2008.09.13 MM第230号

   私の出合った日本百名山 他の山々 by masarus
       
                         

霞沢岳 (かすみざわだけ 2646m) [日本二百名山] 長野県
 

    
  この山の私の印象等は・・・                         

「 快晴の中、アブ・蠅に悩まされながらも穂高連峰の展望を楽しんだ 霞沢岳 」

 *下に感想等の文があります。                                         


【歩いた日】     2008年7月19日(土)


【天候】        晴れ


【コース及び時間】

 7月18日(金)

NO.229で紹介 涸沢ヒュッテ6:10発−7:39本谷橋7:45−8:30横尾−9:03新村橋9:08−9:18徳沢9:28−10:09

白沢出合10:15−11:11水場−11:45霞沢岳分岐−11:50徳本峠小屋(2食付きで宿泊)


 7月19日(土)

徳本峠小屋6:10発−6:57ジャンクションピーク7:04−7:36小ピーク7:41−8:47K1ピーク8:58−9:10K2ピーク9:15

−9:30霞沢岳〈2646m〉9:39−9:53K2ピーク−10:057K1ピーク10:18−11:14小ピーク−11:49ジャンクションピーク

12:02−12:28徳本峠分岐12:33−13:32白沢出合−13:35明神橋13:40−14:20上高地バスターミナル


 【 登り(徳本峠〜霞沢岳) 2時間52分  下り(霞沢岳〜上高地) 3時間57分 】


*コースタイムは休憩や写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。
 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。あくまでも参考タイムにしてください。


【温泉】    坂巻温泉(500円)

  
徳本峠小屋、ご覧のように老朽化している 徳本峠の展望台からは穂高連峰がくっきり見える
遠くに南アルプスの山々、その向こうに富士山も顔を出している 粒子が荒れているような細かい点は虫の大量発生だ
今回歩いた穂高の山々が手に取るように見える(K1ピークより) 霞沢岳山頂付近のシナノキンバイのお花畑と穂高連峰
いつか行きたいと思っていた坂巻温泉 2階の内湯と1階の露天風呂があり、両方入ることができる

 【感想 等】

 中ノ湯〜焼岳割谷山西穂高岳ジャンダルム、奥穂高岳、涸沢・徳本峠・・と3泊4日で縦走した。
その第6弾は4日目の「霞沢岳(2646m)」である。

徳本峠(2140m)から霞沢岳(2646m)までは標高差わずか500mである。
500mと言えば、家の近くで時々トレーニングに歩いている、焼津アルプス主峰の高草山が501mだ。ほぼ海抜0mから歩くので標高差は変わらない。花沢の里から1時間半、1人で歩けば登山口から山頂まで1時間だ。

しかし、この霞沢岳はガイドブックのコースタイムを見ると上高地から往復13時間、徳本小屋から登って上高地まで9時間半になっている。割谷山のページに穂高連峰から見た霞沢岳を載せてあるがK1、K2とピークを越えて行くのでそう簡単ではない。上高地から日帰りをしようかとも考えたがやめた。せっかく上高地に来ながら霞沢岳に登りそのまま帰るのではちょっともったいない。それで、今回の縦走に繋げたのである。(20年前の登山地図には上高地から八右衛門沢を登るコースが書いてあるが、10年前のものから書かれていない。すなわち、徳本峠から往復するしかないのである)

 穂高連峰の展望の山としては、常念岳(日本百名山)蝶ヶ岳燕岳(日本二百名山)などが有名で人気がある。私もこれらの山を気に入っている。この霞沢岳が穂高連峰の展望台という意識は私には全くなかった。しかし、資料を調べていくと、あまり知られていない「穂高連峰の隠れた展望台」ということがわかった。地図を見れば、目の前に穂高連山があるので当然と言えば当然の展望台である。
そんなわけで、霞沢岳登山は大変楽しみにしていた。
ただ、天気が悪くてはせっかくの展望がのぞめないので天気が良くなることを願っていた。

