2012.05.15 MM第391号

   私の出合った日本百名山 他の山々 by masarus 

大崩山(おおくえやま 1643m)宮崎県北川町・延岡市 日本二百名山

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この山の私の印象等は・・・                                     

「 渡渉あり、岩あり、梯子あり、大展望ありの変化に富んだ 大崩山 」

  *下に私の感想等の文があります。                                                                 
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【歩いた日】     2012年3月21日(水)

【天候】        晴れ

【コース及び時間】

祝子川大崩山登山口7:57発−8:18大崩山荘−(わく塚コース)−8:34三里河原分岐8:39−9:00避難岩屋9:05−9:32

/9:37−9:42袖ダキ分岐9:46−10:04下わく塚分岐10:07−10:19中わく塚分岐−10:30上わく塚分岐(往復)10:48

−11:14坊主尾根分岐−11:29大崩山〈1643m〉11:46−12:05坊主尾根分岐−(坊主尾根コース)−12:27/32−12:35

小積ダキ−13:20/25−13:52大崩山荘−14:14大崩山登山口


         【 登り 2時間52分  下り 2時間18分   合計 5時間10分  】


*コースタイムは道迷いや写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。
 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。また、歩き方で全く変わりますので、あくまでも参考タイムにしてください。
 温泉等の料金もよく変わりますので、あくまでもその時の料金です。


【温泉】       祝子川温泉 [美人の湯] 宮崎県北川町  500円


  
橋があるが通行禁止とは・・・(写真1) 下わく塚の下。私でも通過できるだろうか?(写真2)
氷った岩があり滑る!(写真3) 上わく塚の下から登る(写真4)
上わく塚からの展望(写真5) 大崩山(標高1644m)(写真6)
坊主尾根からわく塚の岩々を(写真7) 山を見ながら1人露天風呂を楽しんだ(写真8)

 【感想 等】

 九州の山3日目は「大崩山(おおくえやま)」である。
花崗岩が風化し大きく崩れることから付いた名前だという。「崩(くず)」をどうして「くえ」と読むのかは知らない。

静岡市と焼津市の間の海岸も崩れやすい地形のため「大崩(おおくずれ)海岸」という名前である。
今はバイパスができ通ることは減ったが、かつてはこの海岸道を国道150号線といい、
よく利用しアップダウンやカーブのスリルを味わったり日の出を見に行ったりしたものである。

祝子(ほうり)川沿いの道を走り登山口に着いたのは7時半過ぎであった。
登山口の看板には色分けして詳しく書いてある。
北側から「三里河原コース」「わく塚コース」「坊主尾根コース」「二枚ダキコース」。
これらはどれもここの登山口を出発して大崩山の山頂に到達するコースである。

4つのコースがあるところはそんなに多くはない。
いろいろな選択枝があるのはうれしい限りである。
ただよく見ると案内板の上からテープが貼られている。

『わく塚コース』には、「雨の日には通行できません」と書かれている。
ハシゴが連続する難コースの『坊主尾根コース』には、「崩落危険」と書かれている。
『二枚ダキコース』は、「道迷い箇所」「風倒木」とかり赤い×が張られている。その先には「ガレ場崩壊」とある。

私の他には登山者はいない。
この書き込みがいつのもので、現在はどの程度なのかということがわからない。
最新の情報を入手しておけばよかったと、後悔する。

雨が降ったのは一昨日である。
じゃあ、「わく塚コース」で行こう、と決め、8時少し前に出発した。
歩き始めてすぐの所にある小さい滝には鉄パイプで作った橋があった。
そして、登山口から20分で大崩山荘であった。

そこは坊主尾根コースとの分岐である。
アセビのトンネルをくぐり、ロープの付いた斜めの岩を通っていく。

山荘から約15分で三里河原分岐であった。
そこから「わく塚コース」は、小積谷を進んでいく。

河原に出たら手すりのない巾30cmほどの橋が渡してあった(写真1)。
「ラッキー!あの橋を通れば渡渉しなくて済む。」と喜び、近づいていくと
「通行禁止」と書かれている。

確かによく見ると巾30cmしかない3mほどの橋は通行禁止でなくても怖い。
手すりはないし、壊れそうでしかも高さがある。

靴を脱いで渡渉を覚悟した。
川の中を渡れる所を探す。
なんとか飛び石で渡れそうなところがあった。

昨年のGW、能郷白山(メルマガNo.354)での川を飛び越えた後の転倒を思い出した。
あの時は転んだので、帰路は川の中を通ることにした。

無理をしないのが一番である。
何とかジャンプしなくても渡れそうなところを見つけ通過できた。
振り返ってみると、そこには誰かが大きな石の上に石を載せ(ケルン?)目印を付けてくれてあった。

