2008.05.26 MM第217号

   私の出合った日本百名山 他の山々 by masarus
       
                         

高塚山 (たかつかやま 1621m)三百名山・

蕎麦粒山 (そばつぶやま 1627m)

[南アルプス深南部]静岡県川根本町

    
  この山の私の印象等は・・・                         

「 前日の疲れとチョンボでそれより先に進めなかった 高塚山 」

 *下に感想等の文があります。                                         


【歩いた日】     2008年4月27日(日)

【天候】        晴れ

【コース及び時間】


山犬段5:30−5:56蕎麦粒山〈1627m〉−6:27五樽沢のコル6:33−7:02三ツ合山7:07−7:36高塚山〈1621m〉−

(散策・ルートファインディング)−9:47高塚山−10:20三ツ合山10:28−10:54五樽沢のコル10:59−11:32蕎麦粒山

11:43−12:05山犬段



   【 登り(高塚山まで) 1時間55分    下り 1時間54分   合計 3時間49分 】


*コースタイムは休憩や写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。
 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。あくまでも参考タイムにしてください。

  
朝日を浴びる山犬段の休憩舎 朝の蕎麦粒山からの展望
「高塚山」はコバイケイソウの群落だけが賑やかに 10匹ほどのニホンヒキガエルとたくさんの卵が・・・
前日歩いた尾根の向こうに富士山型の黒法師岳が見える 朝6時にはひっそりとしていた「大札山」も大変な賑わい

 【感想 等】

 GW、春を感じることができ、混まないところに行きたい、と探し出したのが南アルプス深南部の「黒法師岳(日本三百名山)」と周辺の山。山犬段からは南赤石林道を歩いていって上西平沢から登るコースを選び、歩いていったが林道の落石・崩落に苦しみ「バラ谷山」に行った。(その様子は前号までの「NO.214」、「NO.215」、「NO.216」で書いた。)

 今回はその翌日歩いた「蕎麦粒山」「高塚山」の山歩きだ。

 バラ谷山からは小雨の中を17時前、精神的にくたくた状態で山犬段の休憩舎に着いた。
前日は10人くらいの団体がいたが、土曜日というのに私一人だった。雨合羽などの濡れた衣類や靴を干した。そして、急いで夕食を食べ、NHK総合の7時のニュースと天気予報を携帯のをワンセグ放送で見て19時半には寝た。(当てにしていなかったが、携帯のワンセグが受信でき、便利さに驚いた。)

 夜中の12時頃、あまりに明るくなったので起きて窓を開けると月ときれいな星達が出ていた。雨が上がって雲が切れたのだ。
翌日の天気の回復を確信し安心して再び床に就いた。

 4月下旬の日の出は5時頃だ。4時には明るくなってきた。充分寝たので起き、食事を済ませ出発の準備をした。
そして、5時半に小屋を出た。
山犬段の休憩舎は朝日を浴びていた(写真)。

 今日行く「蕎麦粒山」は何度か登っている。特に紅葉やアカヤシオ、シロヤシオが咲く頃が美しく、そのころに来ている。NO.121で紹介した蕎麦粒山は紅葉の中、雪が降ってきた。5月24日に登った「高塚山」はシロヤシオが満開だった(このメルマガ・HPが発行される頃、今年も見頃だという連絡が届いた。)

 山犬段は標高1400mである。蕎麦粒山が1627mなので標高差は200m余しかない。
アップダウンも余りないのでなだらかに登っていく。
背中から朝日を浴びながら気持ちよく登っていった。

 1mほどの笹が茂っているが、広めの道幅で刈られ歩きやすい。よく手入れをしてくれてあり、ありがたい。
体が温まらない内に蕎麦粒山に着いてしまった。出発から20分余である。
まだ6時前なので、山頂には誰もいない。
そこからは朝日を浴びる山々が見渡せた(写真)。
しっかり晴れていれば見える富士山は見えなかったが・・・。

 昨日の疲れ、足が攣った少しの痛みが膝裏に残ってはいるが快調だ。
休まず高塚山に向かった。

 右手に昨日歩いた黒法師岳への尾根が見えてきた。
昨日はバラ谷山からも見えなかった「黒法師岳」のとんがり帽子も木の枝の向こうに見える(写真)。

 なだらかに100m余下り少し登り五樽沢のコルに着いた。蕎麦粒山から30分だ。
昨日は使わなかったが、南赤石林道に下りる第1ポイントだ。

 またなだらかに登り7時過ぎ、三ツ合山に着いた。
ここから南西に行くと高塚山である。
また、ここは前日歩いた千石沢、鋸山、バラ谷山に行く分岐でもある。

 下にはクマササ、上には原生林(それほど大きくはない)が繁った気持ちがよい道を歩いていく。
正面に高塚山も見えてくる。
なだらかなコースなので朝の散歩には気持ちがいい。

