2012.10.13 MM 第408号

   私の出合った日本百名山 他の山々 by masarus 

小太郎山 ( こたろうやま 2527m ) 

山梨県 南アルプス市 山梨百名山

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この山の私の印象等は・・・                                     

「 初秋の大パノラマを楽しんだ 小太郎山 」

  *下に私の感想等の文があります。                                                                 
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【歩いた日】     2012年9月15日(土)

【天候】        晴れ


【コース及び時間】

広河原登山口6:30−7:00/7:05−7:32/7:37−8:14白根御池小屋8:24−9:00/9:05−9:30森林限界9:36

−9:50小太郎山分岐9:57−10:49小太郎山〈2527m〉10:56−11:56小太郎山分岐 (*次号 北岳に続く)

         【 登り(広河原〜小太郎山) 3時間41分  下り(小太郎山〜分岐) 1時間   合計 4時間41分  】


*コースタイムは道迷いや写真撮影などを含む私が実際にかかった時間です。
 その時の体調や天候によって大きく変わってきます。また、歩き方で全く変わりますので、あくまでも参考タイムにしてください。
 温泉等の料金もよく変わりますので、あくまでもその時の料金です。


  
広河原は人がいっぱい(写真1) 白根御池小屋は新しい(写真2)
白根御池小屋前のテント場はたくさんのテントが(写真3) ヤナギランなどの夏の花が(写真4)
小太郎山分岐からは鳳凰三山が大きく見える(写真5) 分岐近くから小太郎山と甲斐駒ヶ岳(写真6)
   
分岐付近は草モミジの紅葉が始まっていた(写真7)  山頂からもすばらしい展望が待っていた(写真8) 

 【感想 等】

 9月の敬老の日3連休、日本アルプスに登り尾根を歩きたくなった。
ただ、その前日までの3日間は出張で深夜まで働いたので疲れがたまっている。
それで1日家で休み、残り2日で登ることにした。

2日しかないので静岡から一番近くの日本アルプス、南アルプスに行くことに決めた。
登る場所はアプローチの良い広河原からの北岳・間ノ岳・農鳥岳という白峰三山にした。
普通は2泊3日のコースであるが、3年前の10月に同じをコース2日で歩いている(メルマガNo.283〜285)。
その時は農鳥小屋に宿泊した。

かつては自家用車で行けた広河原であるが、もう何年も前から夜叉神峠・奈良田からの交通規制があり、専用のバスが走っている。
静岡から近い、奈良田の始発バスは5時半である。

ゲート前にある登山者用駐車場に車を止める。
奈良田の県道路肩にも車が止めてあり、前日には多くの登山者があったことがわかる。
私はすれすれ間に合い、列の最後尾に並んだ。
バスは2台やってきた。

バス代は1000円、それにマイカー規制協力金100円を払う。
何とか座れ、隣席の掛川から来て仙丈岳に登るという年配の方と話しながら時間を過ごす。
途中、渓流つりの数人を下ろし対向車の来ない道路を走っていく。
マイカー規制前に数回走ったことのある懐かしい道である。

6時20分くらいに広河原に着いた。
広河原の登山者の多さに驚いた。
夜叉神峠側から来るバスが多いのだろう。それも新宿や甲府からの直通バスもあり東京方面から来ているのだろう。
新しくできたビジターセンターのトイレには20人近くが並んでいた。

外にある数台の簡易トイレ(バイオ式水洗)は誰もいない。
私の本日の日程は、草すべりを登り小太郎尾根を往復し北岳を越えて北岳山荘泊である。
いつ入れるかわからないトイレの順番を待つのはやめ、外のトイレを利用した。

広河原から北岳に向かう人も多いが、ミニバスで北沢峠に向かう人達が列を作っている。
北沢峠からは仙丈岳(メルマガNo.80)と甲斐駒ヶ岳(メルマガNo.83)という2つの日本百名山があり、これらに向かう人達も多い。
もちろん、ここ広河原からは鳳凰三山(メルマガNo.10)にも行ける。
北岳のすぐそばには間ノ岳もあり5つの日本百名山に登ることのできるすばらしい登山基地である。

6時半、広河原を出発した。
少し歩くとゲートがある(写真1)。
そこからは北岳が見える。
標高3193mの北岳は快晴の中に聳えていた。

丈夫な吊り橋を渡ると広河原山荘である。
20張りくらいのテントが見える。

すぐに木々の中の登りである。
登山者はまばらで、木々の日陰を気持ちよく登る。

広河原から25分で大樺沢との分岐である。
かつて大樺沢に行こうとして、この分岐を見逃してしまったことがある。
今は、新しい標識が立てられ間違える人は少ないと思うが、焦げ茶色の「北岳 白根御池小屋」という標識が目立ち過ぎている。