川から10分ほど行くと、避難岩屋があった。
こんな岩屋に泊まるのもおもしろいかもしれない。

まだまだ先は長い。
道が急なのか調子が今一歩なのか、いつもの歩くリズムが出ない。
ジュラルミンの梯子が垂直にかかっている。
すごい登山道である(この梯子がなければこの大きな岩は登れない)。

9時半過ぎ、「袖ダキ」分岐に着いた。
ロープを登って袖ダキに行くのはパスし、登山道を進む。

少し行くと「下わく塚」だろう、白っぽい花崗岩の岩が真上に見えてきた。
そして、10時過ぎ、下わく塚の下に着いた(写真2)。

そこには崩落とか凍結はなく、通れるだろうか。
また私の技術で大丈夫だろうか。
「日本二百名山登山ガイド(山と渓谷社)」には登山適期は4月上旬からになっている。
急に不安になってきた。

不安になったら諦めるしかない。
下道を通ることにした。

下道なら楽かと思ったら、なかなかの道。
濡れた斜めの一枚岩あった。
次は氷った岩があり滑る(写真3)。
そして20cmくらいのつららもある。

これなら下ワク塚を通り岩の上を歩いた方がよかったかも・・・。
そんなこと考えていると中ワク塚の下に着いた。
ここまで来たら下道を行こう。

少し回り込んで、10時半上ワク塚に着く(写真4)。
ちょうど若いカップルが下りてきた。

彼らと話すと、彼女はここ大崩山に登り収めに来たという。
この大崩山は九州で一番気に入っている山で6回目で、4月から関西に引っ越すのだという。

私が下道を歩いてきたと言ったら「すばらしい風景が見えるのに、もったいない」と。
そして、登るのは大変ではなく、凍結もなく私でも登れるという。

少し休んでから荷物を置いて上わく塚に登る。
ロープや目印があるが、どのルートを取りどこに足をかけるかやや難しかったが、すぐに岩の上に立てた。

大崩山の山頂方向、付近の山々が展望できる。
360度の展望である。
名前はわからないが、山々の素敵な光景である(写真5)。
彼らに会えて、そしてここ上わく塚に立ててよかった。
この岩場を越えてくればよかった、後悔する。

岩から下り、なだらかな尾根を進む。
20分余で「坊主尾根」分岐だった。
クマザサが枯れまだ芽吹きのない自然の木々が自由に伸びている。
そんな木々を見ながら歩く。
「石塚」を通り、「宇土内谷コース」への分岐を過ぎ、11時半大崩山に着いた(写真6)。

大崩山の山頂は静かであった。
山頂の周りには灌木が生え展望は思ったよりよくない。
しかしのんびり過ごすには最高の所だ。

どういうわけか、一等三角点の周りには5円や10円の硬貨が置かれている。
登頂できた事へのお礼のお賽銭なのだろうか。
山頂には神社はないので、大崩山自体の「山の神」に拝んだのだろうか。
富士山の山頂近くの木の鳥居には割れ目に1円玉や5円、10円玉が挟まってはいるが、三角点に置かれているのは初めて見た気がする。

彼らは上わく塚近くで昼食を取っているのか、姿が見えなかった。
下山を開始してすぐ、彼らとすれ違う。
彼らは「坊主尾根コース」を下るというので、私もそのコースにした。

12時過ぎ、坊主尾根に入る。
木の間から上わく塚が見える。
20分くらい下るとわく塚が直に見えてきた(写真7)。
花崗岩の岩が切り立ち、なかなか迫力のある風景である。

12時半過ぎ、「小積ダキ」に着く。
花崗岩が風化し丸まった岩がある。
眼下や東方向の展望が特にいい。

この大崩山は岩登り良し岩々の展望良し、さっき会った彼女が九州で一番気に入っているのも理解できる。

その後は、ロープで1枚岩を下ったり斜めに横切ったりした。
梯子もいくつもあった。
大きな岩の間を通ったり狭い隙間の岩のトンネルを通過したり・・・。
なかなか変化に富んでいておもしろい。

13時半林道分岐を過ぎ、祝子川支流に出る。
花崗岩の大きな岩がごろごろ転がり、白っぽい川底を楽しみ川の合流点に着いた。

ここでは靴を脱いで渡渉することを覚悟していたが、設置してあったロープを使いなんとか飛び石に通過できた。
14時過ぎに車に戻ることができた。

この大崩山は3kmほど下ったところに祝子川温泉「美人の湯」がある(写真8)。
施設も新しく、ナトリウムイオン、炭酸水素イオンが主要成分の重曹泉で山々を見ながらの露天風呂もなかなかいい。
しかも入浴は私1人だった。
山を眺めながら、1人充実した時間が過ごせた。

(大崩山は天気にも恵まれ、今回の九州の山では一番良かった山であった。)


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