2011.07.11 MM第355号
*下に私の感想等の文があります。
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【歩いた日】 2011年5月4日(水) 【天候】 快晴 【コース及び時間】 白山自然保護センター5:09発−(道間違い、ルート発見)5:45−6:01野猿広場6:07−6:44/50−7:33/39−8:12 尾根[1418mポイント付近]8:18−8:44冬瓜山8:49−9:18シリタカ山9:26−10:01三方岩岳分岐10:06−10:33笈ヶ岳 〈1814m〉10:51−11:34トラバース道−12:01冬瓜平12:05−12:25尾根[1418mポイント付近]12:30−13:04/09− 13:53/58−14:04野猿広場−14:27白山自然保護センター 【 登り 4時間42分(道間違いを含む) 下り 3時間17分 計 7時間59分 】 *コースタイムは休憩や写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。歩き方で全く変わりますので、あくまでも参考タイムにしてください。 また、温泉等の料金もよく変わりますので、あくまでもその時の料金です。 【温泉】 中宮温泉 にしやま旅館 (500円) |
通行止めの先に登山道はあった(写真1) | 雪が割れ尾根下のヤブを漕ぐ(写真2) |
尾根[1418mポイント]付近にはテントが(写真3) | こんな尾根を歩いていく「冬瓜山」(写真4) |
あとは白銀の世界を歩くだけだ(写真5) | 最後の急登の先に山頂が見える(写真6) |
笈ヶ岳山頂は狭く、そこだけ雪が溶けていた(写真7) | 帰路は「冬瓜平」経由のトラバース道を通る(写真8) |
【感想 等】 前号の能郷白山(メルマガNo.354)で少し書いたが、笈ヶ岳は遠い。 国号157号線の温見峠越えができず困ってしまった。 能郷谷の岐阜県本巣市から白山スーパー林道西側の石川県白山市に行かなくてはならない。 考えられる方法は3つ。 東海北陸自動車道まで南下し、名神自動車道、北陸自動車道と通っていく。 東海北陸道を北上し、砺波JCTから北陸自動車道を西進する。 国道156号に戻り、今の時期唯一両白山地を越えることのできる国道158号線を通る。 時間的にはあまり変わらないかもしれない。 費用もETC1000円で、たいして変わらない。 私はETC1000円による渋滞や事故を考え、一般道を通ることを選んだ。 国道418号、256号、156号と通り、国道158号を進み九頭竜ダムには17時半過ぎに着いた。 桜が満開であった。 夕焼けの中の桜はまた違った美しさであった。 桜の木の下で田植えをしている人もいた。 静岡では桜が咲いてから2ヶ月以上後に田植えであるが、初めて見る桜と田植えのコラボもなかなかいいな、と思った。 そこから大野市、勝山市を通り白山スーパー林道入口近くにある「白山自然保護センター」に着いたのは19時半過ぎであった。 付近にはすでにたくさんの車が止まっていた。 駐車場にはかなりの雪が残り、雪かきをしたところに車を止めてある。豪雪地帯であることがはっきりわかる。 今回の山歩きのメインがここ笈ヶ岳だ。 前々から登りたいと思っていたが、遠くて躊躇していた。 今回は7連休がもらえたので決心して来たのである。 この笈ヶ岳はしっかりした登山道がなく無雪期はヤブ漕ぎを強いられる。 真冬は積雪が多いし、ラッセルやルートを見つけるのが大変である。 で、春のわずかな期間だけ一般の人間が登ることができるのである。 で、白山市に問い合わせた所、遭難事故も起きているし登らないでほしいと言われてしまった。 雪の状況等は全く教えてもらうことができなかった。 ネットでヒットした白山中宮観光協会に問い合わせたら、単独では危険だ、ちょうどガイド登山をする人があるのでその人と一緒に登ったらどうか、と言われた。 ちょっと心細くなったが、このGWはたくさんの人が登ることはわかっていた。 ネットで募集している関西の登山ツアーもあった。 朝4時頃から出発する人達が大勢いた。 それもそのはずである。 