 朝、4時半、徳本峠小屋で目を覚ました。(徳本峠小屋の写真)
トイレに起きながら空を見ると晴れている。そして、東の空が赤く染まっていた。
反対側には昨日は全体像が見えなかった穂高連峰がくっきりと見えている。
これはいいぞ、としばらく眺めていた。
 
 近くに張ってあったテントの男性が起きて朝食を取っているようであった。そして、彼は4時50分に出発した。
私は小屋の朝食が6時の予定なので、もう一度布団に潜り込んだ。今日はそんなにあわてなくても時間がある。

 5時半、もう眠れないので起きて支度を仕始めた。小屋の管理人は5時に起き食事の準備をしていた。早めに支度が出来たようで、5時50分に「食べれるよ」と声がかかった。
 朝食後、6時10分に出発した。徳本峠の展望台からは穂高連峰がくっきり見える(写真)。
いい日になるぞ、と確信した。

 数分で峠下からの枝道と合流し針葉樹林の中の急登が始まる。ジグザグではあるが、なかなかきつい登りだ。
15分ほど歩くと、尾根道に出て少しだけ南側の展望が開けた。雲海が広がり、手前にはニッコウキスゲが咲いていた。
また、時々木々の間から穂高の山々も見える。

 7時少し前、ジャンクションピークに着いた。標高は2428m、高度を300m稼いだことになる。500mの内の300mだからすごいことだ。ここは南側が崖になっていて展望が開けている。写真のように遠くには南アルプスの山々が見え、その向こうには富士山も少し顔を出している(写真)。
目を少し移すと粒子の荒れた写真のような風景が飛び込んできた(写真)。
これは3mmから4mmくらいの小さな羽虫の大群である。
よく見ると登山道の草や木々にもいっぱい付いていた。
この時、私は「梅雨はあけた」と感じた。
それは、3年前の海の日を入れた3連休の7月17日に同じような感覚を味わったからだ。私はその日、偶然「白馬鑓ヶ岳」に登っていた。その時の天気の変わり方、晴れ方に似ていると思ったからだ。
虫たちは体内の感覚で、種族の保存をするためのDNAで梅雨明けを知っているのではないかとも思った。

 しかし、それが災いの始まりだった。
山道の草を避けて歩くたびにそこに付いていた羽虫が顔や髪の毛に付いてくる。
私にとっては堪らない。
以前も書いたが私は虫には大変弱いのだ。

 ジャンクションピークから10分ほど歩くと、木々の間から山頂付近が雪で白くなっている御嶽山乗鞍岳も快晴の中に見えてきた。かつて歩いたことが懐かしい。
北アルプスの山々歩きはたくさんの日本百名山他の山々が展望できるのがうれしい。

 少し歩くと濃いピンク色のショウジョウバカマが咲いていた。雪解けのあとに咲いているのでまだつぼみをもったばかりのものもある。
その後、しばらく登りピークに着いた。
まだK1ピークまでは距離がある。私はこのピークを「小ピーク」と名付け、休憩することにした。
出発してから1時間半、思った通りの簡単ではないコースだ。

 そこからしばらく行くと、崩落している場所に出た。
その後も崩落箇所が何カ所かあり、びっくりした。歩いてから今日まで2ヶ月経つが修復されただろうか。帰宅後連絡しようと思いつつ仕事に追われすっかり忘れていた。

 森林限界になり、山道の脇には黄色い小さい花のたくさん咲いたミヤマキンポウゲ、それより少し大きい黄色の花のシナノキンバイ、白いサンカヨウ等が咲いている。
標高も上がり、尾根の上に穂高連峰が見えてきた。約2590mのK1ピークはすぐそこだ。

 8時47分、K1ピークに着いた。360度の大パノラマがひらけていた。
もちろん一番は、六百山の向こうに大きく見える穂高連峰だ。行く手にはK2ピークと霞沢岳のピーク、そしてその先には焼岳。
今日まで歩いてきた焼岳、割谷山、西穂高岳、ジャンダルム、奥穂高岳の稜線も手に取るようにはっきり見える(写真)。
夢中になって何枚も写真を撮ってしまった。
ブヨやアブなどの虫が顔や頭に止まるのも気にならなかった。