大きな木々、大きな石が転がる中を登っていく。
登りが緩やかになり草地にトリカブトなどの花が咲いている。
その先には白根御池小屋があった。

5年前に建て替えたとてもきれいな新しい小屋である(写真2)。
ここは水が豊富で、外に水道の蛇口が付けてあるのもうれしい。
その水をいただいて飲む。
冷たくてミネラルいっぱいでおいしい。

ここ白根御池の前にも色とりどりのたくさんのテントが並んでいた(写真3)。
水は濁ってはいるが気持ちよさそうな良い所である。

最近はテント泊ブームだな、と感じる。
山と渓谷やレジャー雑誌がよく特集を組んでいるのが影響しているのだろうか。
私もこれまでテント泊をしてきたのでその長短を知っている。
現在は重い荷物を背負い上げるより快適に歩く方を選ぶことが多い。

御池の先には夏の残りの花々が咲いている。
赤紫色のアザミ、傘の骨のようなシシウド、白いブラシのようなサラシナショウマ、青紫色のソバナ・・・・。
振り返ると御池の向こうに鳳凰三山が見えてきた。
なかなか良い風景だ。
色とりどりのテントがワンポイントになっている。

少し登ると終わりかけた赤紫のヤナギランもある(写真4)。
静岡の奥にある山伏岳(標高2014m)のヤナギランはシカの食害で全滅し今では保護をして花を咲かせている。
ここは保護しなくてもまだ大丈夫なのだろうか。

梯子もある急登である。
下山者が仲間に「ここの登りは体力が自信のある人が登るコースだよ」と言っているのが聞こえてきた。
このコースは、今回3回目くらいであるがそんなことを考えたことがなかった。
これまでは周遊コースが好きで大樺沢を登ってここを下るか、ただ単にその逆コースを選んでいた。

間ノ岳、農鳥に行くときもせっかくなので周遊をしたくてここ草すべりを登ったりする。
9時半、シラカバなどの灌木を過ぎ、森林限界を超えた。

そこにはシカ除けの柵があった。
やはりシカはいるのだ。
下のヤナギランもやられるのは時間の問題だろうか・・・。

森林限界から15分で小太郎山分岐であった。
森林限界を過ぎた山の尾根は空が大きくなる。
鳳凰三山も大きく見えてきた(写真5)。

ようやく来たいと思っていたアルプスに来た感じである。
分岐ではこれから北岳方面に向かう人が大勢休んでいた。
私も小太郎尾根や北岳などを見ながら少し休んだ。

小太郎尾根方面はよく晴れているのに北岳方面にガスが出てきた。
甲斐駒ヶ岳も仙丈ヶ岳もよく見える(写真6は甲斐駒)。
甲斐駒ヶ岳の前にはこれから歩いて行く小太郎山が見える。
縦走路もはっきり見えてありがたい。

そして、草モミジが紅葉し始めている(写真7)。
10月上旬の悪沢岳(メルマガNo.25)の草モミジ紅葉を彷彿させる。
期待していなかっただけにうれしい。

このようになだらかな尾根歩きは快適だ。
しかも私以外には誰もいない。

今回の計画を立てるとき、
ヤマケイアルペンガイド10『南アルプス』(2009年刊)にはこのコースの紹介は出ていなかった。
それで、学生時代に使っていた古い登山地図を見たら肩の小屋から行きも帰りも1時間20分と出ていた(昭和49年8月版、調査・執筆 白籏史朗、日地出版株式会社)。
肩の小屋から1時間20分なら、分岐から小太郎山まではコースタイムで1時間である。
40分くらいで歩けるかもしれない。
「これなら楽勝!」とばかり、あまりアップダウンのない尾根を快適に歩く。

森林限界を超え足元にはハイマツがあるだけで四方八方がひらけている。
左手には仙丈岳、右手には鳳凰三山、前方には甲斐駒ヶ岳という大パノラマである。
これを見たくて登ってきたのだ。

40分を過ぎてもまだ着かない。
山頂だと思ったら小さなピークだった。
そのような小さな岩のアップダウンがあり、ほぼ1時間で小太郎山(標高2527m)に着いた(写真8)。
山頂には30代の男性が1人休んでいた。
かれは日帰りだという。

「古い地図を見て肩の小屋から1時間20分で着くと思ったけど、意外と遠かった。」と話すと、
彼は「古い地図はコースタイムの間違いが多いですよ。」と実例を挙げて言う。
そう言えば、かつて北アルプスでコースタイムが全く違っていたことを思い出した。

山頂からも360度の展望が楽しめる。
小太郎山は白峰三山にも引けを取らないすばらしい山である。
北岳は残念ながら山頂にガスが付いてはいるが、他の山はすべて見ることができる。

山頂にいつまでもいたいが、徐々に天気は崩れてきている。
先は長いので、歩きながら山を楽しむことにして11時少し前に出発した。

帰路も草モミジの紅葉や尾根からの展望を楽しみ分岐に戻った。
山頂からちょうど1時間であった。

小太郎尾根歩きは初秋の草モミジの紅葉と大パノラマを楽しんだ2時間であった。
(次号、北岳に続く)

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