 7時36分、高塚山(1621m)に着いた。
以前に来たときもそうだったが、山頂付近はコバイケイソウがいっぱいで足の踏み場もないくらいだ(写真)。
蕎麦粒山と違って木々に囲まれた高塚山からの展望はよくない。
アカヤシオの時期には少し早すぎた。まだ山頂は冬が終わったばかりの感じだ。
かつて4月20日に近くの大札山にアカヤシオを見に来たこともあったのでもう少し春は進んでいると思っていた。

 今回、こんなに早く山頂に来たのは訳がある。
できれば竜馬ガ岳か京丸山に縦走したいと考えたのだ。コースタイムは山犬段から往復7〜8時間である。

 しかし、山頂にはそれらに向かう標識はなくピークを示す標識だけだ(写真)。
あとは踏み跡がある方向に10cmほどの「杉山林道」と書かれた小さな矢印が地面に刺してあるだけである。

 驚いたのは踏み跡すらほどんど見えないのだ。
ようく見るとコバイケイソウがはえた中にうっすら窪んだところが見えた。
コバイケイソウを踏まないようにそっと歩いていくと赤いビニルテープを巻いた木が見えた。
もしかするとこれが京丸山に向かうマークかもしれないと少し歩いていったが続きの標示を見つけることが出来なかった。

 こんな時は25000分の1の地形図とコンパスだ。
地形図には三ツ合山から高塚山までの山道を示す点線も出ていない。
南西の尾根を進めば京丸山、南東の尾根を進めば竜馬ガ岳である。
しかし、コンパスが上手く動かない。
しかも矢印が南の方を向いている。
半年ほど前からチェックもせず雨に濡れないようにヘッドライトや予備電池などと共にビニル袋に入れたままだった。
そのためか寿命かはわからないが困ったことに正常には作動しない。

 地形を確かめながら背丈ほどの笹の中を少し下ったが方向に確信が持てなかった。
前日の南赤石林道からバラ谷山の頭に登ったときと同じように、背が高い笹の中にシカの糞がたくさん落ちていて、その中に獣道が何本もある。
こんな時GPSがあったら・・・と思うがそれを使わないのもまた私流である。
コースに自信が持てないので、あきらめて8時20分山頂に戻った。

 すると今度は別の方向の遠方に白いビニルひもがあるのに気づいた。
まあ、時間もあるし行ってみようと、たどっていくと右に回り込みながら20分ほど歩けた。
その踏み跡は別の尾根に行く感じであったが、またまたそのマークを見失った。

 残念ではあるが今回はあきらめることにした。
前日の疲れが残る中、間違えた道を登り返すほど体力は十分ではない。
(帰宅後、体内に疲労がたまっていたのか職場で流行っていた気管支炎にかかり3週間苦しんだ。いつもは病気をしても1週間以内で治っていたのに・・・。これは初めての体験であった。)

 2時間余、山頂付近でうろうろしていたことになる。
誰にも会わない静かな時間であった。
9時47分、下山を開始した。空は青空がかなり広がり日差しも強くなってきていた。

 朝来た道と同じコースを戻る。
この時間になるとちらほら登山者がいる。
三ツ合山を過ぎ、山道の脇の水たまりを見ると黒いへび状のものと黄土色の塊が見えた(写真)。
何だろう、と近づいてみるとカエルの卵と数匹の大きなカエルだった。
周りにも交尾しているカエルがいた。
私が近づいても全く逃げようとしない。
合わせて10匹ほど目にした。

 帰宅して調べると「ニホンヒキガエル」であった。
モリアオガエルの卵は近所でも見たが、
ニホンヒキガエルは、これまであまり見たことはなかった。

 五樽沢のコルでは4人が休憩していた。
私も近くで少し休憩し、蕎麦粒山に向かった。

 11時32分に着いた蕎麦粒山は、朝とは打って変わって多くの人が昼食休憩をしていた(写真)。
山犬段から20〜30分でこの1627mの富士山や駿河湾などが展望できる山に登れる。
手頃に自然を味わうことができる。人気のある山である。

 私もここで簡単に昼食を取った。
そして、12時5分に山犬段に下山した。

 帰路、大札山周辺の林道はハイカーでいっぱいだった。
また、林道にはミツバツツジが濃いピンクの花を付け道行く人を楽しませていた。
前にも書いたことがあるお気に入りのこの「大札山」なら30分で登れる。
アカヤシオは咲いているだろうか。
少し疲れているがついでだから行ってみるか・・・。 計画になかったが登ることにした。次号へ続く。
 

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