掴まって下りたりし無事下った。 12時に近づいてきたのでお腹もすいてきた。 ロバの耳の下で行動食を取りしばらく休んだ。 それからやせた尾根「馬の背」を通過し、12時過ぎに奥穂高岳に着いた(写真)。 3190mの奥穂高岳(日本百名山)は日本第3位の標高だ。 回りには遮るものがないので360度の展望である。 3度目の奥穂高であるが、今回が一番気持ちがいい。 あのジャンダルムは少しガスをまとって近くに見える(写真)。 「あんな所を越えることが出来るのか」と若いとき思ったドームを今越えてきたのだ。 ガスの中に見え隠れするジャンダルムを充実感いっぱいで眺めた。 ジャンダルムはガスがかかってきたが、穂高の山々も上高地もはっきり見える。 すばらしい風景だ。穂高の山々も上高地も見える。すばらしい風景だ。 あとは穂高山荘へ下るだけだ。 ずっと誰にも会わずに来たが、奥穂に登ってくる人がいる。 なだらかな下りを気持ちよく下っていく。 山荘への最後の下りはなかなか急であったが・・・。 そして涸沢には予想以上の雪が残っていて真っ白であった。 13時前に穂高山荘に着いた。 天気がいいので小屋のスタッフが屋根に上がって休んでいたりテラスでくつろいでいた。 天気がよく風もなかったので、楽しく順調な山歩きだった。 西穂高岳から約4時間、西穂山荘からは5時間半であった。 10時間のコースタイムということで夕方の到着になると思ったが、早く着きすぎて自分でもびっくりした。 (次号 「涸沢・白沢出合」に続く) |