 10分余でK2ピークに着いた。手前には崩落箇所があり、ハクサンシャクナゲの花も咲いていた。
約2620mのピークはK1ピークより展望が良かった。しかし、虫の顔へのアタックはもっと激しく、5分で出発せざるを得なかった。

 そして、15分、霞沢岳に到着した。
そのすぐ手前には写真のようなシナノキンバイのお花畑があった(写真)。
また、濃いピンクのハクサンチドリ、ピンクのハククサンフロウ、白いハクサンイチゲ、黄色のウサギギクなども咲いていた。お花畑あり、雪渓ありの、まさに一番良い時期であった。

 霞沢岳に着いたのは9時30分。今日は時間があるのでのんびりしようと思っていたのだが、ハイマツが大きくK1、K2に比べしゃがむと展望に邪魔になる。また、ここはやはりたくさんの虫が顔に止まってきてゆっくり休んでいることが出来ない。写真を撮るとその中に虫が写ってしまうほど虫が多いのである。
 仕方なしに、3つのピークで一番虫が少なかったK2に退散し、そこで展望を楽しみながら休憩をすることにした。

 10時過ぎ、K1ピークに着いた。帽子でアブやブヨを追い払いながら展望を楽しむ。
この霞沢岳は穂高連峰の景色は最高であるが、虫の多さも最高であった。これは、あくまでも「私の出合った」霞沢岳である。

 虫を追う手も疲れたので、下山後の温泉の楽しみに下り始めた。
登るときには目に留まらなかった白いコバイケイソウの花、濃いピンクのヨツバシオガマ、放射状の葉の真ん中に白い花が特徴のシロバナエンレイソウ、クロユリなどを見つけることができた。気持ちにゆとりがあってこそ花が見えてくる。

 11時過ぎ、小ピークに着いた。ここまで来ると森林の中に入る。
どんどん下り、ジャンクションピークには12時前に着いた。行きには目の前の山々に目をとられていたが、下を見るとニッコウキスゲが咲いていた。
霞沢岳は花の数は多いとは言えないが、なかなかたくさんの種類が咲いているものだ。

 午後になり穂高連峰に雲が湧いてきた。
割谷山の上部は厚い雲に覆われてきた。
一番良いとき登れたことをうれしく思った。

12時半頃、徳沢峠分岐に着いた。
少し休んでいるとテントに泊まった男性が撤収して降りてきた。彼とは行きにK1ピーク過ぎですれ違って少し会話を交わし、今日は2度目の遭遇だ。

 その後も、抜きつ抜かれつしながら約1時間、13時半頃白沢出合に着いた。
今日は3連休の第1日目である。多くのハイカーや観光客が繰り出している梓川沿いの道を上高地バスターミナルに向かった。

 ほんとにたくさんの人出だった。
東京の渋谷や新宿の駅前を歩いているくらいの人出で人混みの中にいるだけで疲れた。
14時20分、バスターミナルに着いた。
時刻も早かったのですぐバスがあり乗ることができた。紅葉に時期と違って待ち時間なしでバスに乗れたことがうれしかった。

 今回は今まで入ったことがなかった「坂巻温泉」に行くことにした(写真)。
坂巻温泉は沢渡に行く途中にあり、「日本秘湯を守る会」の会員の宿である。泉質はナトリウム・カルシウム−炭酸水素塩・硫酸塩で効能がありそうな気がした。2階の内湯と1階の露天風呂に入ることができ余計に気持ちよかった。
時刻も早かったので1人独占状態の入浴。それで露天風呂の写真も撮ることができた(写真)。
4日ぶりに風呂で汗を流すことができとてもさっぱりした。

 天気に恵まれ、予備日の2日が残った。
しかも、梅雨はあけた。
そんな時のために調べておいた近くの日本二百名山「餓鬼岳」に登ることにし、車で向かうことにした。

 日本二百名山「餓鬼岳」に続く。

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