日本二百名山の本(山と渓谷社)では、途中テント泊で14時間余のコースである。 ショートカットしてジライ谷からでも健脚者で9時間の記録である(ネットより)。 気ばかり焦るがなかなか準備ができず、やっと5時過ぎに出発した。 駐車場の裏に「蛇谷自然観察路」がある。 先に出発した人達はそこを登っていった。 入口には「通行止」と書かれた看板がトラロープにぶら下がっている。「登山路が不明瞭のため危険」とも書かれている。 そのロープをすり抜け登っていくと、T字路にぶつかった。 地図を見たときジライ谷はもっと右だと記憶していたので、右のコースを取る。 カタクリの花がたくさん咲いていてきれいだ。 歩行者用のトンネルを抜けると、頑丈な柵があり「通行止」。 いくらなんでもこれは通れないと引き返し、もう1つのコースに向かう。 ちょうど、40代の男性が登ってきたので2人で話ながら登って行く。 道ははっきりしていて所々に赤いテープが付けられている。 しかし10分ほど登ったところで、道が消えた。 かろうじて見える細い踏み跡を登ったがどうも違う感じだ。 もう1人の男性はもっと右に回り込むはずだから下に下りて道を探す、と下っていった。 ここまで登ると雪があるが踏み跡は少ししか見えない。 斜面を回り込むように1つずつ登れそうなところをチェックした。 ない。歩いた形跡はない。 下りながらルートを探す。 私が見ただけでも、今朝20人は笈ヶ岳に登っていった。 いくら登山道がない山と言っても、彼らの足跡なり細い道なりがあるはずである。 と、30mほど下の方に数人が歩いているのが見えた。 そんな道があったとは・・・・。 私は道なき斜面を下り、山道に合流した。 ロスした時間35分。 彼らに聞くと、やはりトンネルを抜けた所にある「通行止の柵」を乗り越えてきたという。 道がないだけではなく、通行止めの表示をしてあれば余計に迷うわけである。 彼らの内の1人はやはり私と同じように、かつてここで道を間違えて苦労したという。 彼らのあとについて歩いていく。 彼らのリーダーは道を知っているので安心である。 橋の壊れた小さな沢を石伝いに渡り蛇谷沿いに回り込んでいく。 15分ほどで「野猿広場」に着いた。 猿はいないが、休息舎がある。 ここからが急登である。 数分休んでから、この団体のあとについて登っていく。 3時間の崖登りだとグループの1人が言っていた。 ジライ谷の小さな沢を飛び石で渡り、登りにかかる。 上にそびえる山を見ながら手で木や石を掴んで登っていく。 なるべく薄着できたが、汗ばんでくる。 急な崖のような谷を登るのは結構きつい。 30分余歩くと、休憩であった。 中年の女性が2人いて、登る速さを彼女らに合わせている感じである。 ルートには踏み跡はあるし、わかりにくいところには赤いテープが付いている。 私は彼らより先に行くことにした。 野猿広場から1時間ほど登るとかなり雪がある。 駐車場にも雪があったのだから、雪があっても不思議ではないが・・・。 そして、稜線も見えてきた。まだまだ先は長い。 歩いていると、軽装の男性が下りてきた。 ザックからするとテント泊ではないし、こんなに早く登ってくることはできない。 「こんにちは、早いですね」と、声を掛けると、 下山中にトラバース道で道に迷い遅くなったのでテントに泊めてもらっての帰りだという。 びっくりの人もいるものである。 最後は、支尾根を登る感じだ。 やがて、雪がずれ落ち、割れたところに出た(写真2)。 さすが、雪の上は通れず、上の藪の中を通る。 8時過ぎ、1418mポイント近くの稜線に出た。 みんなほっとして休んでいる。 そこにはテントが2つある(写真3)。 ここから「冬瓜平」経由と「冬瓜山」経由に分かれる。 もちろん、トラバースの「冬瓜平」を行くの方が簡単である。 しかし、ほとんどの人達が冬瓜山に向かっている。 冬瓜平方面は足跡も少ししかない。 すばらしい快晴なので、展望の良い冬瓜山経由で尾根を歩いた方が楽しい。 休憩の後、私も「冬瓜山」に向かう。 今日はほんとうに、展望がよい。 白山をはじめ、雪を頂いた山々が並んでいるのが見える。 雪景色にうっとりしてしまう。 なだらかな尾根は簡単である。 しかし、ヤセ尾根はそうはいかない。 雪の上を歩けるところは雪上を、雪に亀裂ができているところは尾根のヤブ漕ぎをし登る。 