2011.11.07 MM第368号
*下に私の感想等の文があります。
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【歩いた日】 2011年10月29日(土) 【天候】 晴れ 【コース及び時間】 河津七滝先の林道ゲート7:37−7:50黄金橋−8:00涸沢歩道入口−8:10/15−8:43支尾根8:48−8:53巻き道と交差 9:34猿山〈1000m〉9:51−10:18巻き道−10:37尾根から左折−10:43林道に合流−10:45登山口−11:06林道ゲートP 【 登り 1時間47分 下り 1時間16分 計 3時間3分 】 *コースタイムは道迷いや写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。また、歩き方で全く変わりますので、あくまでも参考タイムにしてください。 温泉等の料金もよく変わりますので、あくまでもその時の料金です。 【温泉】 湯ヶ野温泉(国民宿舎かわづ) 500円 |
さあ、猿山への挑戦が始まる(写真1) | 涸沢歩道入口(写真2) |
登り始めてすぐに道を失い直登を決める(写真3) | 三等三角点のある猿山山頂(写真4) |
山頂付近にはブナなどの大木も(写真5) | 猿には遇わなかったがシカに出合う(写真6) |
【感想 等】 「猿山」 「静岡の百山」ではあるが、山のガイドブックには全く載っていない。 web上にはいくつかの記録があるが、ほとんどが道に迷ったという記録だ。 百の山に選定されながら、こんなに登りにくい山を私は他に知らない。 前回、1年前の2月下旬に挑戦しようとしたが、入口で門前払いを喰った(メルマガNo.300)。 この時は前日の大雨により増水して最初の沢を渡れなかったのである。 詳しくはかつて書いたが、前回は山の西側、西伊豆町から登ろうとした。 こちらの方が道がわかりやすく簡単そうだったからである。 しかし、入口で自然の力に跳ね返され、ほとんど歩かせてもらえなかった。 そして、家への帰路ではチリ沖地震の津波警報で富士市で8時間足止めを食らった。 全く自然の力にはどうしようもなかった1日であった。 猿山の西側、西伊豆町の登山口に行くのは結構時間がかかる。 それなら思い切って真正面から猿山に挑戦しようということで河津七滝の先にある林道ゲートに向かった。 私の中ではこの猿山は「レベル5」の上級者コースである。 なにしろ猿山はガイドブックには載っていないし、web上でも道に迷わなかった記録が見つからないからである。 川沿いに進んでいくと、web上の写真で見覚えのあるゲートに着いた(写真1)。 数台は止めることができるスペースに車は1台もなく、辺りは静まりかえっている。 天気は快晴、風もなく暖かな日である。 しかも時間はたっぷりある。 絶好のコンディションの中、7時半過ぎに出発した。 手には地形図を持ち、リックには方位磁針をぶら下げて・・・。 このゲートは人が通り抜ける場所がない。 歩行者を受け入れるのであれば、隅が40cmくらいあいているのだが・・・。 上を乗り越えるかリュックを降ろして隙間を通るかだ。 私は先にリュックを通し、隙間をすり抜けた。 私を山に入れさせたくないようである。 まずは林道歩きだ。 河津七滝もかなり山深いところにあるが、そこから10kmほど入ったこの林道の周りは全部山である。 沢沿いの林道を数分歩くと左下に滝があった。 それほど大きくはないがなかなかいい感じの滝である。 10分余で黄金橋に着いた。 これもweb上の写真の通りである。 すぐの所を右に曲がり川沿いの林道を進んでいく。 ワサビ田を過ぎ少し行くと地形図に出ている点線の「涸沢歩道」があった(写真2)。 (この「涸沢歩道」というのは、ここにある関東森林管理局の看板の地図上に書かれている名前である) 普通、地形図に出ている点線の山道はかなりはっきりしている道のはずである。 (地形図に出ていない歩きやすい山道も多い。) この涸沢歩道は地形図上では山頂まで繋がっているが、どこまで歩けるのか楽しみである。 8時ちょうど、私はこの入口では休まずに涸沢歩道に入っていった。 巾2mほどのこの歩道が実際にはどこまで続いているのだろうか。 歩き始めて5分、もう道が見えない。 入口に1つ赤い紐がぶら下がっていたが、その後テープは1つもない。 先日の台風15号で杉の枝が落ち歩道が埋まったために、道は見えないのだろうか。 いや、それだけではないだろう。以前からの枯れ枝も多い気がする。 地形図上では1度北にトラバースしてから登って行くのだが、そのポイントも全くわからなかった。 幸いなことに太陽が出ている。太陽を背にしてまっすぐ西方向に登っていけば天城山脈の稜線に出るはずである。 林道から山道に入って10分、1回目の休憩である。 リュックから黄色のビニル紐を出し、これを切って要所々々に目印を付けることにした。 初めての試みである。 この目印は、道を間違って引き返す時の目印になるし下山にも役に立つはずである。 ビニル紐をカッターナイフで切り取っては枝に付けていたが、手間がかかる。 10mほどのビニル紐全部を手に巻き付け15cmくらいずつに切り離した。 紐は約100本できた。 