30分ほどで、「冬瓜山[かもうりやま](1628m)」に着いた(写真4)。 痩せてはいるが、景色も良く気持ちがいい。 前方には笈ヶ岳も大きくそびえて見える。 時々あらわれる雪割れや藪に苦労しながらも楽しく歩く。 冬瓜山から30分でシリタカ山(1699m)であった。 その先から見る笈ヶ岳はほとんど真っ白である(写真5)。 登山者が多いので人物を入れ込んでの写真が簡単に撮れていい。 写真のアクセントになるし、山の大きさもわかりやすい。 シリタカ山からは、少し下ってからずっと登りである。 団体が3つくらい見えたが、24人の団体を3グループに分けているそうだ。 彼らと一緒にならないように休憩し、歩いた。 10時、三方岩岳への分岐に着いた。 ここは岐阜県との県境でもある。 山頂がかなり近づいたが最後の急登が辛そうだ。 ちょうど、団体が登っているところであった。 私も水分補給後、アタック開始。 途中、団体が下りてくるのに会った。ラッキーである。 小笈からの急登は斜めに登り、10時半過ぎに笈ヶ岳(標高1814m)に立った(写真7)。 山頂は私だけである。 ついに、笈ヶ岳の山頂に立てた。 道迷いや休憩を入れて5時間半かかった。 ナイフエッジと雪割れには驚いたが、楽しく歩くことができた。 白山をはじめとする広大な景色を見ながら感慨に耽る。 その内に数人登ってきた。 山頂は狭い。 記念写真を写してもらい下山することにした。 滑りながらアイゼンなしで下っていく。 シリタカ山への鞍部から冬瓜平(かもうりだいら)に向かう3人組がいた。 下の清水谷方向を見ると団体が歩いている。 来るときにはわからなかった踏み跡もしっかりし、これならトラバース道を通れそうである。 11時半、私も近道で安全な冬瓜平経由にする(初めてのこの山で1人ではとても通ることはできない)。 腐った雪の中を、靴底を滑らせながら大股で下りていく。 ルートはブナの木が目印になっているようである。時々、赤いテープが付けられている。 急な斜面を斜めに歩くのは結構緊張する(写真8)。 やはりトラバース道は早かった。 最後はなだらかに登り、分岐から30分で冬瓜平に着いた。 冬瓜平に、今日は1つもテントがない。 ここまで来れば、ジライ谷分岐は近い。 休憩後、20分の登りで尾根に出た。 広い尾根では20人ほどが休んでいた。 みんな笈ヶ岳との名残を惜しんでいるのだろう。 私もそう思ったが、団体と重ならないように一足先に下山を開始した。 彼ら団体は安全のためか、全員アイゼンを付けている。 私はピッケルは使っているが、アイゼンなしで歩いてきた。 下りは登りと同じ道なので、わかっていて安心である。 下りていくと、来る時には気づかなかったが、芽吹いているブナや桜の花もあった。 登りであった老夫婦が、若いカップルに1人ずつロープで補助されて下山している。 尾根まで登ったが、歩けなくなり助けてもらって下っている、という。 彼らは60代後半か、全く人騒がせである。 順調に下り、1時間半で野猿広場に着いた。 野猿広場からの蛇谷沿いの山道には花々が咲きみだれていてきれいだ。 ピンクのイワウチワ、濃い桃色のカタクリ、藤色のスミレ、黄色のキジムシロ、藤色や白色のデージーに似た花・・・。 対岸の風景も見ながら14時半前に白山自然保護センター駐車場に戻った。 白山自然保護センター近くには中宮温泉がある。 車で行くと、GWということもあり結構多くの観光客がいる。 そこには何軒かの温泉宿がある。 白山登山口という表示もあるが、ここから登るのは大変だ。 温泉グッズの入ったバックを持って歩いているおばさんにおすすめの温泉を聞く。 「にしやま旅館」だという。 行ってみると、「日本秘湯を守る会」の会員の旅館であった。 「日本秘湯を守る会」の温泉には、何軒か入ったことはある。 今まではずれはなかったので、安心して入浴する。 胃腸の湯、ということで飲料もできる温泉であった。 この素朴な温泉が気に入った。 フロント前の囲炉裏には近くで捕れた動物の剥製や毛皮が置かれていた。 テンやキジ、熊などこれらの住める自然が残っていることを改めて感じた。 笈ヶ岳は手強かったが、思った以上に楽しく過ごせた1日であった。 |