少し足りないかもしれないが、多少は役に立つだろうと思って所々に付けて直登していった。 登っていくと林業従事者が木に書いたマークもあった(写真3)。 何かの目印になると思い写真にも収めた。 「三六四」と書かれた杉の木もあった。 岩に出合った場所では左に回り込んで目印を付けた。 その辺りから杉林から自然林に変わった。 少し林に入る光が多くなり、灌木が多くなり歩きにくくはなったが、それほど苦にはならない。 8時32分、木に付けられた赤いテープに初めて出合った。 かつて誰かが目印を付けたのだが、テープは古い。 先を見ると、巾1.5mくらいの巾で空間ができている。 涸沢登山道に合流したのだろうか。 私が歩いて行きたい方向とたいして違わない。 そこで、歩きやすいその道を進んでいく。 これは支尾根だ。 もしかしたら地形図にある道かもしれない。 尾根を進んでいくとはっきりした巻道と交差した。 かなり良い道なのに地形図には出ていない。 webにもそんな文章があったのを思い出した。 私はとにかく稜線を進もう、とやや細い稜線の道に入っていった。 途中、ヤセ尾根や小さな3つのピークを過ぎ、なだらかになってきた。 所々には赤いテープや色の違うテープが付いていたりした。 ヒメシャラの林を抜け進んでいくと木に木札がぶら下がっているのが見えた。 その下を見ると三角点を記す白い杭が見えた。 標高1000mの猿山の山頂である(写真4)。 ついに山頂に着いた。 1年8ヶ月前に門前払いを食らったこの猿山の頂に、途中道に迷いながらも立つことができた。 100本使うつもりで用意した黄色の紐も十数本しか使わなかった。 猿山の山頂は展望がない。 なだらかで樹林に囲まれている。 もっとも、登り始めから尾根歩きとずっと樹林の中で展望が開けている所はない。 木々の枝の間から山頂方向など見えるところは少しあったが。 少し休んでからほぼ平坦な山頂付近の散策をした。 付近にはブナなどの巨木がいくつかあった(写真5)。 また、倒れかけてそこから枝を上に伸ばしている木が何本もあった。 10時少し前、下山を開始した。 黄色の紐で目印を付けてきたし、あとは来た道を下るだけである。 稜線をそのまま戻る。 2分ほど下ると左側の支尾根にはっきりとした赤いテープが数個見えた。 良い道がある、と1分ほど下りかけたが、途中で道がなくなる可能性も大きいのでトラバースして元の稜線に戻った。 歩いていくと、来る時に見た大きな石があり、木の切り出し用の錆びたワイヤーを過ぎる。 そして、巻き道と交差した。ここまでは登りに使った道だ。 シカがピーッ、ピーッと鳴いている。 歩いていくと1頭のシカが慌てて駆けていった。 木が囓られた跡があった(写真6)。 今囓ったものかどうかはわからないが・・・。 10時半過ぎ、登りに使った感じの支尾根を下り始める。 ただ赤いテープは見えない。 私が付けた目印の黄色い紐もない。 下っていくと、はやり道はなくなった。 山の感じや木々の影からそれほど間違った方向には進んでいないと思った。 そこで、杉林の中をまっすぐに下りる。 やがて、小さな崖が見えたと思ったら、トラロープの張ってある杭が見えた。 下りていくと、それは林道だった。 よかった、これで山から出ることができた。 例え林道歩きが長くてもまだ11時前である。 歩き続けていればいつかは車に戻ることができる、そう思いながらゆるやかな林道を下る。 2分ほど下ると、涸沢歩道の登山口であった。 私はわずか数十m北側を下っていたのである。 ほんとうにラッキーであった。 林道をるんるん気分で歩き、11時過ぎに車に戻ることができた。 今回は山が私を受け入れてくれた。 景色も花もなかったが、楽しい山歩きであった。 ただ、残念なことは、黄色の紐を残してきてしまったことである。 これは直登コースではあるが、まっすぐ登っていけば稜線に出て猿山の山頂に着くこ とができる。 こうして往復とも道に迷った記録をまた1つ増やすことになってしまったことは少 し残念ではある。 山中には途中までしか利用できないテープがたくさんある。新たな遭難者を出さな いためにも、営林署か地元自治体・山の会等が整備していただきたいものである。 もちろん、必要であれば私も力を貸せたいと思っている。 是非、自然に恵まれた猿山が多くの人に愛される山になってほしい。 予定よりかなり早い登山終了である。 下山後はもちろん温泉である。 伊豆にはたくさんの温泉がある。 ループ橋の近くにも温泉はあるが、以前から気になっていた温泉がある。 それは「町営湯ヶ野露天風呂」という温泉である。 それは何年か前に温泉関係の本からコピーしたものに書かれている。 それほど遠くはない。 下田に向かって国道414号を車を走らせる。 湯ヶ野に着いたので、県道14号線分岐のコンビニで尋ねると「国民宿舎かわづ」のことかも、という。 文面をもう一度よく見ると、「国民宿舎かわづの敷地内に建つ」とある。 行ってみると、コンビニのおばさんが言う通りで、ただ単に国民宿舎の露天風呂のことであった。 ちょっとがっかりはしたが、私1人の貸し切り状態である。 初めに内湯に入りシャンプーで洗い、ゆっくり桧の風呂に浸かる。 大きな窓越しに河津川の清流が見える。 その後、建物の反対側にある露天風呂に入り直に河津川を見ながらせせらぎを聞く。 今日もよい1